2017年6月8日午前10時(ワシントン時間)、<米大統領選挙でのトランプ陣営とロシアの関係>を巡る捜査に関して、アメリカ上院の委員会がコミーFBI(連邦捜査局)前長官の公聴会を行ないました。 トランプ米大統領を引き摺り下ろしたいヒラリー・クリントンとジョー・マケインの両元大統領候補は、ロシアのプーチン大統領を仇敵にし、トランプ米大統領をプーチン露大統領の回し者に仕立て上げようとしています。 このシナリオ、噓か実か、プーチン露大統領ご本人に聞いてみたいですよね、、
(1) ヒラリー・クリントンとジョン・マケインのプーチン嫌い:
マケインがプーチンを嫌うのは、グルジア侵攻の原因について2008年8月28日CNN米TVとのインタビューで「2008年の大統領選挙で共和党候補者のジョン・マケインを優位にするためにブッシュ政権がわざと起こした侵攻だ」と、ブッシュとマケインを非難したからだ。このプーチンの非難のせいで、大統領選挙ではオバマに負けたと、マケインはずっとプーチンを恨んできた。
そのマケインをプーチンが嫌うのは、マケインが「プーチンは地球の安全にとって、ISより危険だ」と、2017年6月の初めに公言したからだ。
さて、何故、ヒラリー・クリントンはプーチンを目の敵にするのか?
もともとヒラリーはプーチンが好きだったようだ。
しかし、プーチンは「女とは議論も口論もしない方が良い」と、ヒラリーを嫌っていた。嫌われたヒラリーは2011年のロシア選挙の時、選挙結果にケチをつけて「完全な調査」を要求した。さらにヒラリーは、「この選挙で2位の共産党を圧倒して勝ったプーチンの党は詐欺と脅迫を行った」と非難したのだ。プーチンはヒラリーをますます嫌いになった。
それでもヒラリーには未練があったようで、ヒラリー大統領選挙参謀のポデスタが「2013年3月、米資産運用会社<サンフォード・バーンスタイン>の社員を前にした演説でヒラリーはプーチンを、<おもしろく、興味深い話し相手>と評価し、<プーチンはいつもおもしろいわ。彼が次に何をするか、何を言うかは全く予想できないんだから>と語った」と、暴露している。
ジョン・マケインもヒラリー・クリントンもプーチンに袖にされたからプーチン憎しとなり、アメリカ人のロシア嫌いを煽っている。プーチンを悪ネタにトランプ大統領を倒し、アメリカ大統領選挙をやり直し、「あわよくば、、」と、狙っているそうだ。
(2)Don’t worry, be Happy! 心配すんな!楽しくやろうぜ!!
トランプ米大統領は6月1日、190カ国以上が合意した地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」から離脱すると表明した。「他国に利益をもたらし、米国の労働者には不利益を強いる」と主張している。ロシアのドゥボルコビッチ副首相は翌、6月2日、米国が地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を決めたが、ロシアは協定に参加する方針だと述べた(RIAロシア通信)。プーチン露大統領は同日2日、トランプ米大統領に依然として合意する可能性があるとの見方を示した。 地球温暖化を杞憂する世界に向けて、プーチン露大統領は英語で「Don’t worry be happy(心配すんな。楽しくやろうぜ!)」と言った。これは、ボビー・マクファーリンが「僕が書いたちょっとした歌があるんだ」と始める、超有名な歌の一節だ。さすが、プーチン!
「心配すんな。楽しくやろうぜ! 心配すんな。楽しくやろうぜ!
どんな人生にもトラブルはつきものさ。
悩んでいたら、悩み(トラブル)は2倍になるぞ。
心配すんな。楽しくやろうぜ! 心配すんな。楽しくやろうぜ!
きみが悩んでいると、しかめっ面になる。きみがしかめっ面になれば、
みんなの気分を滅入らせることになっちゃう。
心配すんな。楽しくやろうぜ! 心配すんな。楽しくやろうぜ!
