みなさまへ 松元
自主避難の補償に尽力されている杉原浩司さん(福島原発事故緊急会議/みどりの未来)が、「ヒューマンライツ・ナウの放射線被害と人権に関する意見書」を紹介してくれました。非常に重要な具体性ある国際的提言ですので、本文のみを転載させていただきます。
「現状の日本における住民保護は、国際基準および、チェルノブイリ事故後の住民保護の水準を著しく下回っている。」と述べ、結論として、
「こうした現状に鑑みれば、30キロ圏内と一部のごくわずかな地域を除き、放射線被害から人々を守るための何らの措置も実施しない政府の態度は、国際水準やチェルノブイリ事故後の事故対応、さらに国内法をも下回るものであり、国民の健康に対する権利を守る政府の義務に対する重大な違反と言わなければならない。」と指摘しています。
政府、東電の責任が国際比較から明確に指摘され、具体的な責務と補償項目があげられている点、原発事故後の画期的な重要国際文書だと思います。
全文は以下のPDFでご覧になってください。(註にも重要な指摘がたくさんあります。)
■ヒューマンライツ・ナウ・ウェブサイト
■意見書本文
http://hrn.or.jp/activity/20110817houshasenn.pdf
=======以下転載(註や表、汚染地図などは省略しています)======
《福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康・環境・生活破壊
に対して、国と東京電力がとるべき措置に関する意見書》
2011 年8 月17 日
特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ震災プロジェクト
第1 意見の趣旨
日本政府および東京電力株式会社に対し、国および加害企業の責任として、?なくとも以下の責任を果たすよう求める。
1 国際基準およびチェルノブイリ原発事故後の汚染区域の設定に基づき、自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを超えるすべての地域について、住民の健康を保護し、住環境を取り戻すためのすべての必要な措置をとること
2 チェルノブイリ原発事故後、旧ソ連、ロシア共和国、ウクライナ共和国などにおいて、事故による年間被ばく量が5ミリシーベルトを超える汚染地域が移住地域と指定され、年間被ばく量が1ミリシーベルトを超える地域の住民が国の援助と補償に基づく避難を受ける権利を認められ、食糧、医療、生活手段の援助がなされたことを参考に、
・自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを超える地域の住民に発生した損害に対し補償措置を行い、避難により生活基盤を奪われた人々に対し、包括的な生活再建を保障すること
・自然放射線を除く年間被ばく量が1ミリシーベルトを超える地域について、放射線汚染の恒常的モニタリングと住民への開示、一刻も早い除染による以前の状態への回復、放射線防護、食糧供給、内部被ばくを含む長期的な健康影響調査・医療保障などの措置を講じ、人々を放射線被害から守ること
・汚染の実態に即した避難地域の再検討を行うこと
第2 意見の理由
1 問題の所在
東京電力福島第一原発の事故に基づく放射線の汚染により、周辺に住む広範な人々の健康と生活は著しい危機にさらされている。事故後、原発周辺20 キロ圏内は警戒
区域として立ち入り禁止となり、30キロ圏内が「緊急時避難準備区域」と指定され、飯館村等の地域が「計画的避難区域」と指定された。
政府は、年間 20ミリシーベルトを計画的避難の指示や特定避難勧奨地点の指定の際の基準として用い、これを上回るおそれのある地域・地点については、避難指示等の措置を講じるとする。しかし、20キロ圏外の広範な地域において、放射線量が高い「ホットスポット」の存在が確認されているにも関わらず、「特定避難勧奨地点」の指定を受けた場所は、福島県伊達市の一部世帯、同県南相馬市の72世帯、同県川内村の1世帯のみである。さらに、報道によれば、9月上旬にも緊急時避難準備区域の解除をするとされている。
福島第一原発事故により、広島型原爆の20~30個分に相当する放射性物質が漏出していると積算される状況下で、避難地域と認められなかった広範な地域に住む周辺住民、特に放射能被害を受ける危険性がある妊産婦、乳幼児、子ども、そして若い世代の健康は深刻な危険にさらされている。
政府の避難指示のない地域に住む妊産婦、乳幼児・子どものいる家庭の中には自主的に避難をする人々もいるものの、こうした区域外の避難者に対する公的な支援はないに等しい。
地元に経済基盤があり、転出する経済的余裕のない住民は、政府が避難に対する十分な補償を行わない限り、いかなる健康被害にさらされても、汚染させた土地にとどまるしかない。8月5日に発表された、原子力賠償紛争審査会の中間答申は、区域外避難者も補償の対象となりうるとの見解を示したが、明確な基準は示されていない。
