シリアは内戦ではない、外国からの干渉だ(Syria is NOT a Civil War, It Is a Foreign Intervention)

コーベット・リポート(http://www.corbettreport.com/)のブログ編集者ジェームズ・コー ベットとオックスフォード大学の現代史家でヘルシンキ人権グループの議長でありBBCでも活躍しているマーク・アーモンド(http://en.wikipedia.org/wiki/Mark_Almond)にインタビューしたロシア・トゥディのビデオニュースをコーベットが記事にしたものです。国連の化学 兵器廃棄プロセスが決定した直後に、それぞれ「シリアは内戦ではない」という共通認識のもとに、イスラム過激派の実態にそくしてシリア紛 争の基本的性格を論じています。

多くの過激派グループ、外国人傭兵の実態などは、このインタビューだけでは分からないところがありま すが、依然「シリア内戦」という虚構の前提から語られることの多い日本では、シリア分析の参考になると思います。拙訳ですが紹介させてい ただきます。(2013年10月21日)

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http://www.globalresearch.ca/syria-is-not-a-civil-war-it-is-a-foreign-intervention/5352926

Syria is NOT a Civil War, It Is a Foreign Intervention

シリアは内戦ではない、外国からの干渉だ

ジェームズ・コーベット(松元保昭訳)
2013年10月4日
グローバル・リサーチ(ロシア・トゥディおよびグローバル・リサーチTV)

混乱を発生させるだけでほとんど傍流となったアサド大統領に対する集合された戦争を考えると、シリアは過激主義者による世俗的な暴力の新たな段階に入っている。 多くの専門家によると、戦争をなすりつける外部からのカオス計画は手におえない状況になった。

コーベット・リポートの編集者で アナリストのジェイムズ・コーベット(James Corbett)は、アサドを追放する外部勢力 の最初のねらいとシリア内部のさまざまな戦闘派閥によって表された動機との、このずれを強調することが重要だと考えている。

この観方は、個人的な利益を危険に追い求めている拡散したグ ループ集団すべてが武装解除のプロセスを狂わせるだろう、と考える国際関係の教授マーク・アーモンド(Mark Almond)によってさらに進められている。

一方でコルベットの観点では、シ リアの紛争は外部から資金が供給され綿密に計画されたカオスとみられている。他方アーモンドによれば、上記のカオスのために互いの忠誠で 不断に変化する傾向のある主な闘争の中にはいくつかの内戦がある。

●Video Url:(ここからインタビュービデオが見る ことができます。)
http://www.youtube.com/watch?v=U0ix4ESJRP4&feature=player_embedded

ロ シア・トゥディ(以下RT):シリアの過激なイスラム主義者は、まさに何のために戦っているのですか?

ジェイムズ・コーベット(以下 JC):彼らが何のために戦っているか確かめるために遠くまで出かける必要はありません。9・11の12年目の記念メッセージの機会を利用し て、シリアのイスラム戦闘員に非イスラム戦闘員に協力しないよう明確に求めていた、国際テロ組織のスポークスマンであり米国の協力者である、アイマン・アル・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)の言葉にそれをみることができます。

そ の最終的な目標は、もちろん、イスラム国家をつくることを目的としたジハードです。まさしくそれが、これらの戦闘員が、すべての町々の支 配権を奪い、罰を 受けずに男たち、女たち、子どもたちを殺害し、殺した何人かの人々の心臓や肝臓を食べるところを自ら撮影するといったとりわけ大規模な死 刑執行を犯す動機 となるものなのです。またこの紛争では、イスラム国家をつくるという明確な目的のために、別の残虐行為も実行されていました。

RT: 反政府勢力の内部争いの増大は、シリア政府の立場にどのような影響を与えていますか?

JC:私は、シリア政府の観点からは 反政府派の分裂は好都合だと思います。しかし、これらのイスラム戦闘員はほぼ1万 であり、シリアの地上戦闘部隊では断然彼らが最大のパーセンテージである以上、決定的な違いがあるかどうかは分かりません。彼らは、チェ チェンのような他 の所でどのようにジハードを犯すかも学び経験を積み、戦闘経験豊かなジハードディスト(聖戦主義者)になろうとしているので、戦闘では彼らがもっとも活発に機能しています。したがって、実際の戦闘の矢面に立っている連中なのです。

たとえそれが、この紛争では傍流で あった「穏健な反政府派」(引用ですが=原注)を意味するとしても、これら1万人のジハーディストの軍隊に対して シリア軍が依然として基本的に戦っていることを意味しています。そしてこれらの人々は、彼らがやろうとする限界やこの紛争に従事するやり 方ではいささかの良心もないような人々です。

画像キャプション:201397日、シリアのデイル・イゾール(Deir Ezzor)の東部の町で、シリア政府軍との戦闘中に使った爆発装置を反乱軍戦闘員が装填している。(AFP Photo)

RT: これらの反政府反乱軍を結び付けているものは、アサド大統領に対する憎しみです。なぜそれが、ひとつの戦線として一緒になって戦うことが そんなにむずかしいのですか?

