コロナがあぶり出したアベノムノウ

コロナ禍は不気味だ。今や他人事ではない。私の籠城の地・本郷から東に行けば永寿総合病院である。西に行けば講道館、全柔連の本部。南すれば田嶋幸三会長の日本サッカー協会、そして北には都立大塚病院、駒込病院。四方から、じわじわと、あるいはジリジリと寄せ手が包囲を狭めつつある。目に見えぬ妖怪が次第に忍び寄ってくるの感がある。

東京地裁・高裁は緊急事態宣言の期間、民事事件及び行政事件の期日は、緊急を要するもの以外は全て取り消しとなった。はたしてこれでよいのだろうかと思いつつも、今は屋内に立て籠もるしかない。必要な会合はオンラインで行われている。

それでも、私のように立て籠もりのできる立場は恵まれている。医療従事者や現場でインフラの整備にあたる人には頭が下がる。ゴミの回収をしている人には、感謝の言葉をかけざるを得ない。生産や物流も支える人がいる。その人たちのお蔭で、まだ社会はまわっている。これがいつまで持つのかという将来への不安を感じなからも、当面籠城に飢餓はない。

憎むべきコロナウィルスではあるが、たった一つ、その効用があるとすれば、『無能な政治的リーダーの選択は、選挙民の命取りになる』ことを多くの人びとが悟ったことではないか。アベの無能は昔からだが、ここに来て盛ったメッキが剥げ落ちた。これまでは無能なリーダーでも大過なかったが、こんなリーダーで、国民の命と健康は大丈夫なのか、財産は守れるのか。それが、切実に国民一人ひとりに関わる問題と意識されるようになっている。アベの無能を悟った人心がアベから急速に離れつつある。

アベの無能については、中野晃一上智大学教授が最新号のアエラで、他国のリーダーたちとコロナ対策を比較して採点をしている。各国の事情には差異があれども、同じコロナ対策である。トップリーダーの資質の比較が可能なのだ。当然のごとく、安倍は最下位。トランプにも劣る、ということだ。

中野教授による評価の対象は、アベ、トランプ、メルケル,ジョンソン、習近平、蔡英文の6人。どういうわけか文在寅の名が抜けているのが、寂しい。蔡英文とならぶ高得点が期待できるだろうに。評価の方法は、(A)決断力、(B)実行力、(C)情報発信力、(D)責任感、(E)市民の支持、という5項目をそれぞれ5点満点で相対評価し、総合は5項目の平均を取るというもの。客観性がどこまで担保されているか保証の限りではないが、有力な政治学者の見解として面白いし、大いに頷ける。

総合点の結論はこうだ。

メルケル   5.0点
蔡英文    4.2点
習近平    3.2点
ジョンソン  3.0点
トランプ   2.0点
アベ     1.4点

100点満点に換算すれば、以下のとおりである。

メルケル  100点(優)
蔡英文    84点(良)
習近平    64点(可)
ジョンソン  60点(可)
トランプ   40点(不可)
アベ     28点(超絶不可)

各人の各項目の評価は以下のとおり。

安倍晋三(日本国首相)総合…1.4点
(A)1点(B)1点(C)2点(D)1点(E)2点

ドナルド・トランプ(アメリカ大統領)総合…2.0点
(A)2点(B)2点(C)3点(D)1点(E)2点

アンゲラ・メルケル(ドイツ首相)総合…5.0点
(A)5点(B)5点(C)5点(D)5点(E)5点

ボリス・ジョンソン(イギリス首相)総合…3.0点
(A)3点(B)2点(C)4点(D)3点(E)3点

習近平(中国国家主席)総合…3.2点
(A)4点(B)5点(C)2点(D)3点(E)2点

蔡英文(台湾総統)総合…4.2点
(A)5点(B)4点(C)4点(D)4点(E)4点

コロナ禍でのアベの無能は、「うちで踊ろう・動画」と、「466億円アベノマスク支出」に象徴されているが、アベノマスクはどうやらアベの無能だけの問題ではなさそうだ。ミャンマー、麻生・昭恵というキーワードが出てきた。政治の私物化・嘘とごまかし・情報不開示というアベの流儀が、ここでも疑惑として問題となりつつある。今まで何度もいわれてきたが、これがアベの末期症状、アベの終わりの様相ではないか。今度こそ。
(2020年4月23日)

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2020.4.23より許可を得て転載

http://article9.jp/wordpress/?p=14727

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/

〔opinion9679:200424〕