「野田内閣支持率62%―政党支持率も民主が自民を逆転」

著者: 瀬戸栄一 せとえいいち : 政治ジャーナリスト
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 共同通信社が9月2、3両日に実施した全国緊急世論調査で、2日発足の野田佳彦内閣への支持率は62・8%にのぼり、不支持率の18・1%を大きく上回った。これまでの民主党菅直人政権の末期(15・8%)から一気に飛躍し、新政権への国民的期待の大きさを物語った。

 菅内閣の末期には、政党支持率が民主党は自民党より下回ったが、野田内閣に交代して民主党27・2%(8月の菅内閣下では19・3%)に対し自民党23・6%(同23・4%)と逆転し、与党らしさを回復した。自民党の支持率は横ばいにとどまった。野田首相が「歳出削減を徹底しても足りなければ必要」とする東日本大震災の復興財源を賄うための増税については、賛成派が58・7%に上った。

 ▽首相への信頼感強まる

 しかし、野田佳彦首相への高い支持率は、いわゆる「ご祝儀相場」に終わる可能性もないとはいえない。2年前の政権交代後、民主党政権最初の鳩山由紀夫首相への内閣支持率は72・0%もあり、わずか8か月間の政権担当中にひたすら低落し、昨年6月の退陣表明時には19・1%にまで下落した。次の菅直人内閣もスタート時の61・5%から1年3か月で15・8%にまで落ちた。

 わずか2年間で3人目となる野田首相についても、支持率が同じ低落傾向をたどらないとは限らない。ただ、野田首相への支持理由が「首相を信頼する」が30・0%と予想外に多く、地味ゆえに目立たなかった野田佳彦氏への、国民的信頼感が内閣支持率を引き上げているのも事実だ。

 ▽増税容認やや上回る

 一方、野田首相の人事の焦点だった輿石東・参院議員会長の幹事長起用について世論は慎重だ。「評価する」が45・1%、「評価しない」が41・2%でほぼ拮抗した。これと見合うのが小沢一郎元代表への評価で、前執行部による党員資格停止処分の解除については、「しない方がよい」が77・3%と高く、「した方がよい」の15・9%をはるかに上回った。10月にも自身の公判開始を控える小沢氏は、一般国民からはまだシロと見なされていない様子だ。

 大震災の復興増税については「賛成」「どちらかといえば賛成」の計58・7%に対し、「反対」「どちらかといえば反対」の計38・3%を20ポイント上回り、大震災復興財源についての増税を国民の多数が容認していることを示した。その半面、社会保障と税の一体改革として2010年代の半ばまでに消費税率を10%に引き上げる政府方針については賛成派が49・7%、反対派が47・0%とこれまた拮抗し、野田内閣の命運がこの方針の実行にかかっていることを示した。

 ▽解散先送り論強まる

 野田内閣に対しても早期の解散・総選挙を求める自民党にとって、やりにくい調査結果もあった。総選挙の時期について「(衆院議員の任期満了である)2013年夏ごろ」とする回答が8月下旬調査の23・3%から急増し41・0%でトップとなり、続いて「来年以降」が27・6%、「年内」15・7%、「すぐに」8・9%を上回った。国民の衆院選先送り志向が増え、民主党と自民党の大連立についても賛成40・1%、反対46・5%と期待感はややしぼんだ。

 政党支持率は、みんなの党4・9%、公明党3・5%、共産党2・2%、社民党0・8%、たちあがれ日本0・6%、国民新党0・1%、支持政党なし35・7%。(了)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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