政府は子どもたちが過ごす小中学校の利用判断の目安として、放射線量が非常に高い毎時3.8マイクロシーベルトを4月に設定した。この決定に対する批判を受け、政府は5月27日、今年度、学校内において受ける線量について、年間1ミリシーベルト以下を目指すとともに、土壌の線量を下げる取り組みに対し、財政的な支援を行うと発表した。
しかし、実際には、学校での屋外活動を制限する目安を毎時3.8
マイクロシーベルトからその20分の1に変更するものではないとする。そして、学校を除くすべての居住環境に対しては、対策がなされていないに等しい。こうして、日本政府は、年間 20ミリシーベルトという基準で避難、避難指示、補償を行
うが、この基準を下回る地域については、住民の健康と生活の保護・回復のための必要かつ包括的な対策を取っていない状況にある。
原発事故から5か月が経過し、「暫定基準」などではなく恒久対策が求められている今、国際基準から著しくかい離した緩和された基準に基づき、住民の健康を危険にさらすことはこれ以上許されない状況であるといえる。
2 国際人権法上の要請
現状は、甚大な放射線被害によって、人々の健康に生きる権利(憲法25条、社会権規約12条)が大規模・広範かつ系統的に侵害され、すべての人の固有の権利(市民的及び政治的権利に関する国際規約6条1項)や生命に対する権利さえも、深刻に脅かされている状態である。
政府は人々の生命・健康を守る第一義的責務を負う立場から、被害状況について、
1)人権侵害を阻止するあらゆる措置を取り、2)人権侵害について徹底した調査を行い、
3)被害者への適切な補償を行うことが求められる。
補償には、①金銭賠償、②原状回復、③医療・リハビリテーション、④その他の満足措置(再発防止のための全ての情報公開、立法、謝罪等)が含まれなければならない。
日本が批准した社会権規約12条の健康に対する権利の保障は、空気、水、土壌の汚染を軽減・根絶することを目的とした国内政策の策定・実施等の積極的措置を含んでいる。さらに、日本は国連子どもの権利条約の締約国として、子どもの生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する義務があり(6条)、子どもの最善の利益を最優先にして子どもに関する措置を講ずる義務がある(3条)。
3 国際基準・世界の経験、国内法に基づく汚染地域の特定と住民の保護
放射線被害から人々の生命と健康を守り、今後の生命・健康に対する権利等の侵害を防止するために、まず、対策をとるべき対象がどの範囲かが問題となる。ヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)は、国際基準、そして世界の経験に照らし、少なくとも、自然放射線をのぞく年間被ばく量が1ミリシーベルト(以下1mSv/年)の地域については、政府が住民・地域について積極的な対策を講ずる責務があると考える。
(1) 国際基準ICRP
国際放射線防護委員会(ICRP)は、公衆被ばくの実効線量限度を1mSv/年11としている(最近では2007年勧告(Pub.103))。
この基準の根拠は、1mSv/年の線量限度では各年齢の死亡リスクの1%程度であること、疾病によるリスクの1000分の1であること、生涯リスクの1000分の1であること、被ばくによるリスクの増加率が最も大きい年齢層においても、1mSv/年ではすべてのリスクにおいて有意に増加していない、等があるとされる。この基準自体に過小評価であるとの批判があるものの、1mSv/年を上回る線量限度に有意なリスクがあることは明白である。
ICRPは、3月21日付福島第一原発事故に関する勧告において、ICRP
2009bに基づき「1-20mSv/年の範囲の目標値を選択し、長期目標として目標値を1mSv/年とすることを引き
続き勧告する」とする。しかし、それは「人々がその地域を放棄することなく住みつづけることができるよう、当局があらゆる放射線防護策を講じる」ことを前提とするものであり、1mSv/年から20mSv/年の範囲内であれば政府が人々の健康保護のための措置や補償を行わなくてよいと勧告しているものでは全くない。
緊急時であったとしても、例えば被ばくによるリスクに有意差が生じるレベルが1mSv/年より上昇するわけではなく、死亡リスクの1%を貢献するレベルが1mSv/年より上昇するわけではないのであり、1mSv/年を超える地域における人々の健康を守るべき国の責任が免除されるべきではない。
(2) チェルノブイリ事故の経験
1) 旧ソ連の対応
チェルノブイリ原発事故後、旧ソ連の対応は十分なものとは到底言えず、住民のパニックを恐れた旧ソ連政府のリーダー達や当時の原子力省は、1986年の5月中旬まで事故の収拾に関する情報公開をメディアや保健省に禁止させたほか、1989年まで放射能による汚染地域の地図や汚染レベルのデータを極秘扱いにするなど、チェルノブイリ事故の影響に関する情報隠蔽を行い、住民に多大な被害とストレスを与えた。
