キューバ外務省は1月11日、「キューバをテロ支援国家として不正に指定、これに対する断固たる全面的な糾弾」と題する声明を発表した。
メディアによると、ポンペオ米国務長官は11日、キューバをテロ支援国家に再指定すると発表した。
米国のオバマ前政権は2015年に、1982年から続くキューバに対するテロ支援国家指定を解除し、1961年に断絶したキューバとの国交を回復した。だが、その直後に登場したトランプ政権はキューバへの渡航、送金を制限するなど、同国への制裁を強めてきた。ポンペオ長官は声明の中で、今回の再指定の理由として、キューバが、米国が敵対するベネズエラのマドゥロ政権を支援していること、コロンビアの左翼ゲリラ幹部の引き渡しを拒否していることなどを挙げている。
今回のポンペオ長官の声明については、日本のメディアでは「今月20日に発足するバイデン米次期政権が、オバマ前政権が進めた対キューバ融和路線に戻るのを妨害する狙いがあるとみられる」(1月12日付朝日新聞夕刊)といった見方が圧倒的だ。
駐日キューバ大使館によると、外務省の声明は次の通り。
キューバ外務省は、米国政府がキューバをテロ支援国家として不正に指定したことを 受けて、これを皮肉で偽善的な行為として、最も強く絶対的な言葉で糾弾するもので ある。
数カ月前から、キューバを米国務省の一方的なリストに追加する可能性が検討されてきた。テロとその影響に係る同リストには、いかなる権限も合法性もなく、正当な動機に欠けている。また同リストは中傷的な手段として、アメリカ帝国主義の気まぐれに屈服しようとしない国々に対して、強圧的な経済的措置を適用するために使われている。今回のポンペオ国務長官の声明が表すところは、面目を失い、不誠実で道義的に破綻している政府の傲岸な行為である。その真の動機が、キューバと米国の二国間関係における回復の見通しを追加的に阻害することにあるのは疑う余地がない。
キューバはテロ支援国家ではない、それは万人が認める真実である。我が国のよく知られた国策と非の打ちどころのない行動は、いかなる形のテロ行為にも反対する立場を取っている。特に国家テロについては、誰が誰を狙って、どこで行われようとも、これを強く非難している。キューバはテロの犠牲国家であり、我が国民はそれを実際に体験した。その被害は死者3478 人と重傷者 2099 人に及び、原因は米国政府が犯した行為、または政府機関の 容認の下で同国から支援、実施した行為によるものだった。
キューバ国民は、政治的 ご都合主義という下劣な目的のために、このように慎重に扱うべきテーマを操作しようとするあらゆる策略に対し、これを軽蔑とともに強く非難するものである。
初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
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