どんなトラブルだって、いつかは消えてなくなるさ。
心配すんな。楽しくやろぜ! 心配すんな。楽しくやろぜ!」
――――――――――――――――――
歌には、「心配すんな。楽しくやろうぜ!、心配すんな。楽しくやろうぜ!」というリフレインに挟まれた心配事が数件、語られている。替え歌も流行ったようだ。ボブ・マクファーリンの原曲は1988年に発表され、その年の音楽大賞を独り占めにした。
そして、「ぼくは心配してな~い。ぼくは幸せさ」と、結んでいる。
この歌が世界を風靡した1988年当時、プーチンは憧れのソ連KGBに入り、派遣先の東ドイツでソ独友好会館館長として、ソ連人学生を監督していたようだ。
もし、トランプ米大統領が気候変動に前向きな姿勢を見せ、国際社会の信用を少しでも回復できたら、プーチン露大統領のお陰。トランプはプーチンに頭が上がらなくなりますね、、。
(3)フリン?関係な~い:
米NBC・TVが、サンクトペテルブルク(旧レニングラード、プーチンの故郷)で収録したプーチン露大統領のインタビューを2017年6月4日に放映した。その中で、「トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が秘密通信回線の設置をロシアに提案していたのでは?」という質問に、プーチン露大統領は、「その提案は知らない。そのような提案は報告されていない」と否定した。
プーチン氏はまた、米大統領選でトランプ氏を勝利させるためロシア政府がハッキングなどを用いて干渉したとの米情報機関の嫌疑も、改めて全面否定した。
さらにプーチン露大統領は、駐米ロシア大使とトランプ陣営が昨年11月の大統領選より前に接触していたのかについて、全く分からないとし、「私は正直に言っている。米国や世界各地から、大使たちが誰と食事をして誰と会ったか毎日報告してくると思うか」と、軽くいなした。
ロシア疑惑で辞任したマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)に関しては、2015年にモスクワで開かれた夕食会で隣同士だったけれど、「短いあいさつをしただけの間柄」と、説明した。
そして、プーチン露大統領は、「トランプ米大統領にとって不名誉になるような情報を握っているとの見方は間違いだ」と、強調した。
プーチン露大統領は番組「サンデーナイト・ウィズ・メギン・ケリー」でのインタヴューでも、「トランプ米大統領にとって打撃なる情報を持っているでは?」と、質問された。プーチン露大統領は「全くくだらない話だ」と否定し、さらに「実業家トランプとしてこれまでにロシアを訪問しているが、実業家の彼とは何の関わりもない。米企業100社の経営幹部が現在ロシアに滞在している」として「彼ら全員について不名誉になるような情報をわれわれが収集しているとでも、あなた方は思っているのか?」と切り返した。そして、「米情報機関の連中は、欺かれている」と、プーチン露大統領は批判し、「彼らは情報を完全に分析していない。私は一度たりとも、米大統領選挙にロシアが介入したことを示す直接的な証拠を見たことはない」と断言した。
もしトランプ米大統領が<トランプ降ろし>の大危機を乗り切れたら、紛れもなくプーチン露大統領の御陰だ。ヒッヒッ、、トランプはプーチンに頭が上がらないぞ、、
(4)「オリバー・リードのプーチン・インタヴュー」:
6月12日から15日まで、オリバー・ストーン監督が制作した<The Putin Interviews(プチンのインタヴュー集>が、アメリカTVネットワーク<Showtime(ショータイム)>で放映される。 プーチンは、車を片手ハンドルで運転しながらストーンのインタビューに身振り手振りで答えている。危ナイヨ! インタビューの中身は、今もロシアに匿われているアメリカ国家安全保障局 (NSA) や中央情報局 (CIA) の元局員スノーデン(33)の事や、ロシアでは冷たく扱われている同性愛者の事などなど、、興味深い。ちなみにストーン監督は、2013年にそのスノーデンをドラマ化した<スノーデン>を発表している。が、実在のスノーデンに敵うわけがない。
オリバー・ストーンは1946年9月15日にニューヨークで生まれた映画監督、映画プロデューサー、脚本家だ。自身のベトナム戦争体験を基にした<プラトーン>で、アカデミー監督賞を受賞した。<JFK><ニクソン><ブッシュ>と、アメリカ合衆国大統領をテーマにした映画も3本製作している。このところフィクションよりドキュメンタリーの制作が多い。やっぱり、「事実は小説より奇なり」です。
日本の私たちにとってのオリバー・ストーンといえば、2013年に来日した際に、広島市・長崎市・沖縄県を訪れ、原爆資料館や米軍基地反対の沖縄住民を励ましてくれたことが印象に残っている。そのオリバー・ストーンがドキュメントするプーチン、、見逃したくないですね!
「サウジアラビア以下中東4か国のカタール・ボイコットはロシアのハッカーが悪い」と、ロシアのせいにしました。 ロシア政府は、「何でもかんでも悪いことはロシアのせいにする!」と、強く抗議しました。 「私達は善人の皮をかぶらないので責められる」と、プーチン露大統領は名言を吐きました。 私たち日本人には、「日本人は歴史を学べ」という、2017年4月29日のプーチン露大統領の名言が、耳に痛く残っています。
ロシアのイズベスチヤ紙で7日、「米露両国の首脳会談は7月にドイツで行われる20カ国首脳会議の期間中に行われる見通しだ」と、ペスコフ大統領報道官の言を伝えています。
会談の冒頭、トランプ米大統領はプーチン露大統領に、とにかく「ありがとう」ですよね!
文:平田伊都子 ジャーナリスト、 イラスト:川名生十 カメラマン 2017年6月9日
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6716:170609〕