1991年、旧ソ連政府は方針を転換し、チェルノブイリ事故による被害を最大限に軽減するための対策についての原則と基準 (「チェルノブイリ・コンセ
プト」と呼ばれる)を採択した。この新しい指針に基づき、1mSv/年以上の汚染地域に対する住民の保護等の方針が確立し、実施されるようになった。
旧ソ連はセシウム137(半減期30年)の土壌汚染が555キロベクレル/平方メートル(555kBq/ m2)以上の地域を日本の強制避難区域に相当す
る強制(義務的)移住区域に指定した。また、セシウム137の土壌汚染度で言えば370キロベクレル/平方メートル(37kBq/ m2)以上の地域を暫定的最低汚染
レベルと指定した。
チェルノブイリ原発事故から約20年後、IAEA、WHO、OCHA、UNDP、UNEP などの国連8機関とベラルーシ、ロシア、ウクライナの
政府から構成されたチェルノブイリ・フォーラムが発表した報告書、“Chernobyl’s Legacy: Health, Environmental and Socio-Economic Impacts”
によると、同事故後、約40万人が555kBq/ m2以上の高濃度のセシウム137で汚染された地域に住んでおり、旧ソ連政府はそのうち33.6 万人を汚染地域から汚染し
ていない地域へ強制移住したとされる。
同報告書は、セシウム137の汚染度について37kBq/ m2を暫定的最低汚染レベルと指定した理由は、(a)このレベルは事故後のヨーロッパのセシウム137の汚染度の10倍に当たる数値であること、(b)このレベルでは、原発事故から最初の1年間の人の被ばく量が約1mSv/年であり、1mSv/年が放射線学の上では重大な数値であるからだとしている。
1991年に確立された新しい方針は、最大1mSv/年を超える汚染が見られる地域について、政府に放射線防護措置を取る義務があることを明記し、当該地域の住民は、住みつづけるか他の土地に移り住むかについて、放射線汚染の状況、経済社会的その他の状況に与える要因等について正確な情報提供を受け、自己の判断に基づき選択する権利があるとした。このような汚染地域の認定をもとに、旧ソ連では「高濃度の汚染地域に住み続けた住民は補償され、毎年定期健診を受けた。低レベルの汚染地域に住む住民は医療モニタリングを提供された。補償は年間の被ばく量が1mSvを超える住民に与えられた」とされる。
2) ロシア、ウクライナ等の対応
ソ連の崩壊後、市民の保護は後継各国に引き継がれた。放射能で最も汚染されたロシア、ウクライナ、ベラルーシの三国の法律では、セシウム137の汚染度が1平方メートルあたり370キロベクレル(1Ci/km2(37kBq/m2))以上とされた地域は、汚染地域と指定され、その地域と住民に対する政府の措置が講じられている。チェルノブイリ事故に関してロシア共和国が作成した報告書によれば、ロシア共和国は旧ソ連の方針を引き継ぎ、同事故の汚染地域を以下のように分類し、対応を取ったとされる。
(表は省略しました)
ロシアの「チェルノブイリ事故被害住民の社会的保護に関する法律」は、第7条以下に上記に相応する措置について規定する。すなわち、
第8条: 30キロ圏内において住民の定住が認められないこと
第9条: 汚染物質(セシウム137)の蓄積による年間被ばく量が5mSvを超える汚染が確認される地域を避難地域とし、避難した住民は補償を受けること
第10条: 汚染物質(セシウム137)の蓄積による年間被ばく量が1mSv以上の地域は避難の権利が認められる地域と指定され、住民が公正な情報を得たうえで自主的に移住する権利が認められ、他の地域に移住することを決めた者は、被った損害の補償や社会的援助を受ける権利が認められること
第11条: 汚染物質(セシウム137)の蓄積による年間被ばく量が1mSvを下回る地域においても、人々は経済社会的な配慮措置を受けること
第18条: 汚染物質(セシウム137)の蓄積による年間被ばく量が1mSv以上の地域に住む者にも補償措置が認められ、除染、国際基準に基づく汚染されていない食品の供与など、被ばくを減少させ、健康を保護するための措置や社会的特典が認められることが明記されている。
また、ウクライナ、ベラルーシにおいても、同様に、5mSv/年以上の地域は優先的な移住対象地域となり、1mSv/年を超える地域は、国の補償と援助を受ける自主的な避難の権利が認められている25。ウクライナでは、1mSv/年を超える地域住民に対し、最低賃金の4割に相当する補償が早くから実施されるなど、1mSv/年を超える地域住民への補償がなされている。ベラルーシでは、自然放射線以外の内部被ばく・外部被ばく両方を含む平均年間被ばく量は1mSvを超えてはならず、もし人口の平均被ばく量が1mSv/年を超えるのであれば、住民を保護する措置を行わなければならないとされている。
