安原和雄氏の「わたしの脱「テレビ視聴」宣言 -後期高齢者として目と脚を大切に-」を拝見しまして、思わず笑みを浮かべてしまいました。
私は、「後期高齢者」ではなくて、未だに現役ではありますが、些細な理由から十数年前にテレビと縁を切りました。 観るべき番組も無く、日常生活に無くて困るようなものではありません。 理由のひとつには、下手の横好きで多趣味であることもあり、テレビを観るより愛猫の遊び相手をする方が楽しいからでもあります。
そもそも今は、世界中の最新ニュースをネット経由で入手出来る社会です。 何もテレビに限らず、日本の、極度に国家権力や大企業に偏向したフィルターで濾過された報道に接する必要性もありません。 特に、馬鹿馬鹿しいのが、ニュース番組中のショー化したものです。 「コメンテーター」と称する自称「作家」の三文小説家や、本業では大した業績を残していない「学者」等の、阿保らしい素人丸出しの批評を聴く時間が無駄です。
しかしながら、テレビは観ない、と何度言っても「契約」してくれと迫るNHKの外交員の厚かましさには閉口しました。 NHKに連絡しまして、当家では、数十年前の受像機はあるが、テレビ番組を視聴するべきアンテナ等の設備自体が無いのに契約しなければならないのかどうか、と確認しましたところ、その必要性は無い、とのことでしたので一安心。 今では、地デジになろうがなるまいが、私には何の関わりもありませんし、関心も無いのですが、知り合いの電気店の店長は、新型の受像機を売りつけようと必死です。
厳密に言うと、日本のテレビは観ないのですが、ドイツやイギリスのテレビ番組は可能ならば観たいのです。 しかしながら、いくらインターネットの時代でも、ラジオのようには簡単に視聴は出来ないのが実情で残念です。 代わりにDVDを購入して観ていますが。 私は、ドイツの女性歌手ネーナの大ファンなので。 このネーナは、お年を召してからも嘗ての可愛らしさを失わず、繊細でしかもバイタリティに溢れる歌唱力が魅力です。 言葉は悪いのですが、日本人の「お姉ちゃん歌手」とは相当な距離があります。 今人気のMade In Germanyのライブでは、ドイツ人が誇りを持ってドイツ人と言える存在であることをネーナ流に観客に示しています。 その昔に彼女が歌った99Luftballonでは、東西ドイツの不戦の願いが窺えたのですが、統一後の現在ではGermanyの語に愛おしさが感じられるようで、なかなかに好ましい曲になっています。
さて安原氏と少し似た趣味ですが、友人との登山やハイキングが疎遠になってしまった今、私は時折古都奈良を訪れて古寺に遊んでいます。 実は、若い時期に奈良市民であったことがあり、地元に友人も居まして、しかも、現在の居住地が奈良の近辺であることが幸いし、宿泊せずとも相当な時間をかの地で過ごせるのです。
古寺と言いましても、私の好きなお寺は、見上げるような塔・堂を有する古刹ではありません。 名も無い、鄙びた古いお寺が好きなのです。 大和路の古寺は、京都の磨きあげた大伽藍の大きな寺とは違い、ひっそりとした風情ですが、地元にしっかりと根付いた由緒のある古寺であり、四季の行事やお寺で味わえる精進料理等を通じて何度でも通えるのが魅力です。
お勧めなのは、日本で最古の道である「山の辺べの道」に沿って歩かれると観られる古寺です。 一般的なコースは、桜井市より三輪神社を参拝し、その後は途ながらに天理市を目指して歩かれると、其処ここで古びたお寺を眼にすることが出来ます。 道は、山々に沿ってあり、四季の移ろいに従い大和の古道を味わうことが出来ます。 また、桜井市の三輪素麺を始めとして奈良の名物を味わうことが可能ですし、季節により田園地帯では、採りたての果物・野菜等を即売もしていて楽しめます。
参考書は、それこそ山ほどありますが、著者の思いが伝わる「入江泰吉 大和路巡礼」全6巻 集英社をお勧めします。 「大和の古寺」全7巻 岩波書店も良いですが、「奈良 大和路逍遥」全2巻 日本通信教育連盟が以外と親切です。 もっと深く極めたいのなら「大和古寺大観」全7巻 岩波書店がありますが、高価です。以上は、全て古書店で入手可能です。
また、ネットで手軽に情報収集されるなら、「奈良交通グループ」のホームページが良いと思います。 見所を紹介した散策ガイドを作成されていますので。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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