JC:そうですね、シリアで起こっていることはある種の内戦であり、 ある種の内部的な 対立であるとして、それをめぐって多くの物語りが組み立てられ、それが頻繁にメディアで拡散されているもので、基本的に誤った見せかけに 基づいているので す。内戦であると断言することは、私は根本的に間違っていると思います。シリアで起こっていることは、ほぼ10年にもわたって計画された干渉の結果 として理解しなければならないと思います:つまり、2006年 のブッシュ政権にさかのぼって―公にされ証拠書類で立証された―外国からの資金援助、外国からの武器援助、外国からの補給、外国による訓 練という、シリア の反政府グループを訓練し武装させてきたシリアへの介入です。彼ら(反政府グループ)は、シリアにおける反政府部隊の訓練に着手していた のです。

し たがってわれわれは、これはある種の自然発生的な反乱ではないと理解しなければなりません:こうした紛争状態になるために彼ら自身の戦闘 員に資金調達し資 金援助している米国、そしてサウジ、カタールその他を含め、多くの異なる外部の軍事勢力が存在する結果なのです。さらに彼らの多くは、あ る人々は傭兵とし て、他の人々はイスラム国家をつくる機会を狙ってジハードによって動機づけられ、それぞれ異なる理由で動機づけられ異なるチャンスを狙っ てそこにいるので す。ですから、アサド政権を転覆する同じ目標を持っているという理由だけで、彼らが同じ理由でそこにいるということを意味しはしないので す。

RT: 反乱軍グループのいくつかが、シリアの化学兵器廃棄の国際合意の受け入れを拒否したと聞きました。彼らは、そのすべてのプロセスを阻止することができるでしょうか?

JC:そう、かなり簡単なことだと思 います。われわれはこの全プロセスが、最初の場所で開始されたことが正確に分かります。8月21日 のゴータ攻撃は、依然としてシリア政府から来ていたことを示唆する証拠のたったひとつの断片さえもなかったのです。化学兵器調査団は、調 査の権限を超えて いたのでその結論を下しませんでした。さらにはっきり言えば、米国およびその同盟国を軍事介入させる手段として「レッドライン」を超えさ せるため、ニセ旗 の挑発の類として反乱軍によって発射された攻撃であったという事実を、証拠のすべてが指し示し続けています。まさに同じ調子で、ただちに アサド政府に再び 責任をなすりつけ、国連安保理決議を取り消す口実として再度利用したことが実行されたすべてであり、そのためこうした類似した出来事に なっているのです。

で すから、この廃棄プロセスを狂わせることは、非常に簡単なことなのです。会議では誰もが善意を持っているとしても、達成までこれを見届け ることはおそらく もっと難しいだろうと思います。全プロセスを頓挫させ襲撃を犯すために化学兵器を入手しているごろつき集団が、すべてを実行します。

画像キャプション: 823日、北部シリアの都市ラッカ Raqqa)郊外で、伝えられるところ では反乱部隊からシリアのクルド地域を守る準備をして市民軍と衝突している間に、クルド民族防衛委員会(YPG)の仲間のクルド人戦 闘員の陣地を狙っているイスラム・クルド戦線のメンバー。(AFP Photo)

●イスラム反乱軍、内戦を 「ハイジャック」(マーク・アーモンドへのインタビュー)

RT:過激な反乱軍の派閥争 い―彼らは、世俗的な反体制派に彼らの規範を押し付けて内戦を乗っ取ることができると思いますか?

マーク・アーモンド(以下 MA):そうです。いく つかの点で、彼ら(過激派)はアサド政権に対してよりも、アサドの非宗教的(世俗的)な敵対者にとってもっと危険です。ひとつの根本 的な問題は、過激なイ スラム反乱軍はまともに動機づけられていないということです。彼らは戦争を戦うイデオロギーをもっていますし、また十分資金援助され よく装備されていま す。こうして、たとえ彼らが実際に体制の脅威でないとしても、アサドに対する戦闘では指導者として立ち現れる立場で、彼 らは双方にとって敵なのです。もっと重大なことに、彼らの支配地域でとりわけイスラムのレッテルを好まないグループをおどし口封じし ていることです。

確かに、じっさいその体制に 不満を持っていたかな り多数の人々を動かしたということで、アサドに対してジハードすることは彼を転覆させる道だという全体の目的については批判がありま す。すなわち、「すく なくともアサド政権は非宗教的であり、ともかく間違いなく統治している。われわれは、虐待を強要するイスラムのかなり独断的な解釈の なすがままになってし まうだろう。」と。

RT:国際的な調停者は、ダ マスカスと非宗教的な反政府派との間の和平会談を進めています。彼らは、うまくテーブルにつくことができますか?

