これまでのところで明らかになったのは、アベノミクスは人々の暮らしに、何の恵みももたらさなかったどころか、生活の苦しみを累増させる経済政策であったと言うことであろう。その点は、以下の官庁の資料からも見て取れる。一つは厚労省の『「非正規雇用」の現状と課題』というレポートである。厚労省のホームページで偶々見つけたのだが、ほとんどが図表で、文章は冒頭の3行。他は、図表の出所、注釈だけ。厚労省のいかなる部署の、いかなる担当者が作成したのか、いつ公表したのか、などは全く示されていない奇っ怪な公文書である。ただ、図表は2014年一杯の数値が使われているので、今年(2015年)に入ってから発表されたであろうと推測できる。このような扱いは、以下に示されるようにアベノミクスにとっては不都合な事実が記載されている故か、と勘ぐりたくなる。特に上記3点の解説の第1点は、非正規労働者が「平成6年から16年までの間に増加し、以降現在まで緩やかに増加しています…」となっている。つまり、安倍政権はアベノミクスの下で失業率・有効求人倍率の低下を成果の一つとして得意げに指摘するのが常だが、その実態は非正規労働者の増、正規労働者の減であった。アベノミクスが本格展開した2013~2014年の2年間で雇用者は5,154万人から5,240万人へ86万人増えたが、この間の正規労働者62万人減で、非正規労働者が149万人増えたのである。この結果、雇用者に占める非正規労働者の割合いは2014年末で37,4%になっている。しかし,この数値の大本は明示されいない。
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