アベノミクスはもう過去形で語られるべきであろう。崩れかかっている社会保障制度のてこ入れに「消費税」上げが課題となっていた政権がその先送りを検討し始めている。増税の条件とされる順調な経済情況が見通せないからだ。増税が先送りとなればこれは二重の意味で安倍氏の約束違反になろう。2012年末に民主党の野田総理が衆議院を解散したのは、自民党の総裁に復帰した安倍氏が三党合意の「消費税増税・社会保障制度改革」に同意したからだ。それを反古にして噂されるような2017年4月への先送りは、その時点での安倍内閣の存続がない限り約束違反になる。より重要な第二点の約束違反は、その根底にある景気回復が実現出来なかったことだ。安倍氏自身が世界でも国内でも機会あるごとにアベノミクスで日本経済�!
�長いデフレから脱却させ復活させる、復活したと強調してきた。先送りを行えばそれが嘘っぱちだったことの容認を意味する。
そこであらためてアベノミクスとは何なのかを検討してみたい。すでにアベノミクス批判はあまたあるようだが、私がまとまったものとして学んだのは伊東光晴著「アベノミクス批判-四本の矢を折る-」(岩波書店 2014年7月刊)、服部茂幸著「アベノミクスの終焉」(岩波新書2014年8月刊)、藻谷浩介著「『異次元の金融緩和』の効果は数字を常識的に見れば怪しい」
(Journalism ジャーナリズム no.293 2014年10月)であった。この三点の論説は、私としては大いに首肯出来た。またすでに考えていたことと重複する論点もあった。
ただ、前提としての現在の資本主義経済への認識、或いは新自由主義とか新古典派とか称される経済学への認識?も提示しておきたい。」