トランプ政権の虚実を見る必要があるのでは?

マティス国防長官がトランプ大統領を小学校5年か6年生レベルの理解力しか無い、と酷評したとかしないとか、と書いてある処の件のボブ・ウッドワード(Bob Woodward)氏の新著がこの国でも、アマゾンで購入予約が可能ですし、ニューヨーク・タイムズ(NYT)のトランプ政権内部批判勢力に係る記事も云々されている処です。

 

しかしながら、米国のマスコミの現状とその政治的立場を理解せずに、鵜呑みにするのは危険です。 即ち、米国ではマスコミの大半が民主党支持であり、その政治的立場から共和党とトランプ政権に対する批判は当然なのです。

 

従って、民主党支持の言論を真に受けてトランプ政権とトランプ大統領個人に対する嫌悪感で政治・経済を語られると少し見当外れになるのではないのでしょうか。

 

その点を正確に見られている方々もこの国におられるのですが、少数派であるのは仕方が無いことです。 その少数派の意見を取り上げられているIWJは流石、と言わねばなりませんが。

 

例えば、山田正彦氏の御指摘です。

 

「英EU離脱と米トランプ氏当選は『新自由主義は間違いだ』と国民投票で証明した! 『ポピュリズム』など非常に失礼だ!」――「山田正彦の炉端政治塾」経済アナリスト・菊池英博氏講演 2016.12.17

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/352809

 

個別の政策では、例えば気候変動に関わるものが筆頭です。 米国では、地球温暖化に関して共和党支持層と民主党支持層が対立し、マスコミもその支持政党に従って対立しています。 従って、報道関連で反温暖化論を展開する処は少数です。 ただし、それには、ウォ―ルストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)等の老舗も例外としてありますが。

 

【社説】米国はパリ協定から離脱すべし 協定にとどまれば、排出削減目標の「わな」に

The Wall Street Journal 2017 年 6 月 1 日 17:20 JST

https://jp.wsj.com/articles/SB10916868980930144459004583180701703429198

 

処で、NYTのトランプ政権内抵抗勢力に関わるものは、民主党支持層の反トランプ運動とは少し事情が相違します。 これは、憲法制度に基づいて合法的に選出された大統領に従うべき者に依る政権内部からの破壊活動であり、ナチスに対するレジスタンス等とは同列に出来得ないものです。 トランプ大統領が捜査を指示するのも当然です。

 

WSJのこの間の記事は、トランプ大統領自身の持つ欠点を認めつつも、現実に米国民のためになる政策実現を果たしつつある面を直視したものとして貴重です。

 

「われわれが2016年の選挙前に社説で書いたように、ドナルド・トランプ氏に投票することは、彼に明白な性格的欠陥があるという大きなリスクを甘受しながら、より良い政策を実現する賭(か)けだった。

 

トランプ氏かヒラリー・クリントン氏かの二者択一を前に、6300万人の米国人はトランプ氏に賭けた。そこに幻想はなかった。

 

中略

 

2016年選挙と同様に、この大統領を支持する1つの論拠は、何百万人もの人々がそうみているように、彼の反対勢力による怒りや執念深さへの反発だ。

 

現在のような困難な時期において真の英雄は、マティスやマクマスターのような人物、クドローやコーンのような人物、そしてマコネルやライアンのような人物だ。それは大統領執務室にいる騒々しい人物と熾烈(しれつ)化した「抵抗」の周囲で、この国の価値のために働いてきた人々なのだ。」

 

【社説】トランプ氏への匿名の抵抗は勇敢か 名前を伏せたニューヨーク・タイムズ寄稿の筆者、真の英雄ではない The Wall Street Journal  2018 年 9 月 7 日 14:02 JST 更新

https://jp.wsj.com/articles/SB12789854453627703722704584456431915932214

 

処で、WSJに名前を挙げられたマティス国防長官は、トランプ氏に始めて会った折に、テロ容疑者への拷問を復活すると主張する同氏に、私なら拷問の代わりにコーヒーとタバコを出す、と言われたそうでした。 この答えに感心したのか、同氏を国防長官に迎える決断をされたトランプ氏でしたので、軍への敬意も相まって、今後も国防長官に据える意思があるようですし、トランプ氏を抑える最後の砦の役目を果たされているのが実情のように見受けられます。 どうか、このまま国防長官を続けていただきトランプ大統領が暴走しないように手綱を引き締めておいて頂きたいものです。

 

因みに、マティス国防長官がトランプ大統領を小学生み、と言った等の発言を否定された声明文が皮肉を交えた簡潔にして要領を得た文章で英作文の手本にしたい、と思ったものでした。

 

「私は、常々小説を読むのを楽しみとしていますが、これは正しく比類の無いワシントン・ブランドの文学です。」“While I generally enjoy reading fiction, this is a uniquely Washington brand of literature”何て、美味い表現を声明文にするのですから、並みじゃないです。

 

Jim Mattis Calls Woodward Book ‘Fiction’: ‘Product of Someone’s Rich Imagination’ BREITBART 4 Sep 2018 https://www.breitbart.com/big-government/2018/09/04/jim-mattis-calls-woodward-book-fiction-product-of-someones-rich-imagination/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  https://chikyuza.net/
〔opinion7984:180911〕