ソロー=岩田労働価値説妥当性の論理的解明

以下で問題のソロー=岩田型の労働価値説の成立可能性を論理的に解明する。

ソロー=岩田型労働価値説に有利なように問題を以下のように単純化する。

  • 経験的事実と理論的ベンチマーク

カルドア的事実が資本主義の初期から資本主義の終焉まで継続しているものとし、かつ経済成長理論モデルの妥当性ベンチマークとする。

  • ハロッド中立的技術進歩を仮定したソローモデルは、カルドア的事実の説明モデルとして妥当する。

1および2の前提からソロー=岩田型労働価値説が現実的妥当性を有するかを論理的に解明する。

問い

ハロッド中立的技術進歩を仮定したソローモデルはカルドア的事実の説明モデルとして妥当するが、カルドア的事実からソローモデルだけが帰結するか。

YESの場合

 ハロッド中立的技術進歩が現実に観察されれば、ソロー=岩田型労働価値説は現実に成立している。現実に観察されるかどうか、実証的な検証で決着がつく。

NOの場合

 カルドア的事実を説明するソローモデル以外の理論が存在するだろうか?

 一見この存在問題を検証した研究があるのかどうか不明である。とするとハロッド中立的技術進歩を仮定しないモデルの可能性を排除できない。その限りではソロー=岩田型労働価値説は証明も反証もされていない、仮説的なものとみなすのが妥当だろう。

 しかし、ソローモデル以外の理論モデルは存在する。それはハロッド中立技術進歩の構造において、労働の代わりにXを置き、労働をK(資本に)に繰り込めばX深化的技術進歩として変形できる。(資本財とXからなるコップ=ダクラス型一次同次生産関数)。X集約型ソローモデルも収束性は保証されている、LをXに書き変えれば済むのだから。その場合はX価値説が成立し労働価値説は棄却される。Xは例えば石油でも何でもよい。

YES/NOいずれの場合もソロー=岩田型労働価値説の現実的成立へのハードルはなかなかに厳しいものがあるのではないか。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔study1374:251128〕