6/6付リベラル系独紙「ターゲスツァイトゥング」の記事である。実証性に欠けた断定記事だとみなすこともできるが、撤退を見越したロシア自身のテロ行為という観点は、斬新なのであえて紹介する。思い出せば、ナチスのソ連邦からの撤退・敗走のときも、大規模なインフラ破壊と大殺戮が行われた。
ロシアのウクライナに対する戦争には、人間の想像力を超えるものが多くある。しかし、いくつかの恐怖のシナリオは、戦場そのものをはるかに超えた壊滅的な影響をもたらす可能性があるため、プーチンの好戦的な態度に対する世界の恐怖を高めることになるであろう。一つは、占領されたザポリツィヤ原子力発電所ですでに何度も危険な状態に陥ったように、核による大惨事を引き起こすことである。 また、ドニプロ川にある多くのダムを爆破して環境破壊を引き起こすことである。このうちロシアに占領されているのは1つだけで、よりによってこのダムが壊れているのだ。カホフカ・ダムの夜間爆発やウクライナ南部で起きている洪水災害など、恐怖のシナリオが現実のものとなっているようである。オラフ・ショルツ連邦首相や他の国際政治家が直ちにこれを戦争の「新たな局面」と決めつけたという事実は、何が起こったのかについて信頼できる知識があることを示唆している。したがって、これは国家的なテロ行為であり、そのための命令が下されたに違いない。
それ以上に、ロシアが敗北を予期していることの表れである。もしプーチンがウクライナ南部のロシア支配の継続を信じているならば、この地域を水没させたり、ついでにクリミアの水源を断ったりはしないはずである。大規模なサボタージュは、むしろ軍事撤退の前触れなのだろう(太字・筆者)。・・・(省略)・・・ ロシアの目的は、ウクライナを地図上から消し去ることであり、占領するか、あるいは単に破壊することである。その答えは、ただ一つ―― 今こそ、これまで以上に、ウクライナはこの戦争に勝利し、プーチン政権を消滅させなければならない。もう後戻りはできない。1986年のチェルノブイリ原発事故は、ソ連システムの限りない欺瞞と人間蔑視を露呈し、その終焉を早めた。カホフカ2023のダム犯罪は、プーチンシステムにも同様の影響を与えるはずである。
表題/Kachowka-Staudamm in der Ukraine:Putins Tschernobyl-Moment
https://taz.de/Kachowka-Staudamm-in-der-Ukraine/!5936190/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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