ジェームズ・コーベット「でっち上げ:メディアはどのように世界を戦争に向けて操るのか」

 カナダのオタワ大学経済学教授ミシェル・チョスドフスキーが代表を務めるthe Centre for Research on Globalization(グローバリゼーション研究センター)は、文字情報サイトであるGlobal Researchとともにビデオ情報サイトGlobal Research TVを運営している。このビデオサイトに、2012年1月2日付で次のビデオとその筆写が発表された。
Faking It: How the Media Manipulates the World into War by James Corbett
http://www.corbettreport.com/faking-it-how-the-media-manipulates-the-world-into-war/
 ビデオは次でも見ることができる。
http://www.youtube.com/watch?v=y4P2O8UjQeU
 解説をしているのはGlobal ResearchおよびGlobal Research TVで中心的な活動をするジェームズ・コーベットであり、彼の公開した論文・ビデオ論評は次のサイトでその一覧を見ることができる。
http://globalresearch.ca/index.php?context=listByAuthor&authorFirst=James&authorName=Corbett
 その中にはフクシマを取り扱った昨年10月の作品もある。
VIDEO: Japanese Government Insiders Reveal Fukushima Secrets
  
 ここでは、そのビデオサイトに付属されている英語による筆写の全文和訳(仮訳)をご紹介したい。ビデオには、この筆写では書かれていないいくつかの映像と音声を確かめることができる。できたら、この和訳とビデオ画像の両方にお目をお通し願いたい。この和訳では、その箇所に簡単な解説をつけておくことにする。
 このビデオで述べられている事実のいくつかについてはお読みの方がすでにご存知かもしれない思うが、ここでは1898年のメイン号事件に始まって2011年に起こったメディアによる偽情報流布の例に至るまで、米国の外交・戦争政策を後押しする形で様々に情報を操作し続けるメディアの実態が、簡潔にだが非常に分かりやすくまとめられている。
 今回この筆写を翻訳して公開した理由は、単に現在中東で新たな大掛かりな戦争が準備されつつある逼迫した情勢のためだけではない。主な理由は、日本で「反戦」や「平和運動」などを行っている人々に、過去から現代に至るメディア報道と戦争の関係について、ちょっとだけでも事実を振り返っていただきたかったことである。 
 日本だけではないが、「反戦」や「平和」の運動で一つのことが決定的に欠落してきたのではないかと感じる。それは、戦争の前後には必ず大掛かりな情報操作が行われ、嘘がいかにも真相らしく捏造され脚色され、虚構が真実として報道されるという、歴史的な事実についての認識、歴史的な事実からの学びである。このビデオの中でコーベットは次のように述べている。『驚くべきことに、人々のほとんどがこれらの明らかにされている誤魔化しのどれからも全く何も学んでいないように思えます』。
 何度も繰り返して大嘘に引っかかりそのたびに虚構を信じ込んだうえで、大嘘をでっち上げた戦争推進者に対していくら「戦争はいけません」「平和を守りましょう」と叫んだところで、何の役にも立たないばかりか、戦争推進者の大嘘を許し虚構を認めて戦争を推し進める側に回るだけである。もっと悪いことに次の戦争を防ぐことが全く不可能である。メディアを使って流される嘘を見逃しあるいは逆に積極的に「真実である」としながら、「反戦」だの「平和」だのを言う人々は、おそらく救いようもないお人よしなのか、あるいは「反戦」や「平和」を語ることによって個人的・党派的な利益を手に入れようとたくらんでいるかの、どちらかであろう。
 近代以降の戦争には「国民の支持」が必須であり、戦争推進者にとって、事件や情報をでっち上げメディアの情報力を動員して国民を騙すことが必要不可欠な作業となる。もし各国で国民が騙されなければその戦争政策の遂行は極めて困難になるだろう。つまり国民の多数派がメディアの嘘を見抜くことこそ戦争抑止力なのだ。私が「反戦」や「平和」を唱える人々に分かっていただきたいのはこの点である。 
  
