なぜ赤旗ばかりがスクープ飛ばすのか

 WSJの金井啓子氏が、同紙日本版で「なぜ赤旗ばかりがスクープ飛ばすのか」と現在のマスコミの在り様に疑問を提示されておられます。 
「九州電力の原発に関する「やらせメール」が注目を集めた。また、資源エネルギー庁が『不適切・不正確な情報への対応』のために新聞やインターネットを監視し、原発に関する言論を収集していたことも判明した。このニュース、どちらも日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』が報じたスクープである。」 と事実を提示され、「これだけ大きなスクープが2本、なぜ間をあまり置かずに赤旗から出てきたのか。言い方を変えると、なぜ赤旗からしかこうしたスクープが出ないのか。私はこれを単なる偶然とは見ていない。」と御自身の認識を示されます。

http://jp.wsj.com/Japan/node_276209
【日本版コラム】なぜ赤旗ばかりがスクープ飛ばすのか―「やらせメール」「ネット監視」など The Wall Street Journal 日本版

 実は、これについては、「しんぶん赤旗」の小木曽編集局長が、FMラジオ‐WAVEのニュース番組「JAM The World」に出られ、この間の事情を説明されています(「しんぶん赤旗」7月21日版に記事)。 
 それによると、「やらせメール」については、「直接には、共産党事務所に情報が寄せられた」のが発端とされています。 また、他紙も「いくつかの新聞は事前に入手して九州電力にも確認を取っていたらしい」とされています。 しかしながら、「しんぶん赤旗」のみが、「事実関係に確信を持っていましたので、報道に踏み切った」と説明されています。 
 それでは、何故、マスコミの現状がこうなるのでしょうか。 金井氏は、「既存の大手メディアの劣化が著しいように感じるのだ。」とされ、小木曽編集局長は、前述の番組で「マスメディアの状況の多くは『真実を伝える』、『権力を監視する』、というジャーナリズムの本来の使命を果たしているか少し疑問なところがある」と言われるのです。 
 しかし、私には、「大手メディアの劣化」以前には、小木曽編集局長の言われる「ジャーナリズムの本来の使命」を果たしていたことがあったのかが疑問であるのです。 現在の日本のマスメディアに対して多くの国民が異議を持たれる状況は、過去に比肩してマスメディア自身に何かの異変が生じた訳では無くて、外国通信社や独立系メディア、インターネット経由の情報の流通等により、日本的な情報統制の方途に異変が生じた結果ではないのかと、私は、考えています。 特に、インターネットの力量が特筆に値すると観察しています。
 原発事故に関しても、従来であれば、恐らく政府とマスメディアは、情報統制に成功していたことでしょう。記者クラブを通じての日常的な情報統制を破る方策は、従来は皆無に等しい状況であったのですから。 国民は、御用学者の「説明」に疑問を抱くことも無く、NHKの放送内容に異議も抱かず、唯々諾々として「お上」の言われるままに翻弄されたことでしょう。 しかしながら、今では、孤立しても良心を持った科学者が、個人のブログを通じて情報を世間に発信することが可能ですし、全世界のあるゆる情報が自宅で入手出来る時代です。 言葉の壁は残りますが、やがて障害を克服する技術が開発されるでしょう。 
 数十年前に、東西ドイツを遮る壁が崩れ去ったように、国民と真実を隔てる障壁が雲散霧消する展望が開かれましたが、そうであるからこそ、程なくして、反動的な権力の策動が強まるでしょう。 もう既に、ネットに規制の網を被せるべく法の制定がありましたし、近い将来には、日本の国民が、憲法典で保障された諸権利を内実ともに歴史的展望あるものにして行く行動が求められることでしょう。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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