いよいよ都議選が目前だ。この都議選は、なによりもアベ一強弾劾選挙だ。付随して自公政権批判の選挙。アベ自民と公明党への打撃が、憲法の擁護に直接つながってくる。
アベ自民の勢力を減殺し、「市民と野党」連合勢力を大きくすることが、特定秘密保護法や戦争法、そして共謀罪の発動を阻止し、その法の廃止の展望につながる。
さて、私の身のまわりでは、その手応えは小さくない。私は、文京区本郷に住んで20年余になる。20年余ご近所との付き合いは、深からず濃からず…。そのご近所のお一人が、こちらから語りかけずして、「今度(だけ)は、共産党に入れる。安倍さんって明らかにおかしい。公明党も。でも本当におかしいのはこんな人たちを選んだ私たちだものね」と。これは、20年来なかったことなのだ。
この好ましい状況は誰のおかげだろう。アベ自民から見ての「戦犯」は誰だ。メディアは、「都議選の戦犯は安倍首相と『加計3悪人』」と言っている。『加計3悪人』とは、萩生田・菅・下村の3人。
とりわけ、下村博文は文科大臣時代に学校法人加計学園から200万円の闇献金を受領していたとして叩かれ、しょうもない釈明記者会見で、さらに自らの首を絞めた。これが自民党都連会長なのだから、自民党の目はない。
『加計3悪人』にアベを加えた4人だけのおかげではない。いや、さすが自民党人材は豊富だ。日替わりメニューで出てくるニュー・スターたち。おなじみのイナダ朋美、豊田真由子様、そして二階俊博幹事長。
イナダは本当に弁護士なのだろうか。法的素養と法的な思考・判断力ゼロを露呈して恥じるところがない。豊田様の暴言は議員様たちの裏の顔を露わにして分かり易い。河村健夫議員の「あれはたまたま彼女が女性だから、あんな男の代議士なんかいっぱいいる。あんなもんじゃすまない」というホンネと相まって、影響はとてつもなく大きい。そして、大物が登場する。二階俊博幹事長である。
「二階氏は30日夕の国分寺市の演説で、自身を含む政権中枢の発言を伝えている報道機関に矛先を向け、『マスコミは偉いには違いないが、偉いと言っても限度がある。あんたらどういうつもりで書いているのか知らんが、我々はお金を払って(新聞を)買ってんだよ。買ってもらっていることを、やっぱり忘れちゃダメじゃないか』と述べた。
この論理、「スポンサー・ファースト主義」という。あるいは「スポンサー・オンリー主義」。「国が金を出しているのだから、国立大学では日の丸・君が代を掲揚斉唱しろ」というあの理屈。いまや、「スポンサー・ファースト主義」は三歳児からの幼稚園・保育施設に「国旗国歌に親しむ環境」の押しつけにも使われている。
「我々はお金を払って(新聞を)買ってんだよ。買ってもらっていることを、やっぱり忘れちゃダメじゃないか」というときに、二階の頭の中にある「我々」とは誰のことだろう。
政権や権力中枢のことだろうか。与党勢力のことだろうか。あるいは企業のことだろうか。
それにしても、ジャーナリズムに対して、堂々と「カネの力に屈せよ」という、凄すぎるこのセンス。さすが自民党幹事長。やっぱり安倍さんと、安倍さんにつながる人々はおかしいのだ。
コチラから見ての最大の功労者、アチラから見ての最大の戦犯は、やはりアベ・シンゾー本人なのだ。それにしても、明日、新たに檜舞台に躍りでる人は誰だろう。楽しみでならない。
(2017年6月30日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2017.06.30より許可を得て転載