 このビデオは英語圏のメディアが流す嘘と戦争推進者によるメディア戦略を取り扱っているのだが、もちろん我々は、このビデオで語られる事実をヒントにして、日本語メディアについて主に考えるべきであろう。第2次大戦前に日中戦争を煽った大マスコミは、現在でもそのまま大マスコミとして存在する。それが核(原子力)開発についてどのような報道をしてきたのか、また現在しているのか…。それは不幸なことにだが、フクシマを通してますます大勢の人々にとって明らかになりつつあるのではないか。
 さらに、日本は米国の外交戦略の中でしか政治を許されていない。そして米国やNATO(+イスラエル)の政策について日本の主要メディアは米国・英国のメディア情報を引き写す以外のことはできない。つまり、米国やNATOの戦争政策に関しては、米国や英国のメディアの嘘を日本のメディアがそのままノーチェックでたれ流す構図が出来上がっている。日本人の世界観は米英メディアのでっち上げる虚構に支配されているのだ。
 だからこそ、米英メディア報道のチェック、そして欧米諸国でそのチェックを行っている人々からの情報は、日本人にとってその命運を握るものとなる。日本人の富と財産が、貧困層と地方切捨ての拡大と相まって、米国の戦争政策の中で大量に吸い上げられてきたことはもはや周知の事実であろう。近未来に米・NATO(+イスラエル)の起こすかもしれない戦争は、戦場となる国々だけではなく、日本人の生活と命をも破壊し国を破滅に追いやるものである。
(参考資料)
アフガン・イラク戦争開戦の大嘘と911事件
対シリア「人道的戦争」は第3次世界大戦をもたらすのか?
人権という名の戦争犯罪:『リビアと大嘘:戦争に利用される人権団体』(Global Research)
各国政府とメディアによる対イラン情報偽造の実態(Voltaire Net)
アメリカの「対ウエッブ戦争」(サンデー・ヘラルド紙)
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でっち上げ:メディアはどのように世界を戦争に向けて操るのか

(ビデオ語り)ジェイムズ・コーベット   2012年1月2日 Global Research TV

(ビデオ:緊迫化するイラン情勢と、中国やロシアに対する米国の攻撃姿勢について、現在の状況が語られる)
 戦争のドラムが再びイランシリア南シナ海、そして世界中の他の可能性あるホットスポットとフラッシュポイントで鳴り響き始めていますが、関心のある人々が持つ疑問は、世界が流血に苦しみ人々が争いに疲れ果てているというのに、どようにして再びそんなところに導かれていくことがあるのだろうかということです。
    

