クローズアップ現代に送った意見~「“決める政治”を問う 野田首相に生直撃」を見て~

昨夜(8月27日)、「NHKクロ-ズアップ現代」で、「“決める政治”を問う 野田首相に生直撃」が放送された。番組専用のサイトの「放送予定」欄には次のような予告が記されていた(下線は醍醐が追加)。
野田首相に直撃 決める政治を問う
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3236.html

「国民に“痛み”を強いる消費増税法を自民・公明両党の協力を得て成立させた野田首相。「決断しなければならない時に決断する政治を行うことこそ政治改革だ」として“決める政治”の必要性を訴えているが、評価は二分している。一方、決めたことに対する反発も強まっている。大飯原発3・4号機の運転再開決定に対する抗議活動の参加者からは「国民の声が政治に届いてない」という怒りの声があがる。野田首相は参加者の代表との会談に臨み「国民の様々な声を受け止めながら方向性を定めていきたい」と理解を求めたが、経済界などには原発維持を求める声もあり、エネルギ-政策の見直しに向けては難しい判断を迫られている。“決める政治”で問われる責任について、野田首相に迫る。」

見終えて、番組専用サイトに設けられている「意見・問い合わせ」コ-ナ-に下記のような意見を送った。書きたい感想はたくさんあったが、600字以内と制限されているので、限られた感想のみ書いた。

——————————————————

27日放送された「“決める政治”を問う」を見た感想です。番組を見終えて、放送予定欄に書かれた番組企画の趣旨が空振りに終わったと感じました。その最大の理由は質問する側の準備不足―質問力の低さ―にあったと思えました。野田首相が「安全運転」に徹した応答をすることは予想されたことです。
それを承知で、原発再稼働を「決めた責任」を問うのなら、この夏、電力需給がひっ迫した事態は全くなかった事実を首相に投げかけ、原発を再稼働しなければ夏場の電力供給不足が深刻になるといっていた政府・東電の春先の説明の信ぴょう性をなぜ質さなかったのでしょうか。
放送中、野田首相は「近いうちに」の意味を聴かれ、「いずれにしても来年夏には任期が切れる、それまでの間のどこかということであり、時期を特定したわけではない」と発言しました。これでは「近いうちに」が限りなく無に近い用語であったことを認めたのも同然です。他方の谷垣氏は「解散の確約以外の何物でもない」と語っています。双方でこれほど解釈が食い違う点を「合意」と称して消費税増税法案を成立させた当事者責任をなぜ、切り返しで質さなかったのでしょう?
番組の終了間際に国谷さんが「谷垣さんに電話をして問責決議を出すのはやめてほしい」くらいのことをなぜ言わないのかと質問をされましたが、全く趣旨不明の質問でした。
時の首相に持論広報の場を提供するだけの番組では公共放送の使命放棄です。

——————————————————-

長崎爆心地公園の福田須磨子詩碑を再訪

8月25日、長崎県保険医協会の学習会に呼ばれ、「消費税増税と社会保障財源」と題して講演をした。翌26日、平和公園、爆心地公園、城山小学校(爆心地にもっとも近かった旧国民学校)など、2年前とほぼ同じ原爆史跡めぐりをした。
長崎/原爆というと、私が真っ先に想い浮かべるのは福田須磨子である。爆心地公園の西南端にある詩碑を再訪した。碑の中央に彫られた「生命を愛しむ」を読むと、彼女の『われなお生きてあり』に刻まれた被爆後の過酷な生活の実相が伝わってくる。

いずれも2012年8月26日、筆者撮影

初出:「醍醐聡のブログ」より許可を得て転載
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion969:120828〕