みなさまへ
グローバル・リサーチ誌を主宰するミシェル・チョスドフス キィ氏が、昨年6月19日 投稿の『シリアでアル=カーイダを支援してアル=カーイダと戦う:オバマ政権は「テロ支援国家」』をこの8月22日に自ら再投稿したもので す。この再投稿は、イスラエルのガザ爆撃、米-NATO支援の「ウクライナ危機」 に乗じた「ロシア制裁」という状況下での警告の意味をもっています。拙訳ですが紹介させていただきます。
本稿は、記事下段(翻訳省略)にチョスドフスキィ氏の自著 『アメリカの「対テロ戦争」』(2002年)が紹介されている。その一部に:
「チョスドフスキィによれば、対テロ戦争は、アメリカ諜報機関の裏をかいて年400億ドルも掠め取った一人の男ウサーマ・ビン・ラーディン という幻影に基づく完璧なでっちあげ話である。対テロ戦争は征服戦争である。グローバリゼーションは、ウォール・ストリートと米国産軍複合体に支配される新世界秩序に向かって最後の行進をしている。」とある。
また氏は、ウクライナ支援に名を借りた明らかな戦争態勢づくりが主題であったNATO首脳会議に先立つ8月24日に、米‐NATO軍がすでに黒海で軍事演習を済ましている状況下で「世界は危険な十字路に立つ」として世界市民に次の5項目を呼びかけている。①第三次世界大戦に導く政治的コンセンサスの構築を目標とするNATO首脳会議開催の妨害、②NATO28か 国、参加全60か国での世界的な戦争反対キャンペーン、③核戦争を想定した米-NATO軍による「対ロシア電撃戦シナリオ」[RAPA(ロ シアの攻撃防御法)]を暴露し阻むこと、④戦争反対の抗議運動を米=NATO首脳へ、⑤主要メディア報道に対するカウンター・プロパガンダで米-NATO-イスラエルの軍事アジェンダに対抗すること。
さらに氏は、同会議開催中の9月4日には「オバマは嘘つき、 NATOの証拠はねつ造」と題して、欧州安 全保障協力機構(OSCE) の監視団および国際赤十字などの国境現地報告を詳細に検討したうえで、ロシア軍のウクライナ侵攻は何ら確認されないとして、「ロシア軍侵攻」を前提に会議を進めるキエフ政権、NATO首脳、米国をきびしく批判している。
これらと合わせて、ここに紹介する一年前のチョスドフス キィ氏の論考を読むと、9・11以 降、一貫した批判的視点で米‐NATO-イスラエル軍事同盟に焦点を合わせている ことがわかる。私たちがまずもって考えなければならないことは、安倍政権の「集団的自衛権」の「同盟」がこの米‐NATO-イスラエル軍事同盟を意味していることである。ハマースを悪魔化してパレスチナ民族の存 在と66年間の侵略と略奪を無かったことにする言説戦略は、過去の植民地的侵略と 征服を無かったこととする三者および日本の政略と一致する。
次いで、絶えざる周辺国および世界の「不安定化」を存在の 条件にしているシオニスト国家イスラエルとの道連れの危険性がある。このたびのガザ攻撃・ジェノサイド、同時並行のウクライナ・ジェノサ イド、そしてジェノサイドを繰り返すシリア、イラクの解体をもくろむ新たな国分け「戦争」が、ともに「ねつ造されたつくり話(faked fabrication)」から始められていることである。(イスラエルの 「自衛」戦争が「自作自演」であったように、米-NATO-キエフ政権の「停戦」が「自作自演」であるように、)旧日本軍のみならず、他者を悪魔化 する戦争には「陰謀」がつきものだ。9・11後、 日本では「陰謀論」が揶揄されてきたが、すでにこの「陰謀」がメディアの共犯とともに日常化した。われわれは、より広範なより日常化(標準化)した大規模な「征服」戦争の只中にいるのかもしれない。(2014年9月10日、松元記)
Fighting Al Qaeda by Supporting Al Qaeda in Syria: The Obama Administration is a “State Sponsor of Terrorism”
シリアでアル=カーイダを支援してアル=カーイダと戦う:オバマ政権は「テロ支援国家」
