米国病?を病んだ現代日本を読み解くために・・
心理カウンセリングの場では、わたしは、毎回が真剣勝負に立ち会うように、
しかし笑顔でお迎えしています。・・
一方、どんなひとも自身が心の病であることにつよい抵抗をもつのは無理のないこと
です。
わたしがその身になっても、かなわないなという思いが先だちます。
そのためらいのなかで相談されるわけですから、 どなたも心中は複雑で、心臓がド
キドキして
いつでも飛んでかえる気持ちと並行しつつ、こちらをうかがいうかがい話されます。
そのうちにわたしのある答えに納得されてやっとのことで、
笑みがこぼれて、ほんとうのことを吐露しはじめてくれます。・・
さて今回は五回目となりますが、「正義の民主主義の仮面をかぶった米国政権の覇権
主義の起源」についてさらに考察をかさねていきましょう。
参考テキストに(「超・格差社会アメリカの真実」(小林由美)を読み込みつつすす
めていきましょう。
– 第一次世界大戦後のベルサイユ条約の締結によって、
敗戦国ドイツは領土割譲の屈辱にくわえ、その過重な賠償金の負担にあえぐことにな
る。
経済の疲弊が大量失業をうみ、日一日と国民の精神が荒廃してゆくなか、
ドイツ共産党は自国民の精神的飢餓= 願望をうけとめられずに手をこまねくうちに、
やがて、あのナチス・ヒトラーが国民の鬱屈をすかさず汲みとり、
たくみに若者たちを戦争へと煽情しつつ台頭してくるのである。(のほせん)-
— 「世界恐慌」(概略) –
– 第一次世界大戦直後の欧州諸国の疲弊ぶりとは対照的に、戦場にならなかったアメ
リカは
軍需景気にわいた。
莫大な輸出は鉄道ブーム時代から累積していた対外債務を一掃、世界最大の債権国へ
と転化した。
そのためニューヨークが、国債金融の中心だったロンドンと市場を二分することとな
る。
また、帰還兵による住宅建設ブームや、
さらに自動車の普及やラジオ、電話などの技術革新によるライフスタイルの大きな変
化を背景に、
消費が増大したことに乗じて消費者金融ビジネスまでが登場してきた。
しかし、「永遠の繁栄」とよばれる好況にわいたアメリカだったが、一方では
農業の大規模機械化によって急激に構造的な生産過剰におちいり、
農業恐慌とよばれるほどのデフレをまねいてゆく。
こうした地雷をかかえつつも、
マネーサプライが過剰流動性をもたらすなかでの株式市場は、
まだなお好況感に酔ったひとびとの投機熱におかされていた。 ところが、
バブル経済の永続を疑うものがいなかった1929年10月24日午前、とつ然
G.モーターズの株価下落から、バブル崩壊がはじまった。
のちに「暗黒の木曜日」とよばれる日からわずか一週間で300億ドルが消し飛んだ。
これは当時の米国連邦年間予算の10倍に相当し、また
アメリカが第一次世界大戦に費やした戦費をも遥かに上回ったといわれる。・・
そして、このときのアメリカのとった金融政策が、諸外国の金本位制と齟齬をきた
し、その結果
金準備が底をついた欧州大銀行が連鎖的に破たんして、世界恐慌へ到ることとなっ
た。
アメリカ国内も1200万人に達する失業者を生み出し、閉鎖された銀行は1万行に及
び、
1933年2月にはとうとう全銀行が業務を停止することとなる。・・
-「こうした中、「ニューディール政策」をスローガンにして就任したフランクリ
ン・ルーズベルト大統領が、
まず最初に手をつけたのは、株式の価格操作を排除するための「証券取引法」の制定
で、
その任を負ったのがジョン・F・ケネディ大統領の父親ジョセフ・ケネディだった。
ジョセフ・ケネディは1920年代に株価操作と買い占めで富を築き、
28年には持ち株を全て売って空売りに切り替え、バブル崩壊でさらに巨額の利益を得
た。
ジョセフ・ケネディは情報の独占が株価操作を可能にすることを熟知していたから、
今度はその実務知識を国家のために活用し、徹底した情報公開を義務づける証券取引
法を制定した。
そして新設された「証券取引委員会(SEC)」の初代委員長に就任し、アメリカ株式
