えっ? そっちのホテルは、忖度のサービスは無しってか。

昨日(2月17日)の衆院予算委員会質疑は苦しかった。ホテルニューオータニの方は、事前に丸め込んでおいたから、まあ、何とかボロを取り繕ってここまできたが、ANAインターコンチネンタルには十分な手当をしてこなかった。手薄のところから手痛い一撃。虚を突かれて嘘がばれちゃった。私が、「書面はないが、内閣総理大臣として責任をもって答弁している」なんて恰好つけて、我ながら、みっともないったらありゃあしない。

立憲民主の黒岩宇洋議員を「嘘つき」呼ばわりし、「人間としてどうなのかな」とまで言ってきたのに、全部自分に返ってきちゃった。どうしよう。どうしたらいいんだろう。

問題は、2019年の「桜を見る会」前日の「前夜祭」だったはず。ホテルニューオータニと久兵衛は話が分かる。ところが、ANAインターコンチネンタルは、堅物の朴念仁だった。これが計算外。

17日の午前中には、辻元清美から、ANAホテルからの回答メールを突きつけられた。2013年以降に同ホテルで開かれたパーティーについて、「明細書を主催者に発行しないケースはない」「政治家だから例外としたことはない」などと、はっきりとしたものだ。だから困った。

午後の関連質疑では、少々不安だったが、強気で行くしかなかった。「安倍事務所がホテル側に問い合わせたところ、辻元氏への回答は一般論で、個別の案件については営業の秘密に関わるため、回答に含まれていないとのことだ」と答弁した。何とかこれで切り抜けたかと思ったら、その日の内に、朝日と毎日が余計なことをした。ANAホテルに問合せをしたというんだ。私を窮地に陥れようという、新聞社も新聞社だが、ホテルもホテルだ。新聞社の取材にまたまたメールで回答したのだという。内閣総理大臣の私に忖度なしだ。

「直接(首相側と)話をした者が『一般論として答えた』という説明をしたが、例外があったとはお答えしていない。私共が『個別の案件については、営業の秘密にかかわるため回答に含まれていない』と申し上げた事実はない」と、これはまたはっきりした言い分。「弊ホテルとしては、主催者に対して明細書を提示しないケースはないため、例外はないと理解している」とまで書いてあったそうではないか。これじゃ、かたなしだ。私が嘘つきだとバレちゃった。

安倍事務所がオータニの広報部長ら二人を議員会館に呼び出したのが、昨年11月15日のことだ。ここで、公職選挙法・政治資金規正法の違反を免れるスキームを作ったはずだ。安倍後援会・安倍事務所は契約の主体じゃない。参加者一人ひとりが契約主体で、会費は5000円と確認した。この報告を受けて、私はその日に安心してぶら下がり会見をやった。

さらに、産経が「銀座久兵衛」を取材して、「桜を見る会」前日の後援会夕食会には、「うちの寿司は出していない。報道は間違いだ」とする記事を書いたのは、その日の深夜のことだ。これで、防戦できるかと思っていた。

ところが17日には、明らかに私の方の旗色が悪くなった。ニューオータニも久兵衛も、サービス業の常道として、客の顔を立ててくれている。どうして、ANAは、ああ頑なにホントのことを言っちゃうんだろう。忖度もサービスのうちじゃないか。もう、安倍政権に尻尾を振っても商売にはならないということなのか。それとも、ホテルマンにも矜持があるということなのかね。プライドなんて、商売にならないのにだ。

しょうがない。また、もう一本、尻尾を切ることにするか。

(2020年2月18日)

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2020.2.18より許可を得て転載

http://article9.jp/wordpress/?p=14334

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〔opinion9468:200219〕