ミシェル・チョスドフスキィ教授(松元保昭訳)
2014年8月22日
グローバ ル・リサーチ誌
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http://www.globalresearch.ca/fighting-al-qaeda-by-supporting-al-qaeda-in-syria-the-obama-administration-is-a-state-sponsor-of-terrorism/5339728
2013年6月19日、グローバル・リサーチ誌に初投稿。
米国のテロ対策ドクトリンでは重大な変り目が展開中だ。
ジョージ・W・ブッシュを引き継いで、バラク・オバマ が断固として「対テロ世界戦争」(GWOT)の戦いを決意し続ける一方で、現在、彼の政権は公然とシリアの選り抜きの反乱軍部隊を支援しているが、それはアル=カーイダ・ネットワークの一部である。
周知のことですでに立証されていることだが、アル=カーイダはCIAが創作したものであり、ソビエト・アフガン戦争の最盛期以来、CIAは「イスラム・テロ・ネットワーク」を密かに支援してき た。
アル=カーイダが米国スポンサーの「諜報資産」である一方で、「新たな標準」が確立された。
アル=カーイダの付属組織つまりシリアのアル=ヌスラは、CIAによって「密かに」というより、米国大統領によって現に「公然と」支援されている。
イラク・アル=カーイダ(AQI)の付属組織アル=ヌスラへの支援は、もはやCIA-M16(CIAは米中央情報局、M16は英秘密情報部(SIS)=訳注)の隠密作戦の一部として秘密裏に注がれているものではない。それは、―なかば公式のやり方で―米外交政策アジェンダの一部として今現在も支援されている。後者はまた、英国、カナダ、ドイツおよびフランスとの協議で発効した米外交談話の一部でもある。アル=ヌスラが明示的に名指しされなかったものの、「シリア反乱軍への支援」が、2013年6月北アイルランドでのG-8 会議の議論の主題であった。
諜報隠密軍事行動が重要な役割を果たし続ける一方で、シリアのアル=カーイダへのワシントンの支援は、現在、公共領域に「公然と現れて」いる。それはもはや隠密な事業の一部ではない。それはジョン・ケリー国務 長官の舵取りで遂行される米外交政策のメインマストの一部である。
「反乱軍に対する支援」は、米国議会でも議論されている。それは上院外交委員会がすでに採択した法案の目的でもあった。法案の共同提案者、ボブ・コーカー上院議員は次のように述べた:
「シリアの将来は不透明だが、過激派の乗っ取りを防止しようとする際には米国 に既得の権益がある。それは、われわれと地域のために非常に実際的な危険をもたらすことになるのだから。」(強調、引用者)
法案は、よこしまな論理でアル=カーイダ・テロリストの陣列を支援することが「過激派の乗っ取り」を阻止すると思われている。
上院外交委員会は、提案された法案を15:3の賛成多数で可決した。
皮肉なことに、親-イスラエル・ロビーもまたジハード主義者の反乱軍に対する援助に賛成してロビー活動に活発に関与していた。
イスラエルは、ゴラン高原の占領地に隣接した地域で軍事上アル=ヌ スラを支援してきた。
法案に反対票を投じたケンタッキー州(左派)のランド・ポール上院議員は、次のように警告する:
「あなた方は、今 日、アル=カーイダの同盟者 に資金提供することになります。」(RT から引用)
1, アル=カーイダ、ウサー マ、そして「ブローバック」
アル=カーイダが米国政府に直接支援されていることは、現在、誰もが 知っている。
その意味するものは広範囲にわたる。オバマの決定は、「反テロ世界戦争」(GWOT)の合法性を蝕むだけでなく、「ブローバック(秘密作戦による意図せざる結果=訳 注)」命題にも疑いを投げかけることになる。
もっと言えば、次のような当惑させる疑問が湧いてくる:米国務省のテロ組織リストに載っているアル=ヌスラを、なぜ米国大統領は支援しているのか?
