くらしを見つめる会つーしん NO.231から 2024年4月発行

パレスチナ連帯 京都の参加者からの報告 
昨年(2013年)10月7日、パレスチナ自治政府であるハマスによるイスラエル軍事施設12か所への奇襲攻撃で始まった今回のイスラエルのジェノサイドは、3月末現在で176日目になり、がれきにうずもれた人々を含めてパレスチナの死者はすでに4万人を超えた。これは「戦争」ではなく、イスラエルによる「反撃」でもない。圧倒的な軍事力を行使したイスラエルの一方的な大量虐殺(ジェノサイド)である。
こうしたなか、10月20日、京都市民有志が京都大学で、23日には「〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会」によって早稲田大学で岡真理の緊急学習会が催され、これらの講演をまとめて『ガザとは何か』が出版された(大和書房 1400円+印税)二つの講演会を機に始まったパレスチナ連帯デモは、10月29日から開始され、パレスチナ人を含めて最大245人、最小154人、平均201名で推移してきた。このデモは停戦実現を(とりあえず)当面の目標として続けられる。

◆「憎しみの連鎖」で語ってはいけない
【ヨーロッパ・キリスト教社会における歴史的なユダヤ人差別と、近代の反ユダヤ主義、その頂点としてのホロ・コーストーー西洋社会はこれらの罪を、パレスチナ人を犠牲にして賄ってきた】(同書175頁)。調査報道でスクープを連発して来た「しんぶん赤旗」日曜版ですら、昨年11月5日号で『終わらない報復の連鎖』という大見出しを掲げている。そして見開きの右ページには、いずれもロイターからの配信で、「ハマスに殺された妻と息子の葬儀で哀悼の意を示すイスラエルの男性」、「支援物資を配るパレスチナ新月社の人々」の写真を掲げているが、この配置や説明では、イスラエルが爆撃によって、解放すべき人質もろともパレスチナ人を殺害している事実や水・電気・医療や食料の供給を遮断しているという事実が見えない。
こうした 【報道によって事実から人々を遠ざける】ことを認めてはいけない。
パレスチナにおいて「中立」とは「虐殺に加担する」ことにほかならないのだ。アメリカでも正統派ユダヤ人によるジェノサイドへの抗議がはじまっている。「私たちの名によって虐殺を行うな!」「自分たちの肉親や親族、愛する者が殺されたホロコーストの記憶を、パレスチナ人を殺戮することの正当化に利用するな! それはホロコーストの死者たちに対する冒瀆だ」とイスラエルに抗議しているのです。

あからさまなイスラエルびいきをしてきたアメリカは、国連職員であり医療従事者である自国民までもがイスラエルに殺害される事態を前に、安保理決議で拒否権を行使せず、棄権に回りましたが、軍事援助は相変わらず継続しています。忘却が次のガザを準備する!
パレスチナが領土を回復し、引き抜かれたオリーブの樹が再びたわわに実を着ける日まで、今度こそパレスチナが忘却されることが無いよう連帯していきたい。 (児玉正人)

……中略……

?こんな本いかが?
『プライバシーこそ力:なぜどのようにあなたは自分のデータを巨大企業から取り戻すべきか』カリッサ・ヴェリツ著 平田光美 平田完一郎訳
スマホやパソコンで検索したり(メールやSNSで)発信したあらゆる個人情報は収集され、誰かの利益のために売買されている。ビックデータとして収集されるので個人は特定されないと言われるが、数種のデータを合わせればどこの誰の情報かすぐに特定できてしまう。多くの人がSNSでプライベートな情報を自主的に発信している現状は独裁者にとっては望むところ。プライバシーは人の尊厳であり「力」。デジタル大量監視は巨大IT企業や政府に強大な権限を与え、一般市民から力を奪う。不適切なアルゴリズムによって不平等や差別が助長されること、Facebookのあくどさについて、個人向け極端な広告が選挙結果にも影響し民主主義を歪めることなど数々の指摘に背筋が寒くなる。しかも、デジタル化は当然で、拒否すれば乗り遅れると思わされている現状の問題は深刻だ。本著では私たちにできることも提案している。どんな社会システムも人々の協力無くして成り立たない。監視資本主義に協力せず、プライバシーを守る行動をとること。自身と共に友人や家族のプライバシーを第一に考え、スマートなものよりアナログなもの、事を選ぶ。検索エンジンをGoogleからダックダックゴーに変える、IT企業に依存しない・・等々。今年3月欧州議会は包括的AI規制法を可決した。デジタル化に遅れまいと突っ走るのは超危険。本著の終章だけでも読んでおきたい。

〈編集後記〉
成長が壁に直面し、断末魔の資本主義。経済評論家の植草一秀さんは、W・戦争‥利益のために戦争を作り出す。P・パブリック・・公共(水道や公園、学校など)を金にする。F・フェイク・・ワクチンビジネスなどパンデミックビジネス、以上W・P・F、3つのビジネスが世界中で横行していると指摘されています。人々の暮らしを破壊し、命が奪われることになっても自分たちさえ儲かればいいという、弱肉強食の新自由主義。今の日本は米国の下、政・官・業・メディアによって支配され、人々の幸せが顧みられることなく誰かの儲けのために政治が動いています。自民党の裏金問題が明らかになって、自民党ぐるみの不法行為、脱法行為がわかっても、何億という不透明なお金が使途不明であっても、議員の逮捕者はほぼ出ません。法治国会なら、みんな逮捕されてしかるべきなのに、検察も裁判所も公正に動いているとはとても思えません。選挙がお金で左右され、不当に当選したかもしれない議員たちによって税金の配分が決められ、大切な公共が外資や資本家に売り渡されています。庶民は増税、大企業は減税の消費税は物価高でも減税さえせず、格差は開くばかり。日本が米国の戦争に参加させられる危険が間近に迫っていても、他国の脅威を煽る報道に多くの人は踊らされ、防衛費増や南西諸島の軍事化を容認もしくは無関心。法案や政策決定が無茶苦茶で、あれもこれもと社会を壊していく酷い状況なのに、自民党や維新の政治に危機感を持たないままでは本当に食料危機も戦争も止められなくなります。政府やマスコミからの情報はW・P・Fビジネスを進めるためではないか、流されず、考え、多くの人がNOを言うことで破壊を止められないかと思います。 (きくこ)