 この一見矛盾に思えることを理解するために、我々はまず何世紀にも及ぶ歴史を理解する必要があります。この国を戦争時の狂乱に追いやり、敵と見なされた人々を非人間化し、そして世論を操作して何十年か後になれば全くの作り話だったと分かるような開戦理由を信じ込ませるために、メディアがどのように利用されてきたのかという歴史です。
(ビデオ:ハーストの伝記映画、メイン号事件の映像とニューヨーク・ジャーナル紙面、米西戦争の映像)
 「イエロージャーナリズム」という言葉が、扇情的でスキャンダルを追いしばしば誤りに満ちた報道のあり方を説明するために造られました。それはウイリアム・ランドルフ・ハーストのニューヨーク・ジャーナルのような新聞によって知られるようになったものです。そのあり方の最もひどい例の一つですが、ハーストの新聞はメイン号の沈没をスペイン人たちの仕業であると大々的に煽りたてました。以前から人々は、スペイン軍によるキューバ人たちへの拷問だのレイプだのの描写の大連続のために反スペインの激情を掻き立てられており、さらにメイン号事件によって我慢の限界に追いやられていたために、世論は米西戦争開戦を大歓迎しました。今ではこのメイン号の爆発は石炭貯蔵庫からの出火であると幅広く信じられているのですが、スペイン人が犯人だという恐ろしい記事が真っ先に突き立てられ、この国は戦争へと引きずられました。【このメイン号事件に関しては、やや見方が異なるが、こちらを参照のこと:訳注】
 多くの言われ方をするのですが、「君は絵を備えなさい。そうすれば私は戦争を備えるだろう」という言葉は、不名誉にもハーストが新聞の挿絵画家に答えたものだとされます。この話は後世の作り事なのでょうが、にもかかわらずそれは、世論を戦争へと誘導する方法を完璧にコード化しており、何十年を経て再び現れるものです。
(ビデオ:ルシタニア号の絵と映像、チャーチルの写真、ニューヨーク・タイムズ紙面)
 米国はルシタニア号の沈没で第1次世界大戦へと向かったのですが、この船は米国人の旅客を乗せた英国の客船で、アイルランド沖でドイツのUボートの魚雷攻撃を受けて1000人以上の乗客が死亡しました。もちろんですがこの当時、人々は、その事件のたった1週間前に当時英国海軍大将の地位にあったウインストン・チャーチルが貿易委員会の長に書き送った言葉、「最も大切なことは我々の近海に中立国の人々を航海させるようにすることだ。特に米国をドイツとの戦争に巻き込むという期待をこめてである」について、知らされていませんでした。さらにこの船が火器類などの軍需用品を運んでいたという攻撃の通知も報道されませんでした。その代わりに報道されたことは、またしても、狂った敵による無法な攻撃であることを強調するもので、世論は戦争へと誘導されました。
(ビデオ:真珠湾攻撃の映画の一部と実写映像、ホノルル・アドバタイザー紙面、スティムソンの写真、機密解除メモを知らせるウエッブサイト、「奇襲」を報じるニューヨーク・タイムズ紙面)
 第2次世界大戦への米国の参加も同様に計画的な偽情報の結果でした。ホノルル・アドバタイザー紙が何日も前にパールハーバー攻撃を予告していました。日本海軍の暗号はそのときまでにすでに解読されていました。そして米国戦争省長官ヘンリー・スティムソンでさえ、その前の週にロウズベルトとの会談で「我々にとってあまり大きな危険を許さない程度に最初の砲火を放つ位置に、どうやって日本人をおびき寄せるべきか」について議論したと日記に記しているのです。ところが世論はやはりパールハーバー攻撃が全く予想不可能だったと信じ込まされました。ほんの先月、新たに機密を解かれたメモが現れましたが、それには、フランクリン・D.ロウズベルトがパールハーバー攻撃のちょうど3日前に、日本によるハワイへの攻撃が切迫しているという警告を受けていたと書かれています。にもかかわらず、歴史の本は相変わらずパールハーバーを奇襲攻撃の見本として描きます。
(ビデオ:米駆逐艦の映像、報復措置を報道するニューヨーク・タイムズ紙面)
 1964年8月に、人々は、北ベトナムがトンキン湾で米国の駆逐艦を2度にわたって攻撃したと告げられました。この攻撃は「共産主義者による暴挙」の明らかな実例として描かれ、対処の方法がすぐに議会を通過し、ジョンソン大統領に米国軍をベトナムに投入させました。2005年になって、NSAの内部調査が公表され、2回目の攻撃は実際には起こっていなかったことが明らかにされました。結果として、6万人の米国兵士と300万人に上るベトナム人、加えて50万人ものカンボジア人とラオス人が、ジョンソン政権の妄想の中と米国メディアの紙面上以外では起こってもいない事件のために、その命を落としたのです。
(ビデオ:涙ながらに偽の証言をするクウェート大使の娘:音声付:彼女は戦争が開始して以来クウェートに戻っていなかった)
 1991年に、クウェートの少女ナイラーの感情を掻き立てる話が世界に紹介されました。彼女はイラク軍のクウェートでの残虐行為について証言したのです。
(ビデオ:偽証言の続き、サダム・フセインの映像、イラクの「残虐行為」を大きく伝えるニューヨーク・タイムズ紙面)
