童子丸開氏の『自滅しつつあるスペインの二つのナショナリズム(1)~(6)』を拝読した。カタルーニャにおける現状のおよそが分かった。感謝申し上げる。
NATOはラホイ首相のマドリ-ドを爆撃すべきだという説には驚いた。「人権擁護」にもいろいろあるようで,憲法155条を執行すれば国内的には合法だがEUの一員としては人権抑圧になると,思われる。
ここで紹介されたすべての参考文献を読んだわけではないのでもう少し勉強したい。ただもし沖縄が日本から独立した場合,NATOはないが日米安保がどう影響してくるのか興味のあるところである。
ところで坂井定雄竜谷大名誉教授がカタルーニャの独立とバルザニ自治政府のクルド族の独立とを同列に扱っていたが,両方ともイスラエルが絡んでいる点で共通する面がある。前者はパレスティナ自治政府に味方するスペイン政府をイスラエルは快く思っていないから,イスラエルが独立派の「一部」を応援していたという事実。片方はシリア政府やイランをけん制するためにイスラエルが応援していたバルザニのクルド人。
しかし独立は独立でもカタルーニャ政府は暗殺や追い出しをしていない;(すでに紹介したEngdahl氏の文章を一部抜粋)
「・・・元議長マスード・バルザニは2014年まで、これらの人々が歴史的に暮らしていた油田地帯を支配するため、ヤズィーディー教徒とアッシリア人キリスト教徒少数派に対する民族浄化を冷酷に推進した部族軍閥リーダーだ。・・・」
キルク-ク一帯に住んでいたヤズィ-ディ-教徒とアッシリア人キリスト教徒少数派を浄化したのがバルザニのクルド人だとすれば,民族浄化をしていないカタルーニャ人(カタラン)の独立問題をバルザニのクルド人独立と同列に論じることはできない。
しかし坂井名誉教授は20年以上も教授をやってきただけあって正直である。イスラエルの手がカタルーニャにも及んでいたことを指摘した点で正直な論文であった。
そこから独立運動に限らずパレスティナ自治政府に味方するいかなる政府にもイスラエルの影響が,魔の手が入り込んでいることを気づかせてくれた。感謝申し上げたい。
童子丸氏がカタル-ニャやスペインに詳しいことは申し上げるまでもないが,クルドのオジャラン革命にも目を向けていただけると幸いである。