MA:ええ、それは不可能で はありません。しか し、そもそも9・11以来アメリカとそのヨーロッパ同盟諸国を脅かした地球規模のテロリストの脅威を象徴すると思われているのですか ら、これらの人々と接触するどんな方法でも認めることは、西側で和平会議をしようと望む人々にとって非常にむずかしいという経過上の問題があります。

たとえ手堅い実行をしたとし ても、これらの人々と 何か交渉が出来るという考えは、当然、結局わいろがあるでしょうが、問題を含んでいます。NATO国家であるトルコは、彼らが取引し 出入りできる後背地を 提供しています。多数の外国人戦闘員たちは―例えば私自身、チュニジア人を見ましたが―トルコ経由でシリアに行きます。ですから、も しひとがこれら過激派 グループにNATOの「必要な」連携があることを好むというなら、実際そうなのです。彼らは、NATOパートナーの広がりとトルコな くして、それらの許容 すくなくとも黙認なくして、シリア北部で実際に動くことは出来なかったに違いありません。

画像キャプション:アル・エズ・アブドル・サラーム旅団の反乱軍戦闘員たちが、アル・トルクマン山近くの非公開 の場所で訓練活動に参加したとき、写真撮影にポーズをとっている。(AFP Photo)

RT: もちろん、米国とその同盟国は、シリア反乱軍に援助として10億ドル相当以上を投入しました。しか し、その金が最終的にアルカイダの手に渡らないと確かめる手立てはありますか?

MA: 兵器を手に入れる人々を綿密に調べることができたらというアイデアですが、これは大きな問題です。多数のグループがあります。それらのい くつかは、まさに 地元の人々です。またいくつかは外部から、いくつかはシリア内部の過激派です。そして人々は不断に混ざり合っているのです。 わずかな金を持っているとか、若干成功してサポーターを引き出したとか、自分で主張するグループがあります。つぎには別のグループとけん かをする。結局、 われわれは、シリア北部の多くの場所で、―過激な彼らと世俗的な反政府派との間ではまったくないのに―より過激なグループ同士の闘争をみ ています。また、 もうイスラムじゃないと言う人々に対する、真のジハーディストだと主張する人々との間でも闘争があります。たとえ彼らの大部分が(宗教的 な)原理主義者と は公正に切り離すべきよそ者と思われていても、そうなのです。

したがって、シリアのこの紛争の中に はいくつかの地元の内戦があるとしても、とても内戦の範囲に入る内戦などではありません。西側は、善玉も悪玉もまったくの素人を選び選別 しているのだと誰でも考えていると、私は思います。

RT: あなたは、すでに手短にこれに触れていましたが、シリアの国境にあふれてその周辺国を不安定化させている、過激派分子にどんな見通しがありますか?

MA: さて、たとえば、シリアで自動車爆破などの攻撃が実行された同じグループによってイラクの多くの暴力が実行されているのを、われわれは同じようにすでに見 ています。これはトルコにとって危険です。なぜなら、もちろんトルコ内部には、シリアに対してとった政策を続ける政府は賢明かどうかという、まさに、まさ にホットな話題があるからです。それは、レバノンに、ヨルダンに、波及するでしょう。それはまた、反乱軍に資金援助を提供している国々の 国民の観点からも さらなる危険を引き起こすに違いありません。

お そらく、自動車爆弾や暗殺行為などの経験を手に入れて、戦闘のためにシリアに来た外国人ジハーディストたちの一部は、西ヨーロッパに戻 り、そしておそらく、資金を提供しているさらにリッチな湾岸諸国に戻ってくることでしょう。だから私にとって、その危険は、シリアがテロリズムと不安定さ のための養殖場に なるに違いないということであり、さらに、暴力犯罪さえもが世界に蔓延し、ひとが見物人としてそれを傍観するときに、広がったテロリズム と無秩序の津波が 導火線になったことを容易に見出すに違いないということです。

こ のコラムの発言、見解と意見などは、もっぱら著者のものであって、必ずしもRT(ロシア・トゥディ)を代表するものではありません。

(以 上、翻訳終り)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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