キューバ大使館が革命60周年でレセプション - 社会主義的、民主的、持続的な社会の建設へ決意 -

著者: 岩垂 弘 いわだれひろし : ジャーナリスト
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 カリブ海に浮かぶ社会主義国・キューバは、今年1月1日、革命60周年を迎えた。これを記念する駐日キューバ大使館主催の「キューバ ナショナルデー・レセプション」が1月9日夜、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京で開かれた。日本の政官界、経済界、文化界、スポーツ界、友好団体の関係者のほか、各国外交官ら約350人が招かれ、革命60周年を祝ったが、冒頭、カルロス・ペレイラ駐日キューバ大使が登壇して、あいさつした。

 その中で、同大使は、まず、キューバ革命を「フィデル・カストロの指導のもと、(米国からの)最終的な真の独立をめざすキューバ国民の闘い」と位置づけ、その後の歴史を「キューバ人は、過去60年間に直面せざるを得なかった様々な形の脅迫と攻撃、巨大な困難に対し、無数の英雄的抵抗のページを記して来ました」と振り返った。
 その上で「我々を信じ、少なくない不利益を被りながらも支援を続けてくれている世界の全ての友人に、キューバは深く感謝しています」と謝意を表した。
 さらに、同大使は、これからのキューバの進路について「 ますます社会主義的、民主的で、豊かで持続的な社会を建設するというキューバ国民の決意を、誇りと熱意をもって再確認いたします」と述べ、日本との関係もさらに強化したい、と強調した。

 招待客の中には、森喜朗・元首相、辻清人・外務省大臣政務官、古屋圭司・日本キューバ友好議員連盟会長らの姿がみられた。あいさつに立った辻清人・政務官は、その中で「日本とキューバの関係は進展しており、2017年には日本からのキューバへ訪問者は2万2000人にのぼった」と述べた。キューバと米国が国交を回復したのは2015年だが、それ以前は、日本からのキューバ訪問者は年に6000から7000人と言われていたから、ざっと3倍に増えたということになる。
 また、古屋圭司・日本キューバ友好議員連盟会長は「両国間には難しい問題があるが、友好関係を強めて行けば、これらは必ず解決できる」とあいさつした。

キューバ革命60年を祝してモヒート(ラムをべースとしたカクテルの一種で、キューバの
代表的なカクテル)で乾杯するカルロス・ペレイラ・キューバ大使(左)と古屋圭司・日本
キューバ友好議員連盟会長(右)

 キューバ革命60年を祝してモヒート(ラムをべースとしたカクテルの一種で、キューバの
 代表的なカクテル)で乾杯するカルロス・ペレイラ・キューバ大使(左)と古屋圭司・日本
 キューバ友好議員連盟会長(右) 

ペレイラ大使あいさつの全文は次の通り。

 1959年1月1日、革命勝利により、フィデル・カストロの指導のもと、最終的な真の独立をめざすキューバ国民の1世紀を超える闘いが終結を迎えました。それはキューバへの米国の絶対的支配が確立してからちょうど60年後のことでした。その時以来今日まで、全での人による全ての人のための、全ての人の社会を建設するという固い決意が貫かれています。

4世代のキューバ人は、自らの国を建設する決意の高い代償として過去60年間に直面せざるを得なかった様々な形の脅迫と攻撃、巨大な困難に対し、無数の英雄的抵抗のページを記して来ました。我々に連帯的支援を差し伸べ、我々を信じ、少なくない不利益を被りながらも支援を続けてくれている世界の全ての友人に、キューバは深く感謝しています。

完全な独立、勝利の抵抗、社会正義、自己犠牲、国際主義の象徴としての模範こそが、キューバ革命と英雄的国民が記した歴史の賜物であると言えます。
ディアスカネル議長が述べているように、キューバの国際面での行動を導くのは常に、国家の自決権と主権への尊重、他の国民の正しい大義への支援、相違を超えた平和共存、そして、全ての核兵器廃絶を含む人類が直面する重大な課題を解決するための世界的協力への貢献であり続けます。

昨年は日本人キューバ移住120周年を記念し、我が国社会の様々な分野での日本人移民の貴重な貢献に敬意を表しました。キューバ社会には、自分の未来を託す場所として我が国を選んだ最初の日本人移民の足跡が残されています。
同様に、満足をもって言明できるのは、昨年は様々な分野で、互恵のもと、共有する関心と課題を活用しつつ、両国関係を深化させることができたことです。特筆できるのは、ほんの数例あげるだけでも、何件ものハイレベル代表団の交換、JICAハバナ事務所開設、数件の経済協力プロジェクトの開始、両国貿易20%増大、両国間中期経済アジェンダの調印、そして、投資相互促進保護協定の交渉が数日前に開始されたことなどです。
今年の12月21日は、両国外交関係樹立90周年に当たり、相互尊重・信頼を通じて両国の友好親善をさらに強化して行くためのまたとない機会となるでしょう。

 また今年は、キューバ新憲法が国民投票を経て発布される年でもあります。憲法草案はこの数カ月間、何百万人ものキューバ市民の討議にかけられたものです。それはキューバ革命の民主的な性格を明確に証拠づけるもので、国の生き方を決める主要な決定事項が、国の内外の全てのキューバ人の意見に支えられています。

 この機会を通じて、日本との関係を強化するという私達の決意を新たにいたします。また、ますます社会主義的、民主的で、豊かで持続的な社会を建設するというキューバ国民の決意を、誇りと熱意をもって再確認いたします。去る1月1日、革命60周年記念集会でラウル・カストロ前議長が述べたように、「明日を想像する時、達成された事業は私達に尊厳のある豊かな祖国の未来を展望させてくれる」ものです。
この道のりで、引き続き皆様方のいつもながらの貴重なご支援を得て行けることを期待いたします。

レセプションには多数の友好人士が招かれた

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8310:190117〕