 その出来事が本当は広告会社ヒル・アンド・ノウルタウンが製作したもので、その少女は実際にはクウェート大使の娘だったという事実は、世界に知らされませんでした。またしても、世論はフセイン政権に対する憎しみの激情に追いやられたのです。それは、米国自身が与えた武器を使って自国民の一部に対して為された残虐行為の記録に対してではなく、この、テレビを通して語られ広告会社によってまとめられた架空のストーリーに基づくものでした。
(ビデオ:パウエル国務長官が国連でイラクの「大量破壊兵器」の偽情報を披露する映像、イラクの「核開発」を大きく伝えるニューヨーク・タイムズ紙面、ブッシュ政権高官たちの映像、「化学兵器」を報道するFOXニュースとエルサレム・ポスト、NBCのトークショーでしどろもどろに言い訳をするラムズフェルド国防長官と丁重に「追究」するプレゼンテイター)
 イラク戦争が始まる前に、米国のメディアは不名誉にもイラク政府の大量破壊兵器(WMD)についての議論煽りたての先導役を務めました。それは断じて、WMDが存在するかしないのかの議論ではなく、それがどこに隠されているのか、それを取り除くために何をすべきかについてのものだったのです。ニューヨークタイムズがジュディス・ミラーのWMDの話に関する今や悪名高い記事を使って先陣を切りました。今ではそれは信用の置けないソースからの偽情報に基づいていたことが知られていますが、しかし他のメディアも右にならえであり、NBCニュースは「イラクとその大量破壊兵器が厳密にはどのような脅威をアメリカにもたらすのか」を問いました。化学兵器の隠匿についての多くの記事が、確認を受ける以前に報道されました。その太文字の見出しはその存在を疑うべからざる事実として断定していたのですが。いま我々は、実際にはその備蓄など存在しなかったことを知っています。そして政府はあらかじめこの国を騙して新たな戦争に陥れました。しかし、ブッシュ政権がこの記録文書になっている戦争犯罪について受けた最も厳しい反対ですら、日曜日の政治トークショーで語られる一種の丁重な訂正でしかなかったのです。
 驚くべきことに、人々のほとんどがこれらの明らかにされている誤魔化しのどれからも全く何も学んでいないように思えます。むしろメディアは公衆の知覚を操作しようとする目的でより大胆になっています。それはたぶん、夜のニュースでメディアが人々に描いてみせるものをほとんどの視聴者が疑おうとしない事実を見れば、明らかだと思います。
(ビデオ:RTニュースが伝えるCNNの誤誘導を非難する映像、ツヒンヴァリの住民の証言、これはグルジアによる攻撃だった)
 2008年に【筆写ではLater that yearと書かれているがビデオでは「2008年」と語っている:訳注】、CNNが南オセチアのツヒンヴァリが爆破された映像を流しましたが、それにはゴリ(グルジアの都市)という偽の地名が書かれ、そこがロシア人によって攻撃を受けたのだと語ったのです。
(ビデオ:BBCオンライン版による偽情報)
 2009年にはBBCがイランでのデモ行進の写真の一部を切り取って放映したのですが、彼らはそれを、イラン政府への反対を示すために集まった抵抗者たちの集まりであると主張しました。ところが、LAタイムズのウエッブサイトが示した同じ画像の全体を見せる写真で、それが実際にはアーメディネジャッド支持者のデモ行進のものだったことが明らかになりました。
(ビデオ:BBCテレビによる偽情報、それを知らせるInfowars.com記事)
 2011年8月にBBCは、トリポリの「緑の広場」での祝賀と称するビデオ映像を放送しました。しかし眼力の鋭い人たちがこのビデオに映る旗が実際にはインドの旗だと気付いたとき、BBCはトリポリではなくインドからのビデオ映像を「偶然に」放映したと認めざるを得ませんでした
(ビデオ:CNNによる偽情報、エジプト紙の写真)
 また同じ月にCNNは、人権のためのシリア監視委員会による、シリア当局者がハマの電力供給を止めたときにそこで8人の乳児が病院の保育器の中で死亡したと主張する話を報道しました。いくつかのニュースサイトは乳児の写真を載せることすらしました。それら写真はエジプトで撮影されたものであることが後になって確認され、その告発を裏付ける証拠は未だかつて現れてきません。
 これらの嘘や誤魔化しやいわゆる「ミステイク」のすべてが思わず息を呑むようなものであるため、それ自体では単なる戦争マシンとしてのメディア働きという姿を現しません。いま、米国政府はますます直接的に戦争プロパガンダのメディア情報を作る作業に関わっており、一般大衆はペンタゴンのレンズを通して見る世界の偽映像にもっと引っかかりやすくなりつつあります。
(ビデオ:ブッシュ政権が多額の資金を使って偽ビデオを作っていた事を伝えるNBCニュースとワシントンポスト紙面)
 2005年にブッシュのホワイトハウスは、合法的な独立ジャーナリストからのニュースレポートそっくりにデザインされたビデオを作っていること、そしてそれらを夜のニュースで放映するためのあらかじめ組み込まれた材料としてメディアに与えていたことを認めました。米国会計検査院がこれらの偽ニュースレポートを憲法違反の隠密のプロパガンダであると断定したときに、ホワイトハウスは単にその行為は合法的であるというメモを発表しただけでした。
