本当に時の流れは早い!とため息をつきたくなります。とくに「こいのち通信」を作る時に、「ええっ!もう一カ月!ウソっ!」と思ってしまいます。ああ、10月号も10月には間に合いませんでした。秋は忙しい! おまつりもイベントもほぼコロナ前と同じに行われ、一日に二つも三つも重なったりします。もう「暑いから」なんていう言い訳はできませんから。気持ちのいい季節です。紅葉やキノコも気になります。パソコンの前に座っている場合か!とも思いますが、もう11月も間近・・・。青い空が恨めしい・・
そんなこと言っていられないのが、ウクライナだけでなく、パレスチナで何千人というこどもたちが殺されていく、というどう考えても許せない事態。何をもって正当化するのでしょうか。この世に生を受けた以上、「生きる」権利は誰にも奪われてはならないのに。一刻も早くこどものいのちを奪う最悪の事態を終わらせてほしい、それができない人類の愚かさを日々感じながら、先日世田谷区平和資料館に行ってきました。2015年に開設されたのは知っていましたが、これまで行くチャンスを逃していました。知り合いのジャーナリストだった方が所有している広島、長崎の本や漫画などを、都内で唯一平和資料館を持っている世田谷区に引き取ってもらえないかと言われ、区に話を持っていったら、とんとん拍子に受け入れが決まり、この機会に遅ればせながら訪れました。世田谷公園の中に、あまり目立つことなく佇んでいる資料館ですが、展示の内容はとても充実したものでした。太平洋戦争時代、世田谷区内には軍の施設が溢れ、駒沢公園は巨大な練兵場だったし、今ある私立や国立の学校の多くが軍用とされていたこと、世田谷の小学生たちはほとんど疎開を強いられていたこと、区民から寄贈された戦時の生活を表す品々。世田谷の地でそれらを知ることは、私たちが生きている今をまさに考えることにつながります。平和資料館は「せたがや未来の平和館」という愛称をもち、戦争を単に過去のものとするのではなく、二度と繰り返されないような「未来」を展望する道へと導くものにするという思いが表されています。また「従軍慰安婦」「南京の大虐殺」など日本のアジア諸国への「加害」の事実も、教科書の記述を紹介しながら言及されています。沖縄戦、広島・長崎、そして今も世界中で止むことのない戦争についての展示もあり、なによりも「平和であるということは、単に戦争がないという状態のことではない」というコンセプトを持っていることがとても大切なことだと思えます。この場所を多くの区民、とくに子どもたちに知ってほしい、もっともっと学校でも活用してほしい、という思いが募ります。世田谷ボランティア協会の情報誌「セボネ」12月号で取り上げることにしましたので、ぜひ読んでください。こんなに気持ちのよい昼間、世田谷公園にお出かけください!と誘いたいです。
9月に、「こどもいのちのネットワーク」の元祖とも言うべき保坂区長に来ていただき、「世田谷の教育をどう変えていくのか?」をテーマに話し合いをしました。四期目にどうしても取り組んでほしいのが、教育改革、です。前号では、それぞれの現場から出された意見を少し紹介しましたが、アンケートに思いの丈を書かれた方も多かったので、今回は参加者からの意見を出来るだけ紹介させていただきます。読んでいただき、意見に対する意見や感想などをまた投げ返していただけたら、この会全体が豊かになると思います。ぜひとも続けたいという声が大きく、三か月に一度、つまり季節ごとに一度は大勢集まって、「熟議」をしたいと思います。保坂さんも受けてくれました。「教育車座集会」です。1996年に「こどもいのちのネットワーク」が立ち上がった時、二週間に一度くらいの会議を重ねる度に、人数が雪だるまのように増えていったことを思い出します。今回もそんなふうに、どんどん関心を持つ人の数が増え、世田谷の教育が画期的に変わり、どの子どもたちも、そして大人も幸せでいられるようになることを願っています。夢はかなえたい!
