この国の政治家の失言には、目くじらを立てても仕方がありませんし、反面、彼らの人間性の貧困が良く露われていて本質を知るには良い、とも思っているのですが、「さっさと死ねるように…」発言は、現政権の社会保障政策のみでは無く、これからの政策に共通した底流として記憶しておいた方が良いように思われます。
http://www.youtube.com/watch?v=Wwdt-jyC-6M
麻生副総理 「チューブ人間はさっさと死ねるように…」 肉声
ただ、こうした発言の際に、彼らの念頭にあるのは国民のみです。 詰まり、自然人の国民(支配層は除く)には「さっさと死ねるように」と促すのですが。
日本経済の御荷物企業、俗な言葉では「ゾンビ企業」には、手厚い保護施策を講じて際限の無い「延命治療」を継続するのです。 今や、躍進しつつある新興国には対抗し得ない単なる製造業には、業績不振ともなれば、エコカー補助やエコポイント等々で、国費に依る延命を図り、日本経済の構造改革に逆行して恥じません。 これも俗な表現ですが、「ガラパゴス」化した製造業は、国際市場で競争も出来無い製品を作り、業績不振になると、国費で尻拭いをしていただけるのですから、無気力にもなります。
ゾンビ企業には、さっさと市場から退場していただき、失業者には、失業保障とともに再就職のための教育等を保障してこそ、経済再生が図れるのです。 しかし、安倍政権の経済再生のためと称する新年度予算を観ても、既得権益保護と、重厚長大ゾンビ(恐竜?)製造業の延命施策のオンパレードで、経済再生とは名ばかりの印象が強いのです。
そもそも、国家行政に依る経済再生等は、不可能です。 私有財産を保障した資本主義経済下の日本において、国家に依る経済再生等は出来る道理がありません。 私企業の再建を含む経済再生は、私企業が行うしか他に方途は無いのです。 国家が行うべきは、企業破綻の後の失業者の保障と再就職対策と、高齢その他で就職が出来ず所得を断たれた国民の保護、起業家への補助、既得権益の撤廃、国民全体の教育水準の向上と社会教育の充実等々の私企業では出来ない領域です。
国費に依るゾンビ企業の延命を図り、転廃業の途上にある土木建設業者に一時の補助をして彼らの努力に水を注し、参議院選挙での得票を図る「バラマキ」が狙いの「アベノミクス」では、この国の運命も定まったと嘆息するしかありません。
「アベノミクス」の理論(?)的支柱である経済学理論を「ゾンビ経済学」と呼ばれたのは、池田信夫氏ですが、ゾンビ企業の救済にゾンビ経済学理論を弾よけにして、日銀を使って財政フィナンスを企図しているのが「アベノミクス」の本質でしょう。 その行く末は、一般の国民が塗炭の苦しみを味わうハイパーインフレか、IMFに国家統治の綱を握られた「制限主権国家」体制化か、誰にも分かりません。