11日に行われたフランス国会議員選挙(第一回目投票)ではマクロン大統領の新しい政治組織 “Republiue En Marche “の躍進ぶりが大々的に語られがちだが、有権者の半数、約50%が棄権していたことが複数の世論調査会社の調べで浮き上がっている。この数字は2012年の国会議員選挙第一回目の投票のときの棄権率約42%に比べても一段と高まっている。前回も棄権する人の多さが報じられたが、今回はさらに棄権率が高い数字となっており政治不信の深まりが見て取れる。ラジオフランスアンテルナショナルによると、1958年の第五共和制発足以来の最低の投票率=最高の棄権率となったそうだ。マクロン氏のグループの大躍進は棄権率の高さと関係がある。
まず与党だった社会党はオランド大統領の公約破りや女性スキャンダルが響いた。さらに労働法の規制緩和という社会党らしくない政策を力づくで行ったことも不信を呼んだ。一方の共和党はサルコジ前大統領の選挙資金不正疑惑(2007年)に加えて、今回フランソワ・フィヨン候補の不正疑惑が重なった。二大政党に対して、エリートたちが政治を私物化して腐敗している、という有権者の厳しい見方が強まった。
この反動で3年ほど前ならマリーヌ・ルペン党首が率いる極右政党の国民戦線に風が吹くと見られていた。さらに、社会党を離脱したジャン=リュク・メランション氏らの左派のグループ「服従しないフランス」にも風が吹く可能性があった。ところが、マスメディアでは左右両陣営に対して厳しいネガティブ報道が行われてきたようだ.これらのグループがいずれにせよ権力を握ると、欧州連合離脱となり、経済が大混乱に陥る、というものだ。こうして二大政党の受け皿になる可能性もあったこれら両陣営に意外と票が集まらず、その間隙をついて現れたマクロン氏の政治グループが「右でもなく、左でもない」というキャンペーンを行い、票をがばっと奪っていった。
※RFI”Legislatives 2017: abstention historique pour le premier tour”
http://www.rfi.fr/france/20170611-legislatives-premier-tour-abstention-record-macron
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