以下は、東京新聞の三百文字小説に倣い字数を三百字に限定した小説紛いのものです。
作者の私は、猫好きで動物保護団体にも聊かの関わりがありますので、同じく猫好きのボランティアさん達とお付き合いがあります。 ボランティアさん達には、妙齢且つ美形の女性で、ひたすら猫を愛する人や、友人とともに活動される女子高生等が居られますので、断片的に合成してモデルにさせて頂き三百文字内の主人公として書かせて頂きました。
但し、本小話中の主人猫は、二年前に空に昇りました我が家の愛猫「とら」です。 「とら」は驚く程の運動能力があり、無断外出の折には、見る間に他家の二階の屋根に飛び上がり、空地に植わっていた楠の樹上から空飛ぶ鳩に飛びつき捕え、と今でも信じられないことをしました。 危ないので無断外出不可にするために玄関ドアを二重にしたり、窓と言う窓に柵を付設したりしましたが、隙を見て二階の窓から四肢を広げて飛び降りたり、とやんちゃでした。
無断外出先であった我が家のご近所数軒のご家族と我が家を訪れる人々にも愛された心根の優しい猫は、獣医さんも注目される不思議な能力があり、人間の私と意思が通じ、共に暮らす内に掛け替えの無い存在になりました。 そんな猫の姿の一部でも表せれば幸いです。
もっとも、「とら」は笑ったことはありません。 否、猫は笑えない、と思います。 一般的には。 特別に変な猫以外は。
以下字数は、299文字であり、どうにか300字以内です。
ピンポーン、と玄関チャイムの音。 洗面所でメイク中の由里が「うっせいな。 誰だよ~。」と独り言ちて、ドアに急ぎ「どなた~?」と訊くと、「お姉ちゃん。 佳代だよ。」との答え。
鍵を開けるなり、「とらちゃん、どうしてる? ここんとこ佳代んちへ来ないんだよ。」と近所に住む女子高生佳代。
「ああ~、また~? 佳代ちゃんで三人目だよ、その話。 とらは、獣医さんに言われてさ~。 完全室内飼いにしたんだよね~。 外に出すと病気貰ったりしてさ~。」とかなんとかの遣り取りがあり、メイクに戻った由里。 リビングに寝るとらに向かって「おい、おい。 プレイボーイの猫ちゃんよ~。」と声かける。
寝たふりのとらがニタ~と笑ったのは知らないまま。