第一の矢、「異次元緩和」の成果はまだ出ていない。つい最近(2016/1/29)、日銀は金融機関が国債の対日銀販売代金を積み上げている日銀への準備預金にマイナス金利を課すことを決めた。これは、金融機関が国債を日銀に売った代金に金利をつけることであり、ブタ積みされている金融機関の国債売却代金を無理矢理貸し出しに回すよう仕向ける策である。さらに、同時にCPI(消費者物価指数)上昇率を向こう2年間で2%にするという2013/4の目標は、いったん2016/7以降に先送りされていたが、それがさらに2017/6まで再先送りとされた。準備預金へのマイナス金利は金融緩和とは言えない。2年後に実現と豪語していた物価上昇は先送りされた。これは、日銀が金融緩和政策を転換したことを意味しないか?金融緩和を通じての物価上昇は、インフレ機運を醸成し、先取り的消費が高揚し、消費需要(自動車などの耐久消費財を含む)増が設備投資増につながり、経済全体の拡大を招き寄せるという「壮大な構想」の実現が掛かっていたのではないか?本来の「異次元緩和」を採用せず、物価上昇実現を先送り(そうしてみても、物価が上昇する保証は示し得ていない)したのは、日銀が「異次元金融緩和」を通じてのアベノミクスの目標達成を諦めた、アベノミクスの基本的構想の破綻を容認したと言うことではないか!?