マイナンバーカードを持たない<わけ>~健康保険証とマイナカード一体化の虚実

 6月2日、マイナンバー法・関連法の改正案が成立した。カードの申請の任意性には変更はない。2016年に発足したマイナンバー法の趣旨は、マイナンバーを使用して、災害、社会保障、税における行政事務の効率化であった。しかし、情報漏えいやプライバシー侵害の怖れから、国民の不安を払しょくできない中、例えば、コロナ禍における給付金の遅延やトラブルにより利便性への疑問も高まった。マイナンバーカード申請の伸びは鈍く、進捗しなかった。

 そこで、マイナポイント制度、5千円、2万円というポイントで、「申請しなきゃ損!?」かのような新聞広告、テレビ、ネット上での広告をなりふり構わず展開していたのは、記憶に新しい。さらに、昨年からは、健康保険証としても利用できるようになったが、大病院はともかく、多くの医療機関やクリニックでの利用が増すにつれて、トラブルや不具合が続出している。その他の種々のトラブルは、人的ミスとあしらい、システム上のトラブルは、下請け会社に責任を転嫁している。

 しかも、デジタル庁、総務省、厚生労働省の大臣たちは、まるで他人事のように、他の省庁や下請けに、その責任を擦り付けているのが現状である。

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5月28日、日曜の朝の何の番組であったか。左から河野デジタル庁、加藤厚生労働省、松本総務省の担当大臣だが。

 そして、今回の法改正によって、2024年の秋をめどに、健康保険証とマイナンバ―カードの一体化を図るといい、いわば脅しにかかってきたのである。この改正法によれば、カードの利活用の拡大を促進するあまり、セキュリティの強化が追い付いていない。

 以上のように、マイナンバー制度の経緯を、なんど振り返ってみても、当ブログでも、その都度、制度自体への疑問を提示してきたが、その疑問は解けないままである。

 私は、マイナンバーカードを持たない生活を続けていきたいだけである。

 なお、朝日新聞の報道によれば、デジタル庁は、マイナンバー制度十年目にあたる2026年、あたらしいマイナンバーカードの導入を検討しているとのことである(2023年6月3日)。利活用の拡大、口座の紐づけ・・・。所得税と言わず、何億もの預貯金、資産、スイスの銀行?に口座を持つ富裕層の口座にこそ紐づけて、<富裕税>を新設、しっかりと税金を取り立てて欲しい。切なる願いである。与野党とも、なぜ、それを言い出さないのか。

 少子化対策の財源にしても、6月にも骨子が示されるはずが、年内と先送りされた。増税は封印しているので、歳出改革という名の社会保障費の見直し、介護保険対象の見直し、つなぎ? の国債発行ということになる。高齢者軽視、国の借金は増えるばかり、次世代へ負担が重くなるばかり。手当、手当と増やしてみても、若者たちの安定的な雇用に基づく所得が保障されない限り、安心して結婚し、子どもを持ちたいという気持ちにはならないのではないか。
「こども未来戦略」?こども家庭庁の創設基本理念「こどもまんなか社会」?実質が伴わない限り、まるで、ことば遊びにも思えてくる。

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ヤマボウシとキンモクセイの間で、肩身の狭い思いをしているような夏椿、今年の最初の一輪。いつの間にか、たくさんツボミをつけていた。

初出:「内野光子のブログ」2023.6.4より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/06/post-fa5ef1.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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