(ビデオ:ニューヨークタイムズ紙面、退役軍人が出演するTV映像)
 ニューヨークタイムズは、2002年に立ち上げられ退職した軍人たちを使ってメディア内にペンタゴンの論点を導入するという米国国務省の秘密計画を暴露しました。軍人たちは、あらかじめペンタゴンによって特別に指令を与えられるにもかかわらず、「独立したアナリスト」としてトークショーとニュース番組で紹介されたのです。2011年12月に、国防総省自身の主席査察官があるレポートを発表し、その計画は政府の政策と規則に完璧に従うものであると結論付けました。【ブッシュ政権後半に主要メディアでこのような暴露が行われたのはスムーズな政権交代を準備するためと思われるが、これもまた世論操作の例であろう:訳注】
(ビデオ:下記の事実を伝えるGlobal research誌面)
 今年(2011年)の初期に、米国政府が偽の社会メディア事業を創設するソフトを開発するためにHBGary Federalと契約を結んでいたことが明らかにされました。それは世論を誘導し人気のあるウエッブサイトでプロパガンダを推進する目的を持っています。そのソフトウエアに関する契約はフロリダにあるマックディル空軍基地に源を発したものです。
 マスメディアは、それを通して外部世界からの情報が捉えられ選ばれ編集されそして我々の家庭に届くための運び手として、我々が最初には近づくことのできない出来事についての我々の理解を形作るという、巨大な責任を負っています。これは、信頼の置ける編集者に指導される勤勉なレポーターが最も重要なニュースを最も直接的に報告するために最高レベルの努力をするという、その最も理想的な状況においてさえとんでもなく恐ろしい責任です。
(ビデオ:多くのメディアが一まとめにされていることを示す画像)
しかし、一握りの企業がそれぞれの国で出版物とラジオとテレビ媒体を実質的に独占しているメディア全般の状況の中では、大衆が手にする唯一の手段は主要メディアに背を向けることです。そしてそれがいま起こっていることなのです。
(ビデオ:Web ad.vantage誌とMashable誌、ともにインターネットメディアが優越しつつあることを伝える)
 研究に次ぐ研究報告に次ぐ報告が為され、旧来のメディアの死が近年加速されてきており、ますます多くの人々が主な情報源として新聞を、そしていまやテレビさえ投げ捨てつつあります。その代わりに、人々はニュースと情報を求めてオンラインの情報源の方にますます顔を向けています。それはあの戦争マシン自身にとってきっと何か心配なことに違いありません。それが、プロパガンダの手段が独占的なコントロールの元に置かれるときにだけ本当に成果を挙げることができるシステムだからです。
 しかし国民がニューヨークタイムズにそっぽを向いて独立ウエッブサイトに向かうときに、それの多くが市民ジャーナリストとアマチュア編集者によって運営され操作されているわけですが、多くの世代の人々の精神に対するコントロールを束ねてきたシステムが結局は無敵のものではないかもしれないという兆候を見せているように思えます。
(ビデオ:途中でイランの核燃料製造を伝える新聞記事と「アラブ議会」のシリアへの警告を伝える新聞記事)
 もちろんですがオンライン・メディアが、従来のメディアをここまで信用の置けないものにした欠陥を持たないものである、などと言いたいわけではありません。全く逆です。でもその違いは、オンラインにはまだ相対的にですが個々人のレベルで選択の自由があることです。インターネットの自由が存在する間は、個々の読者や視聴者はどんな事柄に関しても、どのウエッブサイトや権威者や解説者からもその言葉を採用する必要がないわけです。人々は自分で情報源の文書をチェックできます。ただし、たぶん偶然ではないのでしょうが、伝統的なメディアの牙城のウエッブサイトを除いてです。それらはその記事の中で情報源や記録文書にリンクしたがらないのです。
 だからこそ我々は近年、インターネットの自由に関して、SOPA(オンライン海賊行為防止法)、Protect IP(知的財産保護法)、米国政府がドメイン名のレベルでウエッブサイトを取りしまるための試み他同様のあらゆる攻撃を見てきたわけです。
 結局は情報を得て活動する人々が権力と利益を求めて行われる戦争と付き合うことがほとんど無いだろうからです。そして、メディアが長期間延々と嘘をつこうとしてきたような事柄について人々がより良い情報を得るようになるにつれ、人々は、あらゆる主流メディアの戦争応援団と見え透いた嘘に対する返答が、たぶん予想された以上に単純なものだと気付くでしょう。そのスイッチを切りさえすればよい、ということです。
 
   

【翻訳ここまで】   

   

   
 〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1784:120114〕