世界中でさまざまなニュースが飛び交った2017年も終わりに近づいた。新聞各紙はそれぞれ10大ニュースを発表する時節だが、ここでは自己流の尺度から世界10大ニュースを選定してみた。読者諸賢の尺度と比較して見ていただければ幸いである。
1、 米国第一主義のトランプ政権発足
2、 北朝鮮の核・ミサイル開発進み米朝危機高まる
3、 ノーベル平和賞にICAN、核兵器禁止条約採択
4、 「イスラム国」の「首都」ラッカ陥落
5、 中国共産党大会・習近平体制強化
6、 仏大統領に史上最年少のマクロン氏当選
7、 韓国の朴槿恵大統領逮捕、文在寅政権発足
8、 各地でイスラム過激派のテロ続く
9、 米欧で脱金融緩和、NY株は史上最高値圏
10、サウジアラビアで皇太子が政敵封じ込め
第1位 トランプ政権の発足 「アメリカ第一主義」を掲げるドナルド・トランプ氏が1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領として就任。大統領選挙戦の公約に沿ってTPP(環太平洋パートナー協定)から米国の離脱を実行(1月)、気候変動抑制に関する国際協定であるパリ協定からも離脱を表明(6月)。さらに国際合意に反してエルサレムをイスラエルの首都として認定すると爆弾発表(12月)するなど、強引な「米国第一主義」の実行が世界的な反発を招いた。
第2位 北朝鮮の核・ミサイル開発で米朝危機高まる 北朝鮮「金王朝」3代目の金正恩・労働党委員長就任後6年目で核・ミサイル開発が高度化。ICBM(大陸間弾道ミサイル)級のミサイル実験に加えて水爆実験(9月)も行われた。米国は武力行使も辞さない構えで「北」に核・ミサイル開発の放棄を迫り、国連安保理を通じて対「北」制裁を強化しているが「北」の譲歩は得られず、米朝間の緊張は極度に高まった。
第3位 ノーベル平和賞にICAN、核兵器禁止条約採択 2017年ノーベル平和賞に国際反核NGOのICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が選ばれ、12月6日オスロで開かれた授賞式でカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(85)が「核兵器は必要悪ではなく絶対悪だ」とスピーチ、感動を呼んだ。国連本部で交渉が続けられていた核兵器禁止条約は7月7日、全国連加盟国の3分の2以上の129か国が署名して採択された。核保有国や日本は不参加。
第4位 「イスラム国」の「首都」ラッカ陥落 2014年6月から狂信的武装イスラム集団が、シリア北部からイラク西部にわたる広範な地域を支配してIS(イスラム国)を名乗って地域住民を支配してきたが、イラク第2の都市モスルをイラク政府軍が奪回(6月)。イスラム国「首都」を名乗っていたシリア北部のラッカも米軍などが支援するクルド・アラブ合同部隊が制圧(10月)。世界を震撼させたIS根拠地はなくなったが、IS系のテロリストは世界各地に拡散した。
第5位 中国共産党大会・習近平体制強化 5年に一度の中国共産党大会が開かれ(10月)、習近平総書記が再任された。今回採択された党規約には「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導の下共産党が全国人民を指導」と固有名詞が書き込まれ、毛沢東、鄧小平に次ぐ権威を得ようとしている。習氏が過去5年間の「トラもハエもたたく」党内反腐敗闘争で政敵粛清の権力闘争に勝ったことを示しているようだ。
第6位 仏大統領に史上最年少のマクロン氏当選 5月のフランス大統領選挙で弱冠39歳のエマニュエル・マクロン氏が、右翼国民戦線のマリーヌ・ルペン氏を大差で破って当選。続く6月の国民議会(下院)総選挙でもマクロン陣営の新党「共和国前進」が圧勝。中東・アフリカからの移民流入に反発する欧州・右翼ポピュリズムに歯止めをかけた。
第7位 韓国の朴槿恵大統領逮捕、文在寅政権発足 韓国の憲法裁判所は3月14日、朴槿恵大統領が友人に便宜を図った行為を法治主義違反として弾劾を採決。検察庁は同31日大統領を逮捕、収賄容疑も含めて起訴した。これを受けて5月に大統領選挙が行われ、革新系の文在寅氏が当選。昨年10月末から23週連続で、毎週末に続けられた反朴政権の大規模ろうそくデモが事態を動かした。
第8位 各国でイスラム過激派のテロ続く 中東でのIS(イスラム国)は壊滅したが、IS系のイスラム過激派が世界各地でテロ攻撃を頻発させた。英国マンチェスターの野外コンサート会場での自爆テロ(5月)やロンドンやバルセロナ、ニューヨークでの自動車暴走テロなど欧米のほか、トルコ、エジプト、アフガニスタン、パキスタンなどイスラム圏でも大規模テロが頻発した。
第9位 米欧で脱金融緩和、NY株は史上最高値圏 2008年のリーマン・ショックを受けて、米欧日の中央銀行が揃って展開した大規模金融緩和はようやく変化の時期を迎えつつある。アメリカの中央銀行に当たるFDR(米連邦準備制度理事会)が2015年12月に政策金利の引き上げを実行して以来、2016年と2017年を通じて慎重な利上げを継続。ECB(欧州中央銀行)は本年10月の理事会で、政策金利は今後も据え置くものの来年1月から量的緩和を縮小することを決定。日銀だけが今後も従来通りの量的緩和を続ける。NY株式のダウ平均株価は2万4000ドル台の史上最高値圏を続けている。
第10位 サウジアラビアで皇太子が政敵封じ込め 世界一の産油国サウジアラビアで、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32)による汚職摘発が行われ、王子、現職閣僚、閣僚経験者ら大物201人を拘束した(11月)ことが判明。イスラム教スンニ派の盟主で親米国サウジアラビアの政情は中東全域、世界の石油事情に影響する。
第5位 中国共産党大会・習近平体制強化 5年に一度の中国共産党大会が開かれ(10月)、習近平総書記が再任された。今回採択された党規約には「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導の下共産党が全国人民を指導」と固有名詞が書き込まれ、毛沢東、鄧小平に次ぐ権威を得ようとしている。習氏が過去5年間の「トラもハエもたたく」党内反腐敗闘争で政敵粛清の権力闘争に勝ったことを示しているようだ。
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