正直に申し上げれば、私は「新自由主義」とか「新古典派」とかの経済学は学んだことはない。宇野弘蔵を持ち出すまでもなく、現代の企業は株式会社形式で主要国の主要産業は少数の巨大な株式会社によって支配されている。もちろん利益追求が最大の存在理由であることに19世紀半ばの企業との間に変わりはないにしても…。また、その主要産業も軽工業ではなく巨大な固定資本を擁する重工業だ。その重工業も20世紀初頭から現在への100年ほどの間に多様な産業が登場してきた。もちろんその多様な産業も少数の巨大な株式会社が支配してきた。主要産業を支配する巨大株式会社は場合によっては多様な諸部門を抱えてもいる。需給の変動に伴う利益率の変化に対応するのに、利潤の低下した分野から、より利益の得られる分野への移行は簡単ではない。企業内の不採算分野の縮小・撤退とか高採算分野の買収などを実行するのであろう。こうしたことは、不採算企業の倒産・撤退、有望分野への新規登場という企業行動が自由ではなくなっていることを意味する。また、株の売買が企業のそのときの経営状況ではなく、全くの投機で行われることも大いにあり得る。それぞれの具体的状況を把握しないと現実は把握できない。