前世紀中葉の頃だったと思うが,商用でセビリアに行ったことがある。この町は迷路のようで建物は遠くから見えるがなかなかそこにたどり着けない。おそらく戦乱の時代,町へ敵が攻めてきても防御できるように道や建物を複雑に建てたのであろう。
そんなことを思いながらホテルに戻ったら,映画だかTV用の撮影をしていた。有名なホテルらしい。そのとき主役の,バルセロナ出身の男性とお会いした。彼が日本びいきだということを知った。たまたま持っていた日本酒を差し上げたが,「今度バルセロナに来い」という。
バルセロナやよりカタロニア地方については故加藤周一の旅行案内記『バルセロナの靴磨きと美術館員(スペイン旅情)』を読んでいたので余計親近感があった。カタロニアにはいい木彫りがあるという。
星霜20年。その約束をまだ果たしていないが,カタロニアの独立機運の気持ちは分かる。
夕方,南の町の広場を歩いていると,あたりが一瞬静まった。何かと思ったら十数人が垂れ幕をもって無言の訴えをしていた。小生はスペイン語に堪能ではないが,スペイン語ではないことが分かった。おそらく独立を求める人々(バスク人?)であったのであろう。
カタロニアの独立運動の是非はよく分からない。ただ独立後にNATOに加盟するというのは頂けないと思ったことがある。独立してもNATOという枠に縛り付けられれば,NATOへの軍事面での出費がかさむだろうことは目に見えているばかりでなく,独立を求める他の地域をNATOの紛争に巻き込む危険性が高いからでもあった。
いずれにしても本記事に書かれている内容についてはまったくの初耳。ゆっくり読ませていただきたいと思う。感謝。