3) 日本との対比
日本ではチェルノブイリ事故の水準で住民による保護が実施されていない。
第一に、前述のとおり、セシウム137の汚染度が37kBq/m2以上とされた地域は、事故から最初の1年間の被ばく量が約1mSvとされ、放射能で最も汚染されたロシア、ウクライナ、ベラルーシの三国の法律では、汚染地域と指定され、その後その地域と住民に対する措置が講じられた。また、同事故後セシウム137の汚染度が185kBq/m2以上とされた地域は、移住の権利や補償が認められているが、日本ではそのような措置が取られておらず、補償についても自主避難者であってもなされていない。
第二に、前述の、河田東海夫氏(NUMOフェロー)の「土壌汚染問題とその対応」によれば、現在の20キロ圏と計画的避難区域だけではなく、その圏外でも、チェルノブイリ事故では強制(義務的)移住ゾーンに指定された地域と同じ高濃度にあたる555kBq/m2のセシウム137による汚染が確認されている。それにも関わらず、日本政府は高濃度汚染に見合う措置を講じていない。現状の日本における住民保護は、国際基準および、チェルノブイリ事故後の住民保護の水準を著しく下回っている。
(3) 国内法
日本政府は福島第一原発事故後、従来からの告示・指定である「実効線量は一年間につき1mSv」の基準を大幅に緩和した。しかし、現在の日本政府による住民の保護は、日本が自ら定めた国内法の水準をも下回る。
1) 労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令の規定に基づき定められた「電離放射線障害防止規則」は、外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計
が3ヶ月で1.3mSv(もしくは毎時0.6マイクロシーベルト)を超えるおそれのある地域を放射線「管理区域」に指定し、放射線業務従事者以外の者の立ち入りを制限したり(同規則第3条の4)、管理区域内での飲食などの活動内容を禁止(同規則41条の2)している。この法律を適用すると、「管理区域」と指定されるだけの強力な放射線源が存在する場所で子どもや妊産婦などの一般市民の立ち入りは制限され、「管理区域」での飲食を含む生活は日本の法律の上では認められない。
また、同規則第6条の1と2によると、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間、内部被ばくによる実効線量については1mSv、腹部表面に受ける等価線量については、2mSvを超えないようにしなければならないとされ、今まで何十年も遵守されてきた。
ところが、文部省は「『管理区域』は、平時の場合において、強力な放射線源が存在する場所を厳格に管理する」ために設定されたものであるから、妊産婦や子どもにはあてはまらないとする。また、同省は、厚生労働省における放射線被ばくの労災認定要件は労災認定の観点から労働者への補償に欠けることのないように定められたものであるとし、今回の事態にはあてはまらないとする。しかし、子どもや妊産婦、労働者が、成人の放射線業務従事者や労働者よりも低い保護のレベルでよいという論理は全く成り立たない。一般市民、特に放射線に対し感受性が高く、被ばくの影響が深刻であると懸念される子どもたちや妊産婦の健康こそが放射線被害から守られなければならない。
現状は、子どもや妊産婦など一般市民が、本来立ち入るべきでない管理区域にいるのと同様の事態である。そして、管理区域で作業に従事する妊産婦について、妊娠期間にわたって腹部2mSvという規制があるのに対し、福島県の汚染地域ではそうした規制すらない状況に置かれている。
(4) 結論
こうした現状に鑑みれば、30キロ圏内と一部のごくわずかな地域を除き、放射線被害から人々を守るための何らの措置も実施しない政府の態度は、国際水準やチェルノブイリ事故後の事故対応、さらに国内法をも下回るものであり、国民の健康に対する権利を守る政府の義務に対する重大な違反と言わなければならない。
日本政府が、上記ICRP基準の国内への取り入れにあたり、自然放射線を除外していることを考慮するとしても、またチェルノブイリの前例に照らしても、少なくとも自然放射線を除外して年間被ばく量1mSvを越える地域に居住する住民に対し、放射線防護の義務を負うべきであり、上記地域に居住する住民に対し、健康保護のために必要なすべての措置、政府の援助による避難の権利の保障と補償措置、除染等の対策が必要である。
そこで、HRNは政府・東京電力に対し、以下のことを求める。
・住民の年間被ばく量が自然放射線を除き年間1mSvを超える地域については、放射線被害から人々の健康を保護すべきすべての必要な措置を講じるとともに、住環境に対する被害回復を実現するための全ての必要な措置をとること