「諜報資産」(つまりイスラム・ジハード)が「そのスポンサーに逆らう」と言われているように、いわゆる「ブ ローバック」命題にCIAは留意している。
ムジャヒディーンに伝授した高度な手法、および米国と英国が彼らに供給した数千トンもの武器は、現在、周知の 「ブローバック」現象で欧米を悩ませている。自ら統治戦略を考案した側がしっぺ返しを受けている。(「ガーディアン紙」ロンドン、2001年9月15日)
「自分たちが造ったものが自分たちの正面に逆流する。」これで合衆国政府とCIAは不幸な犠牲者と描かれる。 CIAは欺瞞だらけのウサーマに騙されていた。「父親に反抗する息子」のようであると。
アル=カーイダの指導者、故ウサーマ・ビン=ラー ディンは冷戦中の「諜報資産」であったとCIAが認めながら、その関係は「後ろ向き」だと言われている。9・11の結果、ニュース報道はソビエト=ア フガン戦争の「過ぎ去った時代」の一部であるかのようにウサーマ=CIAの絆を例外なく忘却してきた。ポスト9・11時代の理解に関しては、それらは例外なく「無関係」と表現される:
ビン=ラーディンは、自国から4000人の義勇兵をリクルートし、もっとも過激なムジャヒディーン指導者との密接な関係を育成した。彼はまた CIAと親密に協力して動いていたが…CIA当局者は[2001年]9月11日以来、彼らがビン=ラーディンとは直 接何の関係もなかったと主張していた。(フィル・ガスパー「国際社会主義レヴュー」2001年11・12月号)
【写 真キャプション:アフガンのムジャヒディーン指導者たちと会うロナルド・レーガン大統領】
「ブローバック」の命題が見え透いた作り話であるにもかかわらず、「対テロ世界戦争」に合法性を提供する役割 を果たしてきた。合衆国政府によってアル=カーイダの付属組織に注がれた「公然の」支援に関していうと、ブローバック命題は完全に失敗しておりもはや信用されてはいない。
CIAが「イスラム戦闘員ネットワーク」との連結をけっして断ち切ることはなかったという証拠は充分確認され ている。歴史的に見ると、テロリストに対する合衆国の隠れた支援は、広範な社会には知られておらず秘密が守られていたといって差し支えな い。もっと言えば、CIAはその援助をけっして直接には注がなかったし、パキスタンやサウジアラビアの情報当局者を通して実施されてきた。
冷戦終結以来、これらの隠された諜報連携は維持されただけでなく、ますます洗練されてきた。
9・11攻撃に引き続き、政治とメディアの広範なコンセンサスが、いたるところにブローバックを打ち立てた:すなわち、アル=カーイダがアメリカを攻撃したと。
アル=カーイダとその連携組織に対する反テロ世界戦争(GWOT)が開始された。にもかかわらず、米諜報機関が米国務省のリストに 載っているいくつものテロ組織を匿い続けていることはすでに充分な証拠が確認されている。
逆説的に言えば、(CIA,M16,ドイツのBNDを含む)西側諜報機関によるテロリストに対する隠れた支援 は、「対テロ世界戦争」の不可欠の手段である。つまり、「自国」を守るという対テロ戦争は、西側軍事同盟の歩兵として米=NATOの支援したテロリストおよび傭兵を使って戦われているのだ。
多くの国々で(例えば、旧ユーゴスラヴィア、アフガニスタン、イラク、ソマリア、イエメン、リビア、シリア、 ニジェール、マリ、アルジェリア、エジプト等々)、米=NATO同盟は主権国家を不安定化させるために「ジハード主義者」のテロ組織に対する隠れた支援供給を活用し てきた。
2, オバマとアル=ヌスラ、「テロ支援国家」
アル=カーイダは、世界貿易センターおよびペンタゴンに対する9・11 攻撃の黒幕と特定された。
9・11に 続いてアフガニスタンが「テロ支援国家」とただちに特定され、2001年10月7日、 米国およびNATOの軍隊によるアフガニスタンの侵略と爆撃を引き起こした。同様に、9・11攻撃に引き続く直後、テロ対策立法および行 政命令の全領域が適所に据えられた。
2001年9月23日にジョージ・W・ブッシュ大統領が署名した大統領令13224は、「援助し、後援し、または物的かつ資金的支援を し、または他の方法であってもテロリストと提携する人物であると、財務長官が特定した組織あるいは個人の資産を押収する権限をも つ。」(2001年9月23日)。
米国議会は、ジョージ・W・ブッシュ大統領が2001年10月26日に署名した「アメリカ合衆国愛国者法2001」を可決した。この立法は、伝えられるところではアル=カーイダが実行したとされる世界貿易センターおよびペンタゴンに対する2001年9月11日のテロ攻撃に応えたものだった。
愛国者法2001によれ ば、「爆弾の代金を支払う人」それらの人物、つまりアル=カーイダの連携組織に資金提供する人物たちはテロリストである。2001年9月11日のジョージ・W・ブッシュ大統領の言葉では、「これらの行為を犯したテロリストと彼らを匿う人々の間をわれわれはなんら区別することはない。」
この法律は、テロリスト組織に対するかこい込みおよび資金援助に直接関係する。「愛国者法」では、アル=カーイダとその連携組織はテロネットワークと定義され、アル=カーイダを支援しあるいは教唆扇動する人物および組織はテロリストと見做される。
禁じられた疑問:上記で引用された大統領令13224および愛国者立法の趣旨は、米国大統領、国務長官、米国議会議員には適用されるのか?