10月21日には、第二回世田谷教育総合会議が開かれました。途中からズームで参加しましたが、今ならYouTubeで見る事ができます。「教育大綱」の素案を議論する会で、区長と教育委員の傍らには、教育の「主体」である子どもの代表として、小5と中2の生徒が6人参加し、取りまとめた意見を発表したり、委員からの質問に答えたりしていました。事前には24名にアンケートが配られたそうです。「子ども基本法」にも、必ず子どもの意見を公開の場で聴くことが定められています。もともとは「子どもの権利条約」12条にある「意見表明権」の具体化です。教育大綱は、9月号にも全文を載せましたが、短いものです。「憲法の前文のようなものにすべきだ」というのが、策定した教育委員たちの意図だったようです。渋澤委員は「詩にしませんか?」と提案されたそうですが、行政ありきたりの退屈な文書ではなく、斬新な感じもします。でもこれは「理念」「柱」なので、問題や課題がある時に立ち返るべき指針、ということなのでしょう。大事なのは、憲法と同じく、「どう活かしていくか」なのでしょう。坂倉委員(東京都市大の先生)は「どう地域で広げていくか。単に理解するのではなく、世田谷の教育について話し合う機会となり、想像力が刺激され、一方的な情報発信ではなく、カジュアルな対話の場になり、日常会話の場でも語られるといい」と語りました。子どもたちに響いた言葉は、子どもは「未熟な大人」なのではなく、個性をもった独立した人格だ、という部分。「気候危機も、大人が未熟だったから起こったこと。子どもも大人も一緒に考えなくてはならない。これまでの学びでとはちがい、解決が難しいものをみんなで考えていく。わからないことがわかった、というのも重要な学びです」と保坂さんは語りました。憲法に匹敵するような「教育大綱」ならば、まず学校で、子どもたちとともに考える、書かれている意味をみんなで考え、吟味し、実現するためにどうするかを出し合うという作業が絶対に必要なのでは、と思えます。「忙しい、時間がない」と、片隅に放っておくものではなく、ぜひとも取り組んでほしいです。そして「未熟な人を育てるのが教育ではなく、大人も共に育つ、という大人の覚悟が必要」と澁澤委員が語ったように、やっぱり「大人の生き方が問われている」んですね。「大綱」という言葉に何となく違和感を覚えますが、みなさんもどんどん「意見表明」お願いします。「通信」を熱心に読んでくださっている小倉志郎さんから、「教育大綱」への意見が寄せられましたので、それも紹介させていただきます。 (星野弥生)
「世田谷の教育をどう変えていくか?」へのアンケートより
★今回の内容についての、思いや考えを。
〇教育費が足りない! 1クラス20人か、担任を増やして欲しいと思います。
〇区長のお考えの通りに進むことを期待します。保育の質は落とさず待機児ゼロはうそです。質はどんどん落ちています。保育士は主体的なんて言っていられず、オルタナティブとは程遠いですね。それは学校に行った時に困るから、大人の言うことをきけない子はNG.座っていない子はNG、好きなことをするのはNGと考えてのしつけです。学校がそうではない、そういう時代から変わったのだ、オルタナティブ、イエナプランという教育の考え方にシフトしているというのが、現実になって欲しいです。それによって乳幼児のプレッシャーもなくなり、質が高くなるのかもしれません。乳幼児期にしっかり主体的に生きることが保証され、自己肯定感のある子に育って、自分の考えを言え、多様性を味わえる子を育てることができれば、学校教育もスムーズになるのかもしれません。
〇タブレットの導入により、子どもの日常がずいぶん変わったと思っています。情報の多さ、それを受け止める力がないように感じる。教育を考えるのはよいことだけれど、子どもの意見を聞く、それを生かした大綱になっていればよいと思うが、どうなのだろう?
〇保坂さんの教育政策の中には、分離教育=差別である政策が含まれます。不登校支援校は構造的には問題児を外に排除する仕組みになります。世界的には別の場所に分けるということは差別です。アパルトヘイトは「分離」という意味です。世界的には分離=差別は常識です。
〇たくさんの方のお話が聞けてよかったです。世田谷の学校の先生は本当にあぐらをかいています。国立第二中学での取り組みを世田谷区でも行ってください。私は銀行員で人材育成を20年担当していますが、学校での教育に協力できます。
〇大人の苦悩はよくわかりました。子どもの苦悩はあまり語られなかったように思います。苦しい子どもたちにどんな教育が必要か、教育よりも介護に力が入っている社会をどう考えるかは大きいことと思います。
〇日本の教育は、昔はよい軍人、戦後は24時間戦える社員、と物の言えない労働者を育てる。子ども自身が将来しあわせになることからかけ離れてしまうのは、今も昔も変わりなく思います。
〇少しずつでも、できる、やれる、変わる、ということを伝えられるモデルをつくっていくことは大切だと思います。小さくても「できるじゃん」っていう実例をつくるのは大切だと思います。
