〔休憩室〕19・20世紀古典読書会―2―

このコーナー〔休憩室〕は「ちきゅう座」田中正司初代運営委員長の提案で設置されましたが、しばらく開店休業でした。力量にみあう範囲で再開します。今回は「19・20世紀古典読書会」のその後です。http://www.geocities.jp/ishizukazemi/koten.html

 

1987年創立。同年秋から良知力・広松渉編『ヘーゲル左派』(全4巻・御茶の水書房)が刊行され、また翌年春から森編訳『サン=シモン著作集』(全5巻、恒星社厚生閣)の刊行に象徴されるように、その当時19世紀ヨーロッパの「古典」およびこれに付随する文献の翻訳・出版がさかんでした。また、ある者がブランキを訳し、ある者がシュタインを訳している、などということも相次ぎました。そこで思想史研究の若手有志があいはかって、出版界や学界でのこのような動向に、ただ外在的に敏感であるだけでなく、積極的に力を貸し、またその成果を十二分に汲み取るという姿勢を打ち出しました。具体的には、自分自身の手で、有意義な、埋もれた古典を掘り起こして翻訳し、またこれを共同で読書して意見を交換しあうといった作業を発企し、「十九世紀古典読書会」を創立しました。

 

ここまでは2008年1月に掲載済みです。〔study088:080123〕

以下においてその後の経過(例会テーマ)を報告します。また、今年度は、例会が開催されるたびに、まずは「催し物」に案内をアップし、さらにその印象記を「ちきゅう座」〔休憩室〕に掲載していきます。

第72回 (2008年03月15日)

一 山家 歩 「依存者たち」のポリティクス:依存をめぐる諸問題への統治性研究からのアプローチ

二 天畠一郎 非営利団体の事例研究 

第73回 (2008年07月12日)

一 水上英徳 アクセル・ホネットの物象化論

二 西角純二 モダニズムとリアリズム

第74回 (2008年10月04日)

一 武井徹也 「自然」の所在:前期ハイデガーにおける自然の議論

二 安齋雄基 西田幾多郎の「永遠の今の自己限定」とは何か:時間と実在と論理

第75回 (2008年12月20日)

一 紺野茂樹 SELF AS THE INTERDEPENDENT:「相互依存的連係生起」による自己観の転換

二 鳴子博子 <アレント―ルソー>関係から討議デモクラシー論を批判する

第76回 (2009年03月20日)

一 合評会1:河上睦子『宗教批判と身体論―フォイエルバッハ中・後期思想の研究』(御茶の水書房)

二 合評会2:ド・ブロス(杉本隆司訳)『フェティシュ諸神の崇拝』(法政大学出版局)

第77回 (2009年07月25日14:00)

一 合評会1:石塚正英・工藤豊編『近代の超克―永久革命』(理想社) 二 合評会2:田上孝一・助川幸逸郎・黒木朋興編『<人間>の系譜学―近代的人間像の現在と未来』(東海大学出版会)

第78回 (2010年04月29日)

一 石塚正英:協同研究企画「戦争と近代―ポスト・ナポレオンの現代世界史」の提案

第79回 (2010年06月26日13:00)

一 山家 歩: 追放と栄光―保田與重郎の「英雄と詩人」論―

二 石塚正英:明治期日本における凱旋門と放射状道路の意味、川上善兵衛の事例をもとに

三 天畠一郎:移民現象の政治学的分析―ホリフィールドの議論を手がかりとして―

第80回 (2010年06月27日)

一 唐澤太輔:南方熊楠の国家観―自民族至上主義を超えて―

二 工藤 豊:戦争とナショナリズム―対外戦争勝利にみるナショナリズムの高揚

三 西 兼司:戦争と暴力

四 小畑嘉丈:日露戦争期の三宅雪嶺

第81回 (2010年07月03日)

一 青木信家:「アメリカ的悲劇」の歴史的起源について

二 清水雅大:日独戦争とドイツ人「俘虜」―文化外交政策としての捕虜政策―

三 西角純志:ロマン主義・ナショナリズム・独裁体制―若きルカーチの芸術批評におけるロマン主義批判―

四 米田祐介:戦争暴力被害者は語ることができるか―環状島、その波打ち際からのまなざし

第82回 (2010年07月04日)

一 梅澤 礼:対内戦争と近代社会

二 立花 史:フランス語に抗して―フーコーによるマラルメ

三 黒木朋興:フランス革命期におけるパトリ(祖国)のアレゴリー

四 河上睦子:食文化からみる近代化

第83回 (2010年09月12日)

一 松田 昇:同時代人サン・シモンからみたナポレオンとポスト・ナポレオン―フランス的「文明」化の実現とヨーロッパへの拡大―

二 篠原敏昭:ナポレオン戦争と佐賀藩

三 石黒盛久:19世紀初頭イタリアにおけるマキャヴェッリ観の変貌―1513年12月10付書簡の発見とロマン主義的解釈の勃興―

第84回 (2010年10月03日)

一 中島浩貴:クラウゼヴィッツ的戦争観とポスト・ナポレオン―戦争と近代

二 唐澤太輔:国家の枠を超えて―トランスナショナリストとしての南方球磨楠の思想と行動

三 石塚正英:歴史の結果論的および動機論的読み込み―ポスト・ナポレオン200年によせて

第85回 (2010年11月03日)

一 黒木朋興 フランス革命期におけるパトリ(祖国)のアレゴリー

二 立花 史 記憶と記録―マラルメと言語学―

三 山家 歩 追放と栄光―保田與重郎の「英雄と詩人」論―

四 工藤 豊 対外戦争と国民の形成―日清戦争前後の日本―

第86回 (2010年12月18日)

一 梅澤 礼 監獄の盛衰―対内戦争としての近代司法制度の誕生

二 小畑嘉丈 日露戦争期の三宅雪嶺

三 石塚正英 日韓合邦と日韓併合の峻別―川上善兵衛の思想と行動を事例に―

第87回 (2011年1月29日)

一 篠原敏昭 「ナポレオン戦争と佐賀藩」の構成

二 松田 昇 同時代人サン・シモンからみたナポレオンとポスト・ナポレオン-フランス的『文明』化の実現とヨーロッパへの拡大 

三 石黒盛久 マキャヴェッリと19世紀イタリアの政治的ロマン主義-『君主論』解釈とリソルジメント民主派の変質 

四 河上睦子 食の世界からみる日本の近代化

第88回 (2011年6月4日)

一 合評会:西角純志『移動する理論――ルカーチの思想』御茶ノ水書房

第89回 (2011年9月17日)

一 合評会:『戦争と近代-ポストナポレオン』社会評論社

第90回 (2011年12月17日)

一 清水多吉 柳田國男と福本和夫

 

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/

〔study446:120307〕