もう少しましな政権を樹立するために

「バカな国民の支持を取り込み、バカを利用し尽くす」- これがアベ自民の戦略だ。澤藤統一郎氏(2019年 6月 30日)を拝読して思う事の一つは日本国民はバカではないという事である。

小泉政権ができたとき,ゆとり教育以前の世代が自公に投票した。ニュ-・ヨ-クがどこにあるか分からない若い女性,人の噂も75日と答えられない若者(TV),ロクに漢字も書けず,分数計算もできない大学生。そういう国民を馬鹿というかどうか「バカ」の定義によるが,橋本内閣から超緊縮財政をとり,小泉-安倍内閣まで緊縮財政をとり続けた結果,デフレが20年間以上も続き,多くの国民は貧困化した。富裕層は減税され,法人税率も半減した。その間に貧困層や非正規労働者は毎日の生活に追われ,政治のことを考える暇がなかった。そういう国民を増やしたのが自公の政治戦略であった。

今,山本太郎が立ち上げた「れいわ新選組」とその『8つの緊急政策』が注目を浴びている。4月10日から6月末で浄財が2.2億円集まった。5百円,千円,二千円,いろいろだが低額の寄付が多くを占めるという。寄付した人の主婦は言う。月16万円の収入だが,離婚した娘とその子供たちのために働き続けて今日まで来たが,政治に関心を示したことはなかった。選挙にもいかなかった。それが『8つの緊急政策』を説く太郎氏の街宣を偶然にも聞いて寄付をする気になったという。

これまで投票に行く余裕さえなかった人が自公政権を支えたことは間違いない。また以前から,日曜日ぐらい休ませてくれという非正規の方の話もあった。長時間労働で休む暇もないつまり投票に行くより家で寝ていたい。しかしこのような人たちをバカな国民と呼ぶことができるのであろうか。

消費税で食べるものにさえ課税し,非正規労働者を量産し,政治への参加を奪った政策こそ立派と言わざるを得ない。それは国民がバカだったことと同じ意味なのであろうか。

今,「れいわ新選組」の『8つの緊急政策』を知ってバカな小生も目が覚めた。目が覚めた国民だからこそ2.2億円の寄付をしたのではないだろうか。8策の第一は消費税0%である。二十数兆円の税不足は新規国債発行または税収増で賄う。最低賃金1500円。奨学金徳政令で555万人の利払いに苦しむ若者を救うという。公務員を増やす。保育士や介護士など約100万円も低い給料で働く人々を救う。第一次産業で働く人々には戸別補償を行う。これら5つの経済政策によって新規国債発行額は一時的に増えるが,人々が豊かになれば内需が拡大し税収も伸びる。それに応じて投資も増える。足りない分は富裕層や法人への増税で補う。そうしてインフレの経済にする。インフレ率が危険水域A%以上になれば,財政政策例えば消費税A%を導入して景気を冷やす。過去2回,消費税増税を行いリ-マン衝撃以上に景気が落ちこんだ故事に習う。

緊縮財政によって公共投資にあり付けなくなった自民党員の中には自民党支持を止めて「れいわ新選組」支持に回る方も出てきたそうだ。バカな国民だけが自民党を支持するのではない。

安い賃金の中から身銭を切って寄付をする国民がすい星のように現れ,平和を愛する創価学会池田派の中にも安倍支持を止めて山本の街宣を手伝うボランティアが現れてきた。そうした人々の広がりに期待することが「もう少しましな政権を樹立するため」に必要なのではなかろうか。

追記:6月28日,熊本地裁は641人のハンセン病元患者に対する国の補償を認めた(IWJ)。国が国策としてハンセン病患者を社会から隔離してきたのは一種の犯罪である。不思議にも同28日,太郎氏は身体障碍者木村英子氏を「れいわ」の候補者として発表した。木村氏によれば障碍者の多くが社会から隔離され人間らしい扱いを受けていない。一般社会から隔離して人間として扱かない歴代政権にお別れしようではないか。