アベノミクスとは何だったのか? まとめ④

 もちろん、2%ほどの物価上昇も実現していない。物価はある程度上がっているのだが、それより低い賃銀上昇率を超える程度で、結果的には実質賃銀の低下という効果?を生んでいるだけだ。物価上昇で、人々が近い将来のより早い物価上昇を恐れて早めに消費を増やすなどという傾向も全く見えない。さらに、物価上昇に伴う資産価値の上昇から、懐具合に余裕を感じて消費を増やすなどという傾向も全くみられない。ましてや、物価上昇に依る長期金利の実質低下から設備投資が増大する傾向もない。安倍内閣は、設備投資が伸びないのを心配?して、研究開発投資も設備投資にカウントする処置すら採用した。しかしこれでは、設備投資金額は若干増えることになるだろうが、経済拡大を導くような需要拡大には全くつながらない無意味な処置だ。こうした、意味のない金融政策が3年近く続いているのだ。2014/11(「異次元緩和」後およそ20ヶ月)に日銀の当座預金残高は167兆円、マネタリーベースは259兆円。それからさらに15ヶ月後には当座預金残高が259兆円、マネタリーベース359兆円で、それぞれおよそ100兆円の積み増しである。GDPの7割に相当するお金が溢れているのだが、使われることが無いのだ。「異次元金融緩和」とやらの訳の分からない政策は、輸出数量の激増とか設備投資の急拡大などには全く結びつかなかった。アベノミクスは「破綻」したのではなく、はじめから経済政策としては意味のない代物だったのだ。むしろ、日銀が抱え込んだ360兆円の国債は、日銀を揺るがす時限爆弾ではないか。