中東からの情報は少ない。届くのは米国とEUの巧みなプロパガンダだけである。例えば坂井定雄論文。
坂井論文を一読しただけでも,カタロニアが民主的であり,非民主的なのがクルド・バルザニ一族であることが分かる。なぜなら大統領を「いとこ」にするなどバルザニ一族が選挙に拠らないからである。他方,カタロニアでは前首相の後任を選挙で選んでいる。
坂井論文からはいろいろな情報が得られるが,語るに落ちたとはこのことである。またバルザニはメルケルに助けを求めたようだが「イラクのもと(現憲法下)で云々」と言われたという文も「語るに落ちた文」である。
坂井論文がしばしば「ちきゅう座」になぜ登場するのかよく分からないが,小生の感想は今回を最後にしたい。F.William.Engdahl氏の文章をいくらか紹介して坂井論文とは決別したい。以下は『ワシントンのクルディスタン計画を出し抜いたモスクワ』(11.Nov.,2017,マスコミに載らない海外記事)からの抜粋である:
>元議長マス-ド・バルザニと彼のクルディスタン民主党(KDP)を,欧米風民主主義の闘士であるかのごとく描き出す,アメリカとEUの巧みなプロパガンダとは逆に,バルザニは2014年まで,これらの人々が歴史的に暮らしていた油田地帯を支配するため,ヤズィ-ディ-教徒とアッシリア人キリスト教徒少数派に対する民族浄化を冷酷に推進した部族軍閥リ-ダ-だ。バルザニ-族と,その軍事部門ペシュメルガは,1960年代末初めに,イスラエル・モサドのTzuri Sagi中佐から,当初,サダム・フセインの支配と戦うために訓練を受けた。イスラエルとバルザニ-族とのつながりは,以来続いている。
その時以後,マス-ド・バルザニ-族は,暗殺,賄賂と,2014年以降は,トルコ経由でのイラク石油輸出を支配することで,イラクのクルド地域で独裁的権力を構築してきた。イラク・クルディスタン議長としての任期は2015年に切れ,クルド地域議会は更新を拒否したが,議会が召集され,彼を正式に追放するのを阻止して,以来いかなる法的根拠もなしに支配を続けてきたのがバルザニのマフィア権力の実態だ。マス-ドの息子が地域の安全保障会議と,全ての軍と民間の諜報機関を支配している。
イスラエルのネタニヤフのあからさまな支援を得て,世界中の大半からの強力な反対にもかかわらず,バルザニは,独立クルド国家の住民投票を強行した。
(以上引用終り)
坂井論文とE.W.Engdahl氏のどちらが正しいかは明らかであろう。小生の出る幕ではない。しかし,カタロニア人とイラク・クルド人とを一緒にしてはくそも味噌も一緒にするようなものだろう。しかしまたなぜ坂井氏は,バルザニの暗部を描かないのだろう。