・ 住民の年間被ばく量が自然放射線を除き年間1mSv を超える地域に住む住民には放射線害に関する必要な情報提供を行い、避難の権利を認めるべきである。この地域の住民が移住・避難を決断した場合は、政府が避難・移住を援助し、避難者に国内避難民(IDP)としての適切な保護を与え、生活再建に必要かつ十分な補償措置を取ること
・放射性セシウムが555kBq/ m2を超える汚染地域(もしくは年間被ばく量が5mSv 以上の地域)については、チェルノブイリ事故の強制
避難地域に該当する深刻な汚染のある地域であるとの認識に基づき、一刻も早い除染措置を行うと同時に、移住に関して援助策を策定し、移住が困難な人々に対しては、移住に匹敵する健康保護の措置を取ること
・ 「管理区域」に該当する実効放射線量外部放射線の線量が3ヶ月で1.3mSv(毎時0.6マイクロシーベルト)を超える地域の人々、および、妊娠中の線量が2mSv を超える地域に住
む妊産婦に対しては、国内法に違反することから、一刻も早く避難の権利を認めてこれを告知し、生活再建のための補償を行うこと
4 政府、東京電力が取るべき具体的な措置について
HRNは政府および東京電力に対し、以下の具体的措置を緊急にとるよう求める。
(1) 汚染調査と公表
放射線被害から住民を防護するためにも、また住民が避難を決断するためにも、土壌・空気等の汚染について包括的・継続的な調査と情報公開が住民に対してなされなければならない。政府が、住民の居住環境が深刻な汚染を受け、住民の生活・生産活動が危機に晒されているのに必要な情報・危険性を告知しなければ、それは人権保障義務に対する違反にほかならない。ところが、現状の土壌汚染の情報公開ははなはだ不十分であり、民間団体からは深刻な土壌汚染等の報告がされているにもかかわらず、国はこれに対応する調査を公開していない。空間線量、土壌汚染ともに実際に生活する市民からみれば、現実にどこに深刻な汚染があるか極めてわかりにくい。また文部省によれば、「ホットスポット」についても正確な概念ではないため、場所の特定・公表は行っていないということである(2011年8月5日および12日に確認)。
HRNは、政府に対し、以下のことを要請する。
・現在の測定方法を改め、市民の日常生活に即したきめ細かい恒常的な放射線モニタリング測定を行い、住民が容易に認識しうる方法で開示すること
・上記3の勧告を前提に、少なくとも、住民に直接、情報提供すること
【土壌汚染】について
放射性セシウムの汚染度が555kBq/m2を超える箇所について特定・開示・告知すること。放射性セシウム放射同位体の汚染度が185kBq/m2を超える箇所について特定・開示・告知すること。
【実効線量】について
自然放射線を除く年間被ばく量が5mSv/年を超える地域、および1mSv/年を超える地域について、それぞれ特定・開示・告知すること。
(2) 避難について
1) 避難地域の指定について
チェルノブイリ事故では、セシウム137の汚染度が555kBq/m2を超える箇所(年間5mSvを超える地域)を強制避難地域としており、この例を参考に、避難地域指定について再検討を行うことが必要である。
但し、その場を離れることを望まない人については、以下の要件を満たす強制的な避難でない限り避難させることができない、とする国際的ガイドラインを尊重することが必要である。
(a) 法律で規定されていること。
(b) 被災者の生命又は健康に対して、深刻かつ差し迫った脅威があるため、避難することが絶対的に必要であり、他のより影響の?ない方法では、その脅威を回避することができないこと。
(c) 可能な限り、関係者に情報を周知し、協議を行ったうえで、実行すること。
「管理区域」に該当する実効放射線量外部放射線の線量が3ヶ月で1.3mSv(毎時0.6マイクロシーベルト)を超える地域の人々、および、妊娠中の線量が2mSvを超える地域に住む妊産婦に対しては、一刻も早く避難の権利を認めてこれを告知し、生活再建のための補償を行うこと。
2) 指定区域外の人々の避難について
自然放射線を除き年間被ばく量が1mSvを超える地域の住民に対しては、放射線被害に関する必要な情報提供を行い、避難の権利があることを認めるべきである。
特に、妊産婦、乳幼児、小中学生のいる家庭については、避難・疎開の措置をとって健康を保護する必要性が高いことから、避難・疎開のために必要な政策を立案し、国の政策として必要な学校・住環境を提供し、避難・疎開を奨励することが求められる。
また、3(4)に記載したとおり、放射性セシウムが555kBq/ m2を超える汚染地域に住む人々、「管理区域」に該当する実効放射線量外部放射線の線量が3ヶ月で1.3mSv(毎時0.6マイクロシーベルト)を超える地域の人々、および、妊娠中の線量が2mSvを超える地域に住む妊産婦については、早急に避難の権利を認め、避難の援助を積極的に行うべきである。
(3) 除染
