〔休憩室〕19・20世紀古典読書会―3―

このコーナー〔休憩室〕は「ちきゅう座」田中正司初代運営委員長の提案で設置されましたが、しばらく開店休業でした。田中精神は継続する価値がなお持続しています。本コーナーはちきゅう座のエッセンスです。今後、これを軸にいっそうの発展を求める気概をもたねばなりません。ですので、力量にみあう範囲でこのたび再開しました。今回は「1920世紀古典読書会」の近況です。http://www.geocities.jp/ishizukazemi/koten.html

19・20世紀古典読書会 第91回報告会の報告

日時:2012年4月21日(土)

会場:東京電機大学北千住キャンパス

報告:交換と主体化――社会的交換から見た個人と社会

報告者:清家竜介

コメンテータ:西角純二・山家 歩

コディネータ:石塚正英

報告概要:「交換する動物」としての人間が、「贈与(互酬)」「等価交換」「資本制交換」「再配分」という複数の社会的交換形式を担うことによって、それぞれの交換形式によって規定された人格や主体性の在り方と、社会的な共同性の在り方を生み出していることを論じた。このように交換形式を分類するにあたって、贈与や互酬制をたんなる前近代的な過去の遺制、あるいは遅れた習俗ではないかと思われる方もあろう。だが贈与や互酬制は、たんなる過去の遺制・習俗であるのではない。それは今もなお、休みなく不断に機能しつつけている生きられた社会過程にほかならない。先ごろ大変御世話になっている国際政治学者の方が「今後、東日本大震災や原発震災について語ることのできない思想は、もはやなんの役にも立ちはしない」といわれたのを耳にした。まさにそうであろうと、わたしも胸の内で深く同意した。

参考資料:清家竜介著 『交換と主体化――社会的交換から見た個人と社会』(2011年、御茶の水書房)

次回の案内

6月30日 シンポジム「ヘーゲルとオリエント」

ヘーゲルが参照した多大なオリエント関係の資料―ヘーゲル自身がテキストクリィティークを行なったものを含む本邦初訳の資料群―を座右に、<オリエントに無理解なヘーゲル>俗説を根本から書きかえる決定的なシンポジウム! ヘーゲル歴史哲学は東アジアのわれわれによって、21世紀世界に活かされることとなるのです。

 記

日時:6月30日14:00~18:00

会場:東京電機大学千住キャンパス 第1号館2階、1215セミナー室

入館に際して、1階の受付で上記1215室を告げて来客用IDカードを受け取ってください。

主催:19・20世紀古典読書会・アートメチエ研究会(事務局:石塚正英)

予約:事務局(090-3516-8807)

報告:

神山伸弘 「ヘーゲルとオリエント」のあけぼの

石川伊織 1822・23年の「世界史の哲学」講義における中国の取り扱いについて

神山伸弘 ヘーゲルの「世界史の哲学」におけるオリエント世界とそのインド世界の位置づけ

コメント:寄川条路、工藤 豊

司会:石塚正英

資料:神山伸弘ほか『ヘーゲルとオリエント』跡見学園女子大学・神山伸弘研究室(科学研究費補助金による研究)、2012

なお、田中正司先生は、一橋大学時代の神山伸弘氏を評価され、本シンポジウムに期待を寄せていらっしゃいます。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔study511:120617〕