MV22オスプレイ12機が山口県の米軍岩国基地に搬入されたあと、8月上旬に米軍普天間飛行場に配備される。普天間には昨年秋にオスプレイ12機が初配備されており、計24機に拡大された。沖縄米軍は全て軍事戦略の一環として進めており、今回も日本政府への事前説明のないままだ。住宅地に囲まれ、かつて米国防長官が「世界一危険」と認めた普天間飛行場に、墜落事故をたびたび繰り返す軍用機を、なぜ配備できるのか。日本政府もなぜそれを許すのか、政府の弱腰に県民の不安は募るばかりだ。
米司令官「横田への配備」もにおわす
ワシントン共同電によると、米太平洋軍のカーライル司令官は7月29日、オスプレイの配備先について、沖縄県嘉手納基地に加え、横田基地(東京都福生市)が候補地だと明言した。菅義偉官房長官は「横田配備の実現性はないと思っている」と質問をかわしたが、真意は米軍の抑止力頼みではないか。米軍司令官に方針変更を求める気概があるだろうか。
米軍の〝二重基準〟は許せない
東京新聞は7月31日付社説で、「仲井真弘多知事は9日、菅官房長官らに追加配備の見直しを要請した。沖縄県議会も11日、全機撤収を求める意見書と抗議決議を全会一致で可決しており、日米両政府は直近の民意がオスプレイ配備反対であることを、重く受け止めるべきではないか。米国内ではオスプレイの低空飛行訓練計画に周辺住民から懸念が出て、中止や見直しが行われたという。米国内では住民の意見に耳を傾け、国外では聞く耳を持たないというのでは二重基準だ。これでは自由と民主主義を『人類共通の価値観』と位置付ける米国が世界の民主化の先頭に立とうと意気込んでも、信用されまい」と、厳しく反論していたが、国民多数の共感を呼ぶに違いない。
ともかく、国内で最も重要な横田基地にまでオスプレイ配置とは、ただならぬこと。東京など10都県にわたり米空軍管制地域が設けられており、民間航空機離発着は困難を強いられている。普天間における夜間・早朝、しかも無謀な低空飛行訓練で県民を苦境に追い込んでおり、この騒音が首都圏上空に持ち込まれとしたら、反対運動は激化するであろう。
沖縄の低空飛行訓練ひど過ぎる
朝日新聞8月1日付社説も、「沖縄県は、昨年配備されたオスプレイについて目視調査を実施。飛行ルートなどの日米合意違反が、2カ月間で318件あったと指摘した。ところが、政府は『住宅地が少ない場所を飛行しているとの説明を米側から受けている』と、米側説明を鵜呑みにしている。『できる限り早く夜間の飛行を止める』との日米合意は放置されており、これでは沖縄軽視と言われても仕方あるまい。抑止力強化の名のもとに沖縄の民意を黙殺するようでは、いずれ日本の安全保障は行き詰まる」と指摘していた。政府はこの深刻な事態を受け止め、一刻も早く正常運行を取り戻さなければならない。
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