〇様々な意見、情報を聞くことができてとても有意義な時間でした。最後に出た、プロの人材プールはすぐにでもできそうですね。ぜひ進めてほしいです。
〇不登校がふえるのは、やはり学校に問題があると思う。学校を変える必要があると思って参加しましたが、区長のお話は全くそうでなかったので残念でした。参加者の皆さんの意見もインクルーシブを求めるもので、大いに共感しました。先生自身が、何を、どう子どもたちに伝えるのか、自身で深める、仲間と議論する時間が必要だと思います。教員の自発性を醸成したいものです。
〇現場が変わっていくためには、教員の組織で自由な議論ができる働きかけが必要と感じます。インクルーシブは、現状の学級人数ではとてもできないと思います(小学校で教育1名が35人の世話をする、等)。また個々に合理的配慮を求められていくと、学級単位での学びが崩壊してしまいます。そういった具体的なことを教員自身が議論できるようになることを期待します。また、学校と福祉と医療とが地域で密に連携することが子どもの利益につながると思います。特に小児医療は個々の患者さんを治療するだけでなく、「学校を支える」という使命を持っていると考え、日々働いています。今日のような催しが積み重ねられていることに敬意を表します。良い会だと思いました。また開催してください。
★世田谷の教育について、今後、何ができるか、ご希望、提案など
〇若者支援や子ども支援において、施設などはかなり充実してきていると思いますので、インクルーシブ教育、多様性を受け止めた学校運営をはかる上で、現場の教職員の意識変化を促進してほしい。
〇テストを見直すことの指示を区長として出してほしいという意見に賛成です。
〇区民が教育現場で支援に入りやすいシステムを作ってほしい。私は新宿区の放課後支援員に登録しています。そのようなシステムが世田谷にもあるとよいのに。
〇世田谷区で実現する教育大綱の考えを広めていくことは、日本の考えを変化させることにつながると思っています。地球の中の世界の中の日本の中の世田谷の人の中にあるものを育む、共有して、共通のものに広がっていくことを意図したいです。
〇インクルーシブ教育を国立市のように進めていただきたい。難しいことだと思うのですが、方向性として教育大綱を作ってほしい。
〇区民の声を聞き、区民の力を利用して行政と区民が協力しあえる関係を作る必要を感じている。区から「ほどこし」を受けたいのではなく、区とともに良い社会を作っていけたらと考えます。
〇区としては「無理にやらなくてもいいこと」と「ぜひともやるべきこと」の交通整理が大事でしょう。私は直接的には3年間しか関わっていないので、長年いる方(の意見)を率直に受けとめてください。
〇新しい教育の質の中身を考えていきたい。インクルーシブ教育が学校の質を変えていくと思います。
〇インクルーシブの方向へ行く為に、先生たちを楽にすることへ進んで欲しいです。ボランティア、大学生、大学の先生などによって。
〇憲法やウクライナ戦争、南西諸島の戦争の危機などをどう子どもたちに伝えるのか、教師の間で議論できるような学校であってほしいです。
〇とにかく校長の意識を変えてほしい。桜ケ丘中の西郷校長の後に続く人がもっともっと出てほしいです。小学校の現場で働いていても、結局子どもたちは軍隊のような命令に嫌々従っているような状況です。息子(小4から不登校、現在中一)の学校も軍隊です。先生たちの意識を変えるには校長が変わらなければダメです。いまだにあるブラック校則・・なくして欲しいです。頭が化石の校長たちと、教委のギャップをどうにかして埋めたいものです。
〇教育大綱はなんだかたのしくないな、と思いました。コロナの時に思ったけど、大きな中心校の周辺に寺子屋みたいに行ける場所がたくさんあったらいいな、と思います。おでかけひろばで受け入れたらいいじゃんと思う。最後の方のご発案、いいなと思いますが、現場ではカリキュラムを組むのが大変で、世田谷区の「みどり」の出前講座など、入り込むことが難しいです。指導要領から変えないといけないかもしれない。
〇息子が桜ケ丘中学でお世話になっています。地元の中学へ進学予定でしたが、受け入れを断られたからです。公立中学でも断られることがあるのに驚きましたが、断る学校へ進学してもよいことはないだろうと、越境することにしました。桜ケ丘中でとてもよかったと思っていますが、校長先生が変わられてから「普通の中学化」が進んでいるのが気になっています。
〇行政にまかせるのではなく、区民が目を向けていくことで学校内部の変化が出るのではないか。区民が教員と一緒に考えていく場があると良い。教員を責めることは絶対しない、というルールのもと、ですね。子どもは学校のせいで苦しんでいるだけでなく、家庭の在り方で苦しむことも多いです。
〇思いのある人が議論でなく、現場に入ってみんなが直接こどもとかかわることが一番大切な気がする。大人が話し合うだけでなく、子どもの声をきくことが大切で、自分自身も目の前の子どもに向き合いたい。