放射線汚染からの原状回復は、国および東京電力が第一義的に負うべき義務である。ところが、現状では、政府による除染は、担当区分が省庁により細かく分かれており、国として総合的・包括的な除染の方針が出されて推進されているとは到底いえない。
地域全体の除染に関しては、各自治体に委ねられているが、自治体は予算とマンパワーが限られていることから、民間の所有地の除染まで行うことができない状況にある。自治体からは、「国や東京電力として除染をしてほしい」「東京電力に再三除染をしてほしいと要請しているが、断られている」との声があがっているが、国・東京電力としての除染は未だ実施されていない。現在、国として除染を行う立法措置の検討が進められているという。
原発事故から5ヶ月近く経っても除染に関する国からの積極的な対応を受けられなかった福島県民は、地域で、家庭で、水などを使った臨時の除染活動を自主的に行っている。しかし、広い地域での除染に使われた洗浄水は、下流で農業用水として使われ、二次災害を引き起こしかねない。チェルノブイリ事故から20年後にロシア政府が発表した報告書「Twenty Years of Chernobyl Accident, Results and Problems in Eliminating Its Consequences in Russia (2006)」
によると、高濃度の放射性物質で汚染された30キロ圏内の除染作業が、環境に悪影響を及ぼし、除染に関わった多くの作業員が後に長期的な健康被害および社会的影響を受けたこと等が明らかになっている。
HRNは政府・東京電力に対し、以下のことを要請する。
・ 一刻も早く、政府・東京電力の責任で、最新鋭の技術を駆使した汚染地域の測定および除染活動を行い、1mSv/年以下(自然放射線を除く)までに回復すること
・ 除染は、現在人が居住している放射性セシウムの汚染度が555kBq/m2を超える箇所・地域を最優先にし、
・ 放射性セシウムの汚染度が185kBq/m2を超える箇所・地域全域についても速やかに行うこと
・ 特に、福島県の全学校、教育施設や子どもの生活環境となる、通学路、公園などは、早急な対策をとること
・ 現在人が避難している地域についても可及的な原状回復を行うこと
・ 除染活動を早急かつ円滑に行うため、放射性セシウムなどの放射性同位体の運搬や保管を含む除染に関する法整備を早急に行うこと
(4) 放射線防護に関する措置と対策
除染と並び、政府はあらゆる放射線防護のための措置を取るべきである。特に子どもや妊産婦などには特別の配慮をすべきであり、以下の措置を取る必要がある。
1) 放射線リスクの開示と防護に関する教育の徹底
文科省は、原発事故後に、「放射能を正しく理解するために」「教育現場の皆様へ」という資料を教育現場に配布した。この資料には、「過剰な対策は、生活に支障を来したり、偏見を生み出したりすることにもつながります」「毎時3.8μSv未満の区域 普通に生活して支障はあ
りません」「普通の生活で、こころの安心を取り戻し、子どもの成長を支援しましょう」などと記載されている。その結果、福島県では、ことさらに放射能の危険性について過小評価するような教育がなされ、ある教師は、保護者に「国を信じられないなら、日本国民をやめるしかない」と発言したと言う。
また、厚生労働省は、「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線への御心配にお答えします」とのパンフレットを発行し、避難指示等が出ているエリア外で放射線が胎児に影響を及ぼすことはない、子どもに飲ませるのに水道水は安全であり、食物も店頭に並んでいるものは安全であって、規制値を上回る物を食べても健康に影響がない、避難指示等が出ていない限り外遊びに影響はない、等と、実態と異なる広報を周知徹底しようとし、現在に至ってもこれを撤回していない。
現状は安全ではないのであり、国はこれまでの誤った広報・教育指導を撤回し、放射線防護に関する正確な知識が教育・医療・行政の現場で徹底するよう、責任をもって放射線防護教育への転換を図るべきである。
さらに、以下の対策も必要である。
2) 1mSv/年を越えるすべての地域において、公費により線量計を中学生以下の子どもと妊産婦に配布し、個々の被ばく総量を管理できるようにすること
3) 放射線量が高い場合には学校行事における屋外活動を行わないよう通達すること
4) 現実の放射線量に基づき、放射線量の低い地域への越境通学などの措置を講ずること
(5) 内部被ばくと健康調査について
SPEEDIによる試算値によれば、福島県の広範囲において、3月12日以降、等価線量にして100mSv(1歳児、甲状腺に対する)以上の内部被ばく積算量があることがシミュレーションされており、内部被ばくの危険性は深刻である。
現在、福島県は全県民を対象とした「県民健康管理調査」を実施し、内部被ばくも対象にするとしているものの、そのスピードは極めて遅く、子どもや妊産婦などを優先する取扱いにもなっていない。
