クジラ裁判と刑罰で脅かされる「表現の自由」

みなさま

森広@アジア記者クラブ(APC)です。

 連日恐縮です。来週末に開催しますAPC7月定例会のご案内をさせていただきます。イルカ漁を隠し撮りした映画『ザ・コーヴ』の上映中止への圧力行動が続いていますが、映画を見た人の40%がイルカ肉を食べたいと思ったという反響もあったそうで、映画にも登場しているオバリー氏ら制作者の意図とは180度逆の皮肉な結果も伝えられています。

 さてAPC7月定例会では、日本では決着済みと言われている捕鯨問題、とくに“調査捕鯨”の名のもとに何が行われている捕鯨行為の実態調査をグリンピースジャパンが行ったことが犯罪に問われています。知る権利、表現の自由がどのように歪められたのか、どういった圧力が加えられているのかを係争中のクジラ裁判を通して討論したいと思います。グリンピースジャパンから当事者お二人をお招きして開催します。

 1000億円を超える税金を投入している“調査捕鯨”の実態を明らかにするだけでなく、恣意的捜査、報道など問題点を検証します。6月下旬に国際捕鯨委員会の年次総会も終わったばかりで、材料が豊富ですので、映像も使って報告していただきます。是非、ご参加願います。

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調査捕鯨の真実を暴く

クジラ裁判と刑罰で脅かされる「表現の自由」

 2010年7月16日(金)18時45分~21時

文京シビックセンター地下1階

 ゲスト:星川  淳さん(グリーンピース・ジャパン 事務局長)

佐藤潤一さん(グリーンピース・ジャパン プログラムディレクター)

 「捕鯨は日本の伝統文化」――。捕鯨問題は日本国内では決着済みというのが相場だ。国費投入事業である「調査捕鯨」の名の下に高級なクジラ肉の配布や持ち出しが横行しているとしたら、納税者はどのように思われるだろうか。少なくとも事実関係の確認、情報開示を求めるのが筋であろう。

 捕鯨反対で名高いグリーンピース・ジャパンの佐藤潤一さんと鈴木徹さんが「クジラ肉横領の不正慣行」が続いているとの元捕鯨船員らの内部告発を受けて、運送会社から各方面にクジラ肉が配送される現場の証拠を押さえ、クジラ肉横領の事実を東京地検に告発したのは2年前だ。ところが08年6月に告発の対象者ではなく、佐藤さんと鈴木さんが「窃盗・建造物侵入の罪」で逮捕・起訴された。

 なぜ横領を告発された人びとが捜査らしい捜査も受けずに放免され、告発した側が検察リークに基づいたマスメディアの犯人視報道のなかで逮捕・起訴されたのか? 横領された高級クジラが共同船舶株式会社の社員だけでなく、捕鯨を推進する水産庁、鯨類研究所に加えて政治家にも流れ、半ば私物化の様相を呈していることが元船員らの証言によって法廷で明かされた。「モラル低下は著しい」と元船員が証言する「調査捕鯨」の現場で何が起きているのか。

 7月定例会は、「不正を厳しく罰することと、不正を指摘しようとする人を厳しく罰することのどちらが民主社会の成熟に貢献するのか」を裁判で問いかけた被告の一人であるグリーンピース・ジャパンの佐藤潤一さんと、事務局長の星川淳さんをゲストにお招きし、クジラ裁判を通して見えてきた刑罰によって脅かされている「表現の自由」と「知る権利」の危機についてお話していただきます。あわせて、政府発表を垂れ流すだけのマスメディアの問題、警察と検察が横領した側の責任を問わずに、横領を告発した側を有罪にすることに血眼になっている問題も検証します。

 ■会 場 文京シビックセンター地下1階(東京都文京区春日1-16-21)

■交 通 地下鉄「後楽園」・都営線「春日」下車

■費 用 ビジター1500円、会員・学生・年金生活者・ハンディのある方1000円