市場の近代化に大きく貢献した。」(小林)-
– 著者はここでも米国仕込みのエコノミストらしく、いくら当時とはいえ、
とんでもなくインサイダー情報によって荒稼ぎしたジョセフ・ケネディの「貢献」に
賛辞を呈している。
このまさかの人事(盗人が盗人対策法をつくった!)を平気でとおす “無神経さ
(もしくは不逞)” が
米国の支配層特有のものの考え方であるとおもえる。
だから、
「どんなに悪徳であれ、実用に間にあう能力をもつ者であればかまわず登用するの
か?」
と日本人なら首をひねるところだが、
まだこれにはもっと隠された企図がある。
この法律の隠された目的は、支配層以外のなかから悪徳(抜け駆け)をする者を排除
するために
あくまでもっともらしく、いかにも正義然として国民に向けて制定することにあった
とみられる。
なぜなら、著者がたたえる証券取引法も、支配層にとってはけっして大した障壁には
ならないわけで、
だからこそ巨万の富をみやげに時の政権に加担したジョセフ・ケネディが
エスタブリッシュメント然として正義の者のように振る舞えたというわけである。
法の下に従うべきは国民一般であって、
法の上を自在に飛べるエスタブリッシュメントは、また法を仕立てる権力を持つもの
でもあった。
それにしても、
すべてにおいて無神経と映るほどのプラグマティックな思考・行動が是認されるの
は、
クレマンソーが退廃とみたように、 アメリカの白人支配層の
非文明的、非文化的な特権意識のもたらす(真実からの)無意識の回避行動にほかな
らないからである。
その回避をもとめる根源にあるものとは、-
異端として追いつめられ、英国から逃げるように渡ってきた
ピルグリムファーザーズ以来のピューリタンたちとそれにつづいたものの多くが、
その信仰の純真さをもとめたはずのものたちであったにもかかわらず、
「神を畏れ、他者を騙し迫害」するという背反を犯したことであり、
さらにそのことから生じる葛藤を放棄したために
心的回避に逃亡する心的解離をかかえるに到ったことである。・・
すなわち、アメリカ・インディアンを騙し、殺戮し、奴隷とし、土地略奪のかぎりを
おこなってきた悪行を、
その思考と行動をかれらの神の下に轟然として肯定してきたこと。
それ以降の英国植民地政策に投じた者たちも競って実行した、
他者を省みることなき悪行の継承連鎖こそが、稀にみる不遜な自己肯定の思想性をう
みだし、
かれらをして「征服者の栄光」と排他的「特権意識」として脳に固着刻印させたとい
える。
このアメリカ白人特権層の特異ともいえる思想性は、
もっといいかえれば、
“信仰を媒介にすることで悪行を不問に(社会倫理からの解離逃亡)し、のちには
社会ダーウィニズムによりその倒錯した欺瞞を正当化 ”することにある。
また、かれらの思考性は、
その行動( 騙し、殺戮し、奴隷とし、略奪する、過度の信仰による倒錯 )によっ
て、
それが葛藤を放棄した社会不適合の者があらわす現実侵犯行動であり、
社会病理とみなされる異常そのものに酷似している。
この社会でおこされる重大殺傷事件と同様の社会病理としての心的病理となにも違わ
ないといえる。
それゆえにかれらアメリカ白人特権層からにじみでる、無神経に映るプラグマティッ
クな言動は、
そうした悪行の歴史を真摯に問わずにすませるために最適な、実用主義志向の産物な
のである。
ためしに、かれらから「巨万の富」と「権力」をとりあげてみれば、あとには
根拠のない虚飾にすぎなかった社会ダーウィニズムの選民意識と、
悪行の連鎖によって固着した、荒んだ社会病理の性格しかのこらないことに気づくの
ではないだろうか。・・
(このあとは次回に続きます。)
ブログ・心理カウンセラーがゆく!http://blog.goo.ne.jp/5tetsuより 転載.
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0690:111116〕