米軍の垂直離着陸おオスプレイ追加配備をめぐって、沖縄県民の怒りが高まっている折、今度は宜野湾村の米軍キャンプ・ハンセン内の山林に嘉手納基地所属の救難用ヘリコプターHH60が墜落、炎上した。8月5日午後4時ごろの発生で、防衛省への連絡では乗員4人のうち3人が脱出、1人が死亡した。
「米軍の排他的権利」を容認する地位協定
墜落地点から、沖縄県民住宅までは2~3㌔しかなく、大惨事につながる恐れもあり、県民の不安は高まるばかりだ。日米地位協定第3条1項では「米軍の排他的権利」を規定、米基地内での事件・事故には日本の国内法が適用されない。このため日本側の要請にもかかわらず、立ち入りをシャットアウト。事故通告も遅れている。まさに治外法権、米側の処理が優先されてきた。9年前の2004年8月13日には沖縄国際大学構内にヘリが墜落、付近の民家にまで瓦礫が飛び散った。慌てた米側は非常線を張って、日本警察の調査を一切拒否。道路上の落下物まで米側に持ち帰ったという。
さらにキャンプ・ハンセン事故から9日間も管制権を持つ日本側の了解を得ずに飛行している。地位協定を楯に、米軍のやりたい放題が続いているとは恐るべきことだ。
原因未解明のまま、10日余りで訓練再開
米軍は当初墜落同型機とオスプレイの訓練を中止し、事故解明に努めると言っていた。しかし米軍は「事故原因は特定されていない」と言いながら、5日の墜落から10日余りで訓練を再開してしまった。米軍機の墜落事故は繰り返されており、1972年の沖縄の本土復帰以降でも、45件にものぼる。
日本政府の弱腰にも問題あり
琉球新報8月18日付社説は、「あまりにも軍事を優先させ、県民の生命と暮らしを軽視する行為だ。最低限の要求すら受け入れられないこの理不尽な状況がいつまで続くのか。強い疑念と怒りを抑えることができない。米軍の無理解や無配慮をとがめない日本政府の姿勢にもあきれるばかりだ。訓練再開に際しては、県民の最低限の要求によりも、明らかに米軍の言い分に最大限の配慮を示している。こうした対米追従の姿勢が、米軍の沖縄に対する植民地意識、占領意識を助長し、県民の安全軽視の訓練を横行させているのだ。日本政府はそのことをもっと深く自覚すべきだ。宮森小学校へのジェット機、沖縄国際大学へのヘリなど、戦後数々の米軍機墜落事故の恐怖は県民の脳裏に深く刻まれている。空に軍用機を見て轟音を耳にするたびに、いつか住宅地域に墜落し、県民が犠牲になるのではないかとの恐怖が押し寄せてくる。沖縄の土地も県民の心も、基地負担の限界に来ている」と厳しく指摘している。日本政府は、不平等な日米地位協定見直しへ向け、積極的姿勢を示すべきである。
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