司法省は「テロ組織に対する具体的支援を提供したとして複数の個人と組織を起訴したが、一方、財務省は多数の テロリストの財務担当者およびネットワークの資産を凍結した。」(外交問題評議会参照)
テロリズムを支援する組織または資産の凍結を含む同様の処置が、ヨーロッパ連合で適用された。「2007年以降、英国大蔵省はアル=カーイダに接続した何百にも及ぶ個人および組織の資産をその資産凍結部門によって凍結した(PDF)。」(同上)
中央政府がアル=カーイダに対して支援を提供する場合、「テロ支援国家」と分類されることになる。
その指定は米国務省によって判定される。国務長官、つまりジョン・ケリーは、実際、「そういう国の政府が国際 テロリズムの行動のために支援提供を繰り返したと決定する」権限がある。(国務省リスト、またテロ対策局参照)。
3, バラク・オバマとジョン・ケリー:彼らは「テロ容疑者」か?
いまアル=ヌスラ戦線をもっと詳細に審査してみよう。それはシリアの反乱軍 戦闘部隊の中心をなしている。アル=ヌスラはアル=カーイダに連携所属しており、アル=ヌスラの指導者アブー・モハンマッド・アル=ゴラーニは、ウサーマ・ビン・ラーディンの死後に後継者となったアル=カーイダの指導者アイマン・アル=ザワヒリに忠誠を誓っていた。
国務省テロ対策局によれば、シリアの主要反乱軍部隊ジャバハット・アル=ヌスラは、イラクのアル=カーイダ(AQI)に所属するテロ組織である。
国務省は、「アル・ヌスラ 戦線と相互交流の関係を持ち、物的支援また手段を提供するため故意に供給しまたそれを試みまたは共謀することに対する禁止、および合衆国にあるか合衆国に流入するかまたは米国人の管理にあるかを問わず組織の財産および全資産の凍結」を発令した。(強調付加)
米国務省のテロ対策の政策は、「テロ支援国家」にも適用されると判断されている。
アル=ヌスラは、NATOおよびペンタゴンの親密な協議のもとでトルコ、カタール、サウジアラビアおよびイスラエルによって資金援助されている。
オバマ政権は、シリア反乱軍へのその支援を、この援助の大部分がアル=ヌスラに注がれたと明らかに確認していた。
「愛国者法」は、「多様なテロ犯罪を犯した、または犯そうとしている人物を故意に匿うことを禁止する」。
さらに、大統領令の全範囲ならびに2001年 の愛国者立法は、「テロリストを匿うこと」を禁止する。
米司法省によれば:
愛国者法は、国内外のいずれにおいてもテロ作戦を支援 しまた犯した者たちに対する新たな厳しい刑罰を課した。テロの脅威は、「爆弾の代金を支払う者、行動を起こす者、双方のテロリス ト」から発する。
愛国者立法によれば、「爆弾の代金を支払う者」、つまりアル=カー イダの連携組織に資金提供することはテロ行為である。
別の言葉で言えば、オバマ政権とその同盟国は、 米国務省のリストに載っているテロ組織を匿っていることになる。
この点では、アル・ヌスラ戦線と相互交流の関係 を持ち、物的支援また手段を提供するため故意に供給しまたそれを試みまたは共謀することに、オバマ大統領とジョン・ケリー国 務長官は責任があると見做されうる:
[愛国者]法は、「さまざまなテロ犯罪を犯した、または犯そうとしている人物を故意に匿うことを禁ずる」という新たな犯罪をつくり上げた。にもかかわらず、オバマ政権は自からのテロ対策立法に違反してテロリストの実体に公然と支援しているのだ。