内部被ばくの確定的評価は未だ国際的に確立されていないものの、深刻な危険性が予想される以上、国は予防原則に立ち、内部被ばくによる健康被害から市民を保護する措置を講じなければならない。
HRNは政府・東京電力に対し、以下のことを要請する。
・政府・東京電力の責任で、必要な台数のホールボディカウンターを配置し、自然放射線を除く年間被ばく量が5mSv/年を超える地域、次に1mSv/年を超える地域の住民・避難者の内部被ばく量の測定を行うこと
・特に子どもの内部被ばく量の測定を最優先とすること
・結果によっては、早急に医療措置を講ずるとともに、内部被ばくの深刻な住民の避難を検討すること
(6) 食の安全の確保
福島第一原発事故後、政府は、「風評被害」との文言を用いて、流通している食材が、あたかも放射能で汚染されていないかのような姿勢を示し、十分な規制・検査・情報開示と流通の阻止のために活動してこなかった。それが今日、食の安全が脅かされ、広範な人々の健康が脅かされる事態に至っている。
食糧に対する権利は、憲法25条、社会権規約により保障されなければならず、食が安全であり有害でないことはその不可欠の前提である。政府は安全な食糧供給のために責務を果たさなければならず、規制、検査により安全でない食品の流通を阻止し、代わって国際基準の汚染されていない食糧を流通させ、供給する責務を負う。
そして、汚染されてしまった食材は、流通させることなく国が買い取るなどして、損害は東京電力が賠償すべきである。
1) 食品の暫定基準値を見直し、国際基準の法規制を行うこと
政府は、今年3月、福島原発事故を受けて緊急に、食品に関する暫定基準値を設定したが、これは、WHOや他国の基準と比較して異常に高い値である。
例えば、飲料水中の放射性核種に関するWHOの基準は、ヨウ素131・セシウム134やセシウム137はそれぞれ10Bq/L以下であるのに対し、日本の一般人の基準は、ヨウ素131などの放射性ヨウ素は300Bq/L以下、放射性セシウムは200Bq/L以下であり、乳児についても100Bq/L以下とされる。また、乳児の食べ物に含まれる放射性セシウムの基準に関して、ベラルーシでは37Bq/kg以下、ウクライナでは40Bq/kg以下、ロシアでは40-60Bq/kg以下とされるが、日本では野菜の暫定基準値は放射性セシウム500Bq/kg、ヨウ素131などの放射性ヨウ素2000Bq/kgとされ、子どもに対する厳しい基準値は設定されていない。
暫定基準値は、あくまでも、従来、放射能汚染食品の規制に関する国内法がなかったことから、暫定的な基準として運用されているに過ぎない数値であるが、放射性物質の流出が止まるまで長期化が予想される現状においては、子どもに十分配慮した、早急な規制値の設定が必要である。
暫定基準は、放射性セシウムについて飲料水や乳製品は200
Bq/kgその他の食品は500 Bq/kg 以下を許容するが、これは従来、原子力安全委員会がICRPの勧告等に基づいて採用していた放射性廃棄物のクリアランスレベルの5倍である。従来の放射性廃棄物としての許容値よりも5倍汚染された食品を食べても安全であるという政府の基準は、市民にとって、特に乳児や子ども、妊産婦のいる家庭にとって、全く安心できない。
HRN は、政府に対し、
・一刻も早く市民が安心する食品安全基準を設定するために早急に対応すること、
具体的には
・安全を確保するための国際基準に基づく安全な法規制を行うこと、
・乳幼児、子どもに対しては成人より厳しい規制を設定すること
を要請する。
そして、その基準はWHOの基準を下回るものであってはならない。
2) 最先端技術を活用し、全品検査を実施すること
現在、これほど食品の放射能汚染が問題となっているにもかかわらず、今も、食品の全品検査が行われていない。局地的に汚染度が高い地域がある現状にも関わらず、わずかなサンプリング、かつ全食材を対象としていないサンプリングしか行わなければ、採取検査の網をくぐり抜けて、汚染度の高い食品が流通されることを阻止できない。また、検査結果には、プルトニウム等のアルファ核種は公表されておらず、検査自体なされていない。
HRN は、政府に対し、以下のことを要請する。
・全国各地の農場・農園の土壌汚染および農作物や海産物などの食品の汚染調査を早急に行うこと、土壌汚染の結果に基づき除染作業を行うこと
・最先端技術を使い、全食材に対する全品検査を実施する体制を講ずること
3) 給食・影響を受ける地域の人々への安全な食糧の供給について
子どもたちの口に、強制的に入る給食については、特別の対策が必要である。福島県の学校では給食に福島県産の食材が使用されているが、各給食センターに、放射線量測定器を導入し、独自に検査するか、福島以外の食材を選ぶ対策がとられるべきである。
この点、ベラルーシでは、子どもに対する被ばく低減策のひとつとして、汚染地域に住む就学児や生徒20万人以上に汚染されていない食事を無料で配給しているとされ、日本政府にもこうした配慮が求められる。
