アベ絶対支持派の中身は?

共同通信社が14(土)、15(日)の両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は42.7%で、11月の前回調査から6.0ポイント下がった。不支持率は43.0%で、支持と不支持の逆転は昨年12月以来だという。

首相主催の「桜を見る会」の疑惑に関し、安倍晋三が「十分に説明しているとは思わない」は83.5%に上った。首相の自民党総裁4選に反対は61.5%だったと報じられている。

私には信じがたい。こんな体たらくのアベ政権を支持するという人が、本当にこの社会に4割もいるのだろうか。こんな、嘘とゴマカシにまみれ、記録は隠す、捨てる、改竄する。国政私物化をもっぱらとするこんなみっともない内閣を支持する「4割の人」の顔を見たい。

さらに私には信じがたい。「桜を見る会」の疑惑に関し、安倍晋三が「十分に説明していると思わない人が、83.5%にとどまっていることが。世の中は広い。安倍晋三が「十分に説明していると思う」人が、いや正確には、「十分に説明していると思う振りをする人」が11.5%もいるのだ。これこそ、固いアベ支持基盤。ドリルでも崩れない岩盤の11.5%。「なんでもかんでもアベに賛成」「理屈なんぞはどうでもよい。ひたすら安倍内閣を守る」という、この11.5%はいったいどんな人たちなのだろう。

あまり楽しい作業ではないが、想像を逞しくしてみよう。
まず、アベ政権の改憲・壊憲路線を徹底して支持しようという人びと。いや、むしろ改憲先導派と言ってよかろう。アベを首相に据え、アベを操作して改憲を実現しようとしている面々。アベが政権党の総裁であり、首相であるうちが、千載一遇の改憲チャンス。アベが失脚すれば、もしかしたら、改憲は永遠のゼロとなるやも知れない。ならば、アベの人格や品行がどうであれ、改憲のためにはアベのやることは、なんでも支持しないわけにはいかない。アベがボロを出しているのは苦々しいが、そのボロを繕おうという涙ぐましい人びと。こりゃあ,相当数いるのではないか。

次に、アベ政権の経済政策で潤っている人びと。いや、甘い汁を吸っている輩。格差貧困の拡大を安い労働力創出の賢い政策とし、消費増税で大企業減税の財源を捻出するというのだから、「アベ様命」と考えざるを得ない。それに、安倍内閣が、湯水のごとく公的資金を株式市場に注ぎ込んでくれるお蔭として、株式相場の値上がりをほくそ笑んでいる一群。「安倍さんやめちゃ困るよ。濡れ手で粟の儲けがなくなる」。

それに、加計孝太郎を筆頭に、アベ夫妻のお友達として、余得に与っている人びと。アベのご恩に報いることこそ人の道。そんなことが教育勅語にも書いてあったような、ないような。アベ晋三は、お友達のために、岩盤規制にドリルの穴を開けた。その穴から滲み出た蜜に群がった品性卑しい人びと。

さらに、美しい日本にこだわる、歴史修正主義者諸君だ。日本は、美しい歴史と伝統をもっている。皇軍は侵略戦争などやってない。従軍慰安婦なんて嘘。朝鮮を植民地にしたんじゃない。頼まれて、統治してやったんだ。南京虐殺も、関東大震災の在日虐殺も、ぜんーんぶ作り話。と思っている人びと。安倍内閣の後ろ盾があればこそ、ヘイトスピーチも思い切ってできた。アベ政権がなくなったら、見捨てられるんじゃないか。がんばらせなきゃならない。

とにもかくにも反共一点張りという人たち。アベが悪口として言う「キョーサントー」や「ニッキョーソ」に、心の底から共感する連中。この人たちは、アベシンゾーこそは反共の旗手、安倍内閣は反共の砦と信じてやまない。アベがいればこそ、共産党に睨みをきかせている。今、アベを政権の座から降ろしたら、たちまち共産党の暴走を許すことになる、と共産党を買い被り過大評価する人たち。

日本の防衛のためには、核装備も、通常軍事力も、もっともっと必要なのに、アベがいなくなったら、防衛力が削減されて日本は危険極まりなくなる。日本は、中国に呑み込まれるかも知れないし、北朝鮮にもバカにされると、本気で信じている神経症の人びと。

最後に、「桜を見る会」にアベ政権からご招待を受けた、反社の方々、悪得商法の面々。地元下関の後援会員。みんなそれぞれ、アベあればこその晴れがましい「お・も・て・な・し」。アベ政権が倒壊したら、陽の当たるところにいられなくなる。

中には、自分は常に少数派でいたいという、奇特な人もいるのかも知れない。ともかく、みんな質問に正確に答えていない。自分の考えを正確に述べるのではなく、自分がどう答えるかの影響を考えて、回答しているのだ。何が何でもアベを支持という、絶対支持派は10%程度なのだろう。それがほぼ右翼の実数に等しいのだ。

ところで、内閣支持率は12月13日発表の時事通信社の調査でも、前月比7.9ポイント減の60.6%と急落。「安倍離れ」はじわじわ始まっている、そう報じられている。民意のアベ離れ。これがクリスマスプレゼントであり、お年玉だ。来年の桜の季節には、アベザクラを散らしたい。
(2019年12月16日)

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2019.12.16より許可を得て転載

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