〇今ある小中学校を変えてほしい。世田谷の小中学校の先生は子どもに寄り添わず、子どもを自分たちの思い通りになるようにしている。個をのばす教育を推進していってほしい。公立の小中学校を世田谷から変えましょう。娘は小3の時に先生のパワハラを受けて中三の今も学校に行けていません。クラスをまとめるために、数人を徹底的にいじめる先生でした。提案① 1クラスの人数を20名以下にする。教員の補助をする。提案②いじめ、不登校になったクラスの担任が、対応方法を相談できる教育委員会の担当者をつくる。
〇「子どものためと思って」「良かれと思って」「できない子に最適な教育を」とよく言われますが、それで、別の場所に分けるという理由にはなりません。別の部屋や別の場所においやるのではなく、同じ場所で共に学べる教室に。
〇保坂区長の代で、やさしい、かんたんなことでよいので、みんなの一つの想いを発信してもらいたい。教師の方が言っていた「普通の学校をどうするか!」をしっかり考えるべきと私も思います。
〇区長の考えが実現できるよう・・・。ヨーロッパの指導者のように、スキルの高い教育者を育てる。大人が上、子どもが下という上下関係・・・教えることしかできないという教育者がいないように! 子どもの育ちは、ゼロ歳児、保育園からすでにスタートしています。学校と乳児、幼児を切り離さず一筋の育ちとして見ていくシステムを実現する。世田谷コンパスをもっと具体化。
〇子どもに選択権を。
★「こいのち通信」9月号拝受。さっそく読み,どうしても「世田谷区の教育大綱(素案)」について伝えねばと思ったことがあります。
1,今の学校教育は、中央集権的で文部科学省による「上意下達」式の方針によって行われていると感じています。つまり、学校という教育現場で生徒と対面しながら働いている先生たちの体験に基づく考え方が反映しづらい、いや、反映できない状態に陥っていると思います。学校内でも校長をトップの「上意下達」の運営がまかり通っています。つまり、学校という組織が非民主的だということです。これを課題としてまな板に載せるべきです。
2.もっと大事なことは、校内での政治の扱い方です。現在は、政治についての議論がほぼ禁止状態です。先生は時事問題を取り上げた場合、自分の意見を言うことができない状態です。言えば、生徒の親に学校に密告されます。
3.これも重要なこと。即ち、現憲法の素晴らしさを学校の中で徹底的に教えるべきですが、現状は疎かになっています。選挙での投票率の低さはそういう所に原因があると思います。現憲法は素晴らしいから改憲すべきではない、などと先生が言えば教頭や校長からにらまれて、評価が下がるのが今の学校内の状況です。
4.以上のような根本的な問題を世田谷区の教育ではどうするのかを教育大綱に反映していただきたいです。 (小倉志郎)
『「公園」ってだれのもの?~生き生きとした社会は“近所の公園”から始まる!~』
(11月18日(土)18:30~21:30 うめとぴあ・実習室にて)
公園は、もちろん「みんなのもの」です。でも、「みんな」ってだれを指すのでしょう?元気な人、元気じゃない人。意見を言う人、言いにくい人。動き回りたい人、静かに過ごしたい人。人だけじゃなくて、草花・虫・鳥・動物も?・・・色んな「みんな」が、互いにそれぞれ楽しい、一緒に楽しい。出会えてよかった・落ち着く・うきうきする、そんなのがいいですよね♪ 一緒に考えてみませんか?(チラシ、リード文)
「近頃の公園は、禁止看板が多過ぎる」と感じ始めている人は多いでしょう。あれもダメ、これもダメ…声の大きな人・時間に余裕のある人が苦情を管理者に伝えると、それがすぐに対策という形になります。「禁止」と言われると、素直な子どもたちは、すぐにあきらめてしまいます。これは、従順な大人になってゆく「教育」なのでしょうか?事なかれ主義の大人の都合でしょうか?どちらにせよ、深刻な問題です!
土地の高度利用が進んだ世田谷では、のび太たちが遊んだ様な放置された空き地など、もはやありません。子どもたちが、野放しにされて、手探りで経験値を上げてゆく機会は、人格形成の上でもっと重要視されるべきですし、世田谷発のプレーパークの思想は、まさにそんなところにあります。
しかし「都市公園」というものは、老人から赤ちゃんまで、誰もが安心して過ごせる、多目的な野外空間です。元気な人と、元気でない人との共存をどう図るかは、簡単ではないでしょう。
その上で更にあるのは、都市での自然環境の確保の重要さです。多様な生き物が絡み合って形成される生態系を重視しようというのが「世田谷みどり33」です。単一種の植栽ではなく、雑木林こそが多様な生き物を育む。そして食べられる木の実などの自然の恵みを、動物たちと同じように、ヒトも享受できてもいいんじゃないかという、ちょっと大胆な発想も考えてみる価値があるのではないかと思われます。
色んな立場からの意見が、より良い公園づくりには必要です。あなたも、簡単にあきらめていた「やりたいこと」を、改めて出し合ってみませんか?違いを大事にしあう公園は、違いを大事にしあう社会につながります。「コモン」としての公園についての取り組みをここから始めましょう!(事務局タカハシ)
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