きょうは、何の日だったのか~新型ウィルス感染拡大の中の祝宴

今日2月23日が何の祝日かと改めて問われると、一瞬、戸惑う人も多いのではないか。昨日から今日にかけて、天皇誕生日を前にした21日の記者会見や一般参賀取りやめの報道に接して、ようやく思い起こす人も少なくない。いまや、新型コロナウィルスの感染拡大が、高齢者はもちろん受験生や学生、生徒たち、国民の関心事といえるだろう。

これほどまでに感染が拡大したのは、ひとえに、政府の中途半端な対策が原因だったといえるし、この段階に至っても、オリンピック・パラリンピックを控え、ともかく、ことを大げさにしたくないという情報操作や印象操作がなされていることに気づく人たちも多くなったのではないか。

自分では何もやらずに「速やかに適切な対策を取るよう指示」し、夜は、経済人、論説委員、はてはタレントたちとの会食を怠らない首相、「国民の健康と命を守る」を口癖のように語りながら、そのすべを知ろうとせず、責任を果たせない首相。天皇は、新型コロナウィルスによる罹患者とその家族への見舞いとその治療や予防にあたる人たちの労苦に思いを寄せていると述べ、加藤厚労相は、イベントや集会を一律に制限するものではなく、主催者の判断に任せるとの発言もあるなか、470人が参加した天皇誕生日の祝宴は開かれ、各国大使らとの茶会も催されたのである。東京都のイベント中止の基準の500人規模、飲食提供の二要件を満たしているわけで、参加者は、高齢者が断然多いに違いないし、もし感染者でも現れたらだれが責任を取るのだろう。

各地から、感染拡大の報告が入る中、不都合が起これば、「真摯に受け止め、反省する」と言って置きさえすれば、ことが済み、有識者会議や専門家会議の意見を踏まえた形の対策であったとの言い訳を繰り返すのではないかと、不安が募る。要するに、自己責任として放置されかねないのである。

初出:「内野光子のブログ」2020.2.23より許可を得て転載

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〔opinion9482:200224〕