ハンガリーの五輪メダル賞金と年金事情  日本もアマ選手には年金を

 ハンガリーのパリ五輪報奨金は前回の東京五輪の時の10%増しと決められました。今次のメダル獲得者と入賞者(8位まで)の報奨金は以下の通りです。
   金メダル       5500万Ft(フォリント・1人当たり)
   銀メダル       3900万Ft
   銅メダル       3100万Ft
   4位          2300万Ft
   5位          1500万Ft
   6位          1200万Ft
   7位           600万Ft
   8位           300万Ft
 現在の為替レート(1フォリント≒40円)で換算すると、金メダル受賞者はおよそ2300万円の報奨金を受けることになります。
 ところで、ハンガリーでは1998年から、メダル獲得者に年金が付けられるようになりました。これはプロ競技がない種目で、選手の生活が苦しいことから導入されたもので、その額は法令で決められます。
 現在の法令では、基準になる年金額は前年の平均給与月額(グロス)が算定基準になり、その額は571,200フォリントです。金メダル受賞者はこの全額、銀メダルは70%、銅メダルは50%が、算定基礎になります。この基準額に獲得したメダルの数を掛けたものが、年金総額になります。
 「鉄の女」として知られた競泳のホッスー・カティンカは今年35歳になり、五輪メダル選手の年金支給年齢に達しました。彼女はこれまでの五輪で、3個の金メダルと1個の銀メダルを獲得したので、年金基準金額の3.7倍が年金月額になります。つまり、571,200フォリントの3.7倍である2,003,440フォリントが彼女の年金月額になり、35歳に達した時からこの年金が生涯にわたって支給されます。平均給与月額が変われば、それに応じて年金額も変わります。現在の為替レートで、およそ月額80万円の年金が生涯にわたって支給されるということになります。
 この年金が多いかどうかは意見が分かれるところですが、1年しか大統領職を務めなかったノヴァク・カタリンは月額460万フォリントの終身年金を得ているほか、彼女の住居、専用車(運転手付き)、事務所秘書3名の費用も国庫から支給されています。こちらの方が法外なぼったくりと言われても仕方がないでしょう。国の経済力に見合わない特権を、エリートに与えていると言われても仕方がありません。
 ハンガリーに比べて、日本の報奨金はあまりに低すぎます。プロ競技のない種目のスポーツ選手を鼓舞するには、せめて年金を付ける工夫が必要かもしれません。
(8月10日)

初出;「リベラル21」2024.08.13より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-category-22.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion13841:240813〕