昨日(2015/6/15)公表された「月例経済報告(内閣府)」(以後、「月例」と略記)は、「個人消費は持ち直しの兆しがみられる」としているが、これは5月の「月例」と全く同じ文言で、正確な表現ではない。これでは、民主党政権から安倍政権に移って以来のようにもとれる。実際は、2015年1~3月の名目・実質の消費支出(「月例」)は2013年はおろか2012年にも戻っていないのである。例えば、実質消費は2012年で前年比+1.0%、13年は前年比+1.0%であったが2014年で-2.5%と事実上2012年以下に縮小している。金額では小売業販売額は2012年に137,6兆円、2014年は141,2兆円とこの間名目で+2%(以上の数値は「月例」)、同じく消費者物価指数は+2.8%。一般消費者の消費の萎縮は小売業者をも売上げ減に導いて、一蓮托生の生活難に陥っているのである。!
消費者物価を日々の生活に欠かせない食料・生鮮食品で見ると、2015年4月では前者は106.5、後者に至っては115.3である(以上の数値は総務省統計局「消費者物価指数」による)。まる2年に及ぶアベノミクスの下で、多くの庶民、零細業者の生活が著しく低劣かしていることは明らかであろう。アベノミクスのこのような「成果」の意味するところは一つだけだろう。安倍首相の「政治」・「政策」には国民が少しでも暮らし易い条件・環境を整えるという意味合い、目標は入っていないということが明らかではないか。国民ではなく国家が重要な位置を占め、その国家を強大化することが最大の政治目標なのではないか。一般庶民の生活難などには全く無頓着に、国家が国民に強大な力を振るいうる「秘密保護法」や「集団的自衛権」を確立するための「安全保障諸法」制定への強引な姿勢が安倍首相の本当の姿なのだ。