7月22日の東京新聞こちら特報部で、「健診拡充に後ろ向き」「住民の期待に応
えず」と、環境省の専門家会議(「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住
民の健康管理のあり方に関する専門家会議」)を厳しく批判する記事が報道され
ています。
「放射線による健康影響は証明できない」「影響が証明できない以上、福島県内
の健診すら不要」「(被災者支援)法案ができた時と、今と非常に大きな違いが
ある」「過剰診断」、結局のところ、この会議もはじめに結論ありきです。病
気の不安から健康診断を求める市民の声などには聴く耳を持ちません。
いまこの専門家会議にあてて、長滝重信(元放射線影響研究所理事長)の座長解
任を求める要請を、子ども・被災者支援法市民会議が中心となって準備し、賛同
を呼びかけています。
東京新聞の記事は残念ながら有料扱いですが、
http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/432.html
で全文を読むことができます。
田原牧さんの「デスクメモ」だけ貼り付けます。
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専門家会議を長滝さんが仕切っている。この事実だけで、政府が福島原発事故を
どう総括したかは明白だ。放射線影響研究所の前身は「治療せず、原爆の効果を
調査」した米国の原爆傷害調査委員会(ABCC)だ。そこに連なる人脈が「安全神
話」に関与した。いまは「安心神話」の流布に奔走している。(牧)
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要請書
2014年8月5日
井上信治環境副大臣殿
浮島智子環境政務官殿
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う
住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
座長解任と進め方見直しの要請
かねてより、多くの被災者・支援者や自治体が「原発事故子ども・被災者支援
法」(以下略して支援法)13条2項・3項に定める健診や医療費の減免措置などの
健康支援を、汚染状況重点地域など幅広い地域で実施することを求めてきまし
た。政府は、こうした強い要望に対して、専門家会議を設置して検討するとしま
した。本専門家会議は、このような経緯で設置されたのです。
しかし、専門家会議では、現在まで被ばく線量の評価に関する限定的な議論がな
されてきたにとどまり、健診のあり方や医療費の減免などについてはほとんど議
論されていません。長瀧重信座長の強引な委員会運営により、警鐘を鳴らす外部
専門家の意見は無視され、「被ばく量が小さいため、健診の拡大は必要ない」と
いう結論ありきの会議運営が進められています。「放射線が人の健康に及ぼす危
険について科学的に未解明(支援法第一条)」であるにも関わらず、現状の把握
より、限られた国際機関の知見のみを採用し、結論を導こうとする会議の進め方
は改めるべきです。
6月26日に開催された第7回会合において、「支援法が成立した時代とは違
う。」と、同会議の設置の背景になっている同法を否定する発言をされました。
さらに、7月16日に開催された第8回会合では「この会議でがんが増えている
ということが結論になると大変」など、科学的根拠のない一方的な見方を示した
上で、「誰が被ばくしているのか」となどと、原発事故によって今なお被曝を強
いられている被災者の心情を踏みにじる言葉を口にしました。
原発事故に伴う子どもの「健康診断」については、2013年9月に、復興庁
が支援法の基本方針を策定するにあたり実施したパブリックコメントにおいて、
1200にものぼる意見が寄せられ、要望が最も強かった項目です。支援法第十
四条には「被災者の意見を反映」するよう定められているにもかかわらず、長瀧
座長の一方的な議事進行や発言は、法の理念や被災者の声をないがしろにしてお
り、期待を裏切られた思いで、容認いたしかねます。
そもそも長瀧座長をはじめ、多くの委員会メンバーは、その経歴から言っても
福島原発事故の一因を作った原子力安全神話に加担してきており、現在の福島原
発事故の惨禍に責任をとるべき人たちなのではないでしょうか。これについて
は、外部専門家として招聘された崎山比早子氏が指摘した通りです。
様々な専門家の視点や意見をしっかり受け止め、偏りの無い公正な議事進行が
できる方に会議を運営していただきたく思います。
以下、要望します。
1、 長瀧座長を即座に解任してください。
2、 「子ども被災者支援法」の趣旨に則った会議を実施してください。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion4933:140730〕