2012年6月30日~7月2日 番外編 その1
■ テントとして3回目の福井行き。今回は今までと事情と緊張感が違う。昨夜の「福島の女たち~国会行動」の後、カンショ踊りをしながら首相官邸前に繰り出し怒涛の10万人抗議行動の興奮をそのままに、何としても大飯原発の再稼動を阻止する一心での福井行きだ。バスに乗る参加者の顔も笑顔の中に強張りを感じるのは否めないだろう。約7時間の旅もいつもとは違って途中の休憩を一回抜いて少しでも早い到着を目指す。渋滞などに巻き込まれバスは遅れ気味だったのだ。
■ 全国集会の会場である「おおい町・あみーシャン大飯」に着くと溢れんばかりの人と熱気にこれから待ち受ける状況に対し新たな決意が高まるのだ。デモの準備に外に出ると高浜原発の作業員だった青年が集会に参加していた。話をすると本当は原発推進なのだが・・・と。原発の仕事から他に変わろうとしたが高浜には若者がしたいと思う仕事がない。今は金にならない仕事についているが3・11以降は原発の危険性に対し迷いがあり、さらに本当に脱原発出来るなら良いと思い今日の参加となったと話してくれた。要するに本来地元が持っていた、漁業、農業その他産業、地場のポテンシャルを無視した原発立地がその力を殺いでしまっているのだ。あの美しい若狭の海と空を人々が有効にそして何よりも人々に幸せをもたらすものとしての意識と活用こそが都会の者にしてみれば何より有難いと感じるのは僕の驕りだろうか。おおい町の街中をデモが行く。
■ シュプレヒコールは山にこだまし雨の空気を震わす。時々地元の人と顔を合わすが特に応援するよようには見えない。が、しかし家のカーテン越しにこちらを見つめる目。何かをしながらもしっかりと僕らを意識した態度が見受けられたことは前回おおい町に入って申し入れ書を戸配した時にも感じたものだ。再稼動反対の僕らの意思に絶対関心がないわけない。中でも森園かずえさんがアピールする福島の声は彼女の切々たる話の内容と町民や警官にまで気配りするその優しさが本当に胸を打つ。『私は子供がいません。苦しんだことも有りましたが、今はいなくて良かったと思います。こんな汚れた大人の世界に、そして放射能まみれになった日本では子供を育てることが困難だからです』『警官の皆さんも聞いて下さい。あなたたちも再稼動で何かがあれば被爆者になるのですよ』『その時は何よりまず逃げて下さい。まずは命が大事なのです』。
デモはオフサイトセンターに向かった。そこに向かう途中、佐藤幸子さんが余りに定型化した言葉を吐く指令車の若い警官を怒鳴りつける場面が。『余計なことは言わなくて良い!福島の声を聞け!』。この後、オフサイトセンターではとんでもない事態が待っているのでした。 (福田 良典)