1932 年から日本軍は中国東北地方に日本の傀儡国家「満州国」を建国し、細菌戦研究を本格的に始めました。30 年代の後半には、平房に731 部隊を創設して人体実験を繰り返しながら細菌兵器を製造し 1940 年代には農安、寧波、常徳などの都市にペスト菌などを使用して細菌戦を行ないました。 1945 年 8 月にアメリカが広島・長崎へ原爆を投下し、ソ連が参戦すると、ポツダム宣言を条件付きで受け入れ、日本は敗戦を認めました。
原爆投下後の広島・長崎の惨状は、あまりに悲惨であり残留放射線により人々は苦しみました。 そんな中で、日本は科学者・医学者(元 731 部隊関係者もいました)を総動員して、原爆の威力調査に取り組み、原爆の破壊力や放射線が人体に及ぼす影響を詳しく調べ、181 冊の報告書にまとめ、アメリカに渡していました。その報告書は、被爆者の治療に活かされることはなく、アメリカとの敗戦処理を有利にするために使われました。アメリカは核戦略の一環として、1947 年から ABCC(原爆傷害調査委員会)を広島・長崎に設置し、被爆者の症状の追跡調査を開始しました。そこでは、放射線の人体に与える影響が調べられ、治療は全くされませんでした。ABCC には、国立予防衛生研究所(予研)が全面的に協力しました。その予研の歴代所長には、731 部隊関係者が連なっています。
1954 年、ビキニ環礁でアメリカの水爆実験が行なわれると、日本の船舶延べ1000 隻が被ばくしました。もっぱら第五福竜丸だけが、クローズアップされ、見舞金として 200 万ドルが日本政府に支払われましたが、他の被災船の乗組員は全く無視され、補償されませんでした。 この水爆実験の被ばく調査にも元 731 部隊関係者が協力しています。ビキニ水爆実験により、日本では原水爆禁止運動が盛り上がり、世界大会が開かれるようになりますが、一方でアメリカと新聞社が共催して、「原子力平和利用博覧会」を全国で実施し、原子力発電政策を推進していきます。 現在、高知と東京の地裁で、ビキニ事件の補償を求めて、2 つの裁判が進行しています。 また、今、福島第 1 原発の汚染水の海洋放出や核のゴミの処分場が問題になっています。この機会に、過去を振り返り、未来を考えるひと時を作ってみませんか。
会期:12月18日(月)まで。10:00~19:00(18 日は15:00 まで)
会場:東京都八王子市中央図書館地下展示室
資料提供:広島平和記念資料館、太平洋核被災支援センター
主催:731部隊展実行委員会、日中友好協会八王子支部、八王子平和・原爆資料館、ヒロシマ講座
協力:八王子平和市民連絡会
問い合わせ:080-4407-9554(五井)
八王子市中央図書館アクセス:JR 西八王子駅より徒歩 3 分。 京王八王子駅・JR 八王子駅北口から(京王バス~館ケ丘団地・高尾山口駅行き)(西東京バス~城山手・長房団地行き)で「中央図書館前」下車
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