キッチン・ロッソ にて
評者 新海あぐり
紅梅や傷ついた風景(けしき)の向うに 津島佳子
・傷ついた風景は福島でした。まもなく九年目の3・11.
遠目にも紅梅一樹匂やかに 小宮桃林
・視覚と嗅覚の取り合わせ方が面白い。
紅梅や愛でられもせず地に還り 新海泰子
・白梅に比べてないがしろにされがちな点を詠んだ。
竜天に昇る風聞く祖父の山 新海泰子
・風の強さ、祖父の山への愛。めずらしい季語を詠みこんだ。
マスク真白オセロの如く増殖し 守屋明俊
・マスクばかりの人であふれる今の様子をオセロに託した。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔culture0903:200308〕