いつの日かこの踊りが津々浦々に広がらんことを

2012年2月5日 連帯・共同ニュース第223号

■  テ ント前広場ではにわかに盆踊りの稽古のような光景が現出していた。これからはじまる「かんしょ踊り(会津磐梯山古式踊り)」のためである。武藤類子さんがまず踊って見せてみんながそれに続く。その武藤さんはこの踊りについてこう述べている。「この踊りの激しさ、強さ、集団で繰り返す迫力が為政者をおびえさせ、いろいろ干渉がなされてきました。が、いまでも、この踊りは、何世紀もの風雪に耐えて生き残っています。これが本当の福島の力でしよう…」。広場では7,80人が輪になって踊り、2,30人が取り巻いてみている。「会津磐梯山は宝の山よ、笹に黄金の…」というよく知られた歌詞も聞こえる。僕は何とはなしに『7人の侍』(黒沢明)の最後の方の場面を想起していた。野武士との戦いに勝った農民たちが田植えをしながら歌う光景である。あの映画では戦いの後に登場するが、目の前の踊りは戦いの初めにあるものと言える。いつの日かこの踊りが脱原発運動の象徴となって津々浦々に広がらんことを願う。脱原発運動の勝利が見えたとき大きな輪でこれを踊れたらいいと思う。脱原発運動の勝利が民衆の勝利のうちにしかない以上、誰もが心底から願っていることなのである。

■  1月24日の撤去命令は命令のままではあるが、テント取り巻く動きは大きく変わりつつある。体制や権力にとってテントの存在が危機感につながるのか、視線は厳しくなってきている。経産省側は命令書を補足する副本(弁明書)を提出し、法的準備を強める一方で、日常的にはカメラでの撮影を含めテント内や周辺の監視を強めている。他方でテントの存在を初めて知り、激励に訪れる人も増えている。地方から駆けつける人、外国からの人の訪問が目立っている。テント前に座り込む人、テントで談笑する人なども増えていてテントが意志空間として厚みを増しているのが実感できる。「テントはまだありますね」「テントがあって本当によかった」等の言葉を笑顔で投げかけてくれる。テントをめぐる体制や権力の動きと国民の動きは相互に高まっている。

■  あの「3・11」からの一周年が近づいている。このための集会や行動が予定されている。東京では2月11日(土)に「さよなら原発1000万人署名」が渋谷の代々木公園ケヤキ並木で集会とデモを行う。13時30分から集会、14時30分からデモの予定。これに先立ち同じ場所で11時~12時で前段集会「再稼働阻止、テントを守ろう」がある。前段集会も含め集会に参加を。3月10日・11日福島や東京での等での行動については改めてお知らせする。 (文責三上治)