さらに、ロシア・チェルノブイリ事故被害住民の社会的保護に関する法律18条では、被ばく量が1mSv/年以上の地域に住む住民で居住地に留まる事を選択した者には、国際的に確立された放射線基準値を下回り、かつ、栄養価が保障された食糧を国の責任で外部から供給すると規定している。日本政府もこうした措置を参考にすべきである。
(7) 医療保障・健康対策について
前出のSPEEDIによる試算値からみても、福島県の広範囲において100mSv以上の内部被ばくが短期のうちに発生した可能性は極めて高い。また、既に事故処理にあたった多くの労働者の被ばくが明らかになっている。
チェルノブイリ事故後、旧ソ連および後継国政府は、短期的に50mSvまたは長期的に70mSvを超える被ばくをうけた人を「被ばくした者」、また事故からの放射能やその他の影響によって健康を害した、もしくは疾病をしたと認定された人を「被災した者」と定義し、これらの人々はすべて,国家被ばく疫学登録に登録するように定められ、すべての特別被ばく者と特別被災者を対象に,医療支援とリハビリテーションのプログラムを実施した。また、ベラルーシでは、汚染地域住民の健康確保という観点から、疾病の危険性を軽減するための対策が重要視され、毎年の健康診断、無償医療、無償療養、医薬品、飲料水、汚染されていない食料の供給、医療支援、リハビリテーション、サナトリウム療養などを行ったと報告されている。また、ウクライナは、子どもを対象とした効果的な被ばく低減策が実施され、夏休み期間中の2-3ヶ月間、子ども達をサマーキャンプに参加させ、汚染されていない食事を提供する等の措置が報告されている。
政府は、こうした事例を参考に、年間被ばく量(自然放射線を除く)が1mSv以上の放射線の影響を受ける地域住民について、長期的なモニタリングと、疾病の危険性を軽減するための長期的な対策を講じるべきである。特に、子どもに焦点を絞った健康のケアなどを実施すべきである。
また、短期的に50mSvまたは長期的に70mSvを超える被ばくをうけるなど特に被ばくが深刻であった人を一日も早く特定し、これらの人々に対する無償の医療ケアとリハビリテーションを行うべきである。
(8) 補償・生活再建のための措置
紛争審査会は8月5日に賠償の指針を出した。審査会は、中間指針は原子力損害の「当面の全体像」を示すもので、「本件事故が収束せず被害の拡大が見られる状況下、賠償すべき損害として一定の類型化が可能な損害項目やその範囲を示したもの」であり、指針で対象とならなかった損害項目も含め、迅速、公平、適正な賠償がなされるべきとする。
今後、放射線汚染の被害を被った人々の一日も早い被害救済と生活再建のため、東京電力は、指針に掲げられた損害項目に対する賠償を一刻も早く行うべきである。そして、繰り返すように避難地域外であっても、自然放射線を除き、1mSv/年を越える地域から避難を決意し実行した住民に対しても東京電力による補償がなされなければならない。
しかしながら、かけがえのない故郷と仕事、財産、生産手段、土地を奪われ、多大な被害を被った人々が生活を一から再建しなければならない状況に鑑みるならば、指針に掲げられた補償措置は十分でなく、国・東京電力はさらに包括的・総合的な補償を実施すべきである。指針で対象とならなかった損害項目の十分な検討がなされるべきである。
完全な被害賠償・包括的な補償と併せて、政府には、被害を被った人々に対する包括的な社会的支援策を実施することが求められている。
ロシアの「チェルノブイリ事故被害住民の社会的保護に関する法律」は、年間被ばく量が1mSvを超える地域に住む市民で、避難者、避難の権利に基づき移住した人々には、賠償金のほか、家屋や処分された家畜などの損失財産の補償や、移住後にあたっての一時金の交付、転居費用の供与、優先的な就職あっせん、就職が出来ない市民に対しての就業援助、所得補償措置などの社会的援助を受ける権利を与えている(10条、17条)。
ウクライナでは、避難者、避難の権利に基づき移住した人々は、住居その他の施設、穀物、果実用樹その他の生産手段等の財産上の損失に対して損害賠償を請求でき、サナトリウムや転地治療所での無償治療、毎年の健康検査、医薬品の無償提供、療養地での治療費用の提供、生活再建のための家等の資源の提供、水道光熱費の一部カット、優先的な教育施設への入学許可、年金支給年齢を早める特別措置や年金加算金の支払いなどの社会的援助が与えられている。ベラルーシにおいても、原発事故により被害を受けた住民を保護するために、早期年金、年金の増額などの、様々な社会的保護及び生活再建のためのシステムが構築されている。
今回の原発事故により、生活基盤すべてを奪われた人々の被害を真に回復するために、政府は、日本国憲法、国際条約やチェルノブイリ事故の先例等に基づき、人権を尊重する国として恥ずかしくない補償政策・総合的な社会的支援策を立案・実施すべきである。
以 上
(以下、汚染地図省略)