4, メディアの共犯
情報筋の資料を引き合いに出したCNNによれば、アル=ヌスラは推定10000人の部隊をもつシリアで「最上の武器を装備したテロ集団」である。しかし、彼らはその資金と武器をどこで手に入れているのか?軍事的観点からは概して力のない多様な所謂穏健な反乱軍の 諸派閥と比較してアル=ヌスラがなぜ最上の装備をしているのか、それについてCNNは何の情報も提供していない。
アル=ヌスラ部隊がどれほどの効果を及ぼすかは、引き続く政府軍の反撃 が確立されるかどうかによる。
皮肉なことに、最新のCNN報道(2013年6月18日)は、政府よりむしろ反乱軍が化学兵器を手にしていることを示 唆している:
イラクの治安部隊とトルコが「サリンを手に入れよう」とした[アル=ヌスラ]の工作員を逮捕したという過 去2,3週間に注目して、アナリストはCNNに、「彼ら[アル=ヌスラ]は化学兵器を命がけで手に入れようと目論んでいる」と語った。
もっと最近では、逮捕されたアル=ヌスラ工作員がサリン・ガスを所有していたことをトルコ警察が確認した。
CNNは自らの報道を否定する。反乱軍が化学兵器を「手に入れようと」していたとほのめかした同じCNNの記 事が「反乱軍の武装」のケースとして扱っている:
オバマ政権は、シリアが反体制派に対して化学兵器―サリン・ガスを含む―を使用し「レッドライン」を超えた以 上、武装した反乱軍が動き始めるだろうと先週発表した。
進展は、月曜日の北アイルランドでのG8 サミットの中心にあるようだ。シリアの長年の同盟国ロシアが、その動きは「彼らの敵を殺しその機関を食い荒らす者たち」を支持すると言った後、議場の雰囲気は釘付けとなった。
…オバマは増大する軍事支援について詳しく述べなかったが、その計画は、反乱軍に対する小火器、弾薬、および 可能なら対戦車兵器の供給を含むとワシントン高官はCNNに語った。
5, オバマのアル=ヌスラ支援の幅広 い意味
ブローバック命題は、現在もはや存在しない。米国がアル=カー イダの支援を止めることはない。これらのテロ組織は、米情報機関に創設されワシントンに支援されてきた。オバマのアル=ヌスラへの「公然たる支援」によるだけでなく、アル=カーイダに所属するリビアのイスラム戦闘集団(LIFG)―2011年の暴動およびリビア爆撃作戦の発端からNATOによって直接支援されていた組織であるが―これにも関与して きたことで、ブローバック命題はその偽りが証明された。
「反テロ世界戦争」(GWOT)はますますはかない概念と化した。アル=カーイダの連携組織が盛んに参加することで「対テロ戦争」を戦うことは、見え透いた詭弁、大きな嘘、不合理な虚偽となっている。
「反テロ世界戦争」の背後にあるプロパガンダとメディアのニセ情報キャンペーンも、死の同盟に入り込んだ。テロリストを支援しながらテロリストを追い回すのか?「テロリズムと戦う」手段としてテロ組織に何十億ドルもの税金を注ぐ政府をアメリカの 市民は支持するだろうか?
ペンタゴンのポスト9・11軍事ドクトリンは、「反テロ世界戦争」に基づいている。米国軍隊の中ではそれがコ ンセンサスである。米陸海空軍の新兵募集、軍事訓練、および教化にそれが利用されている。
アメリカの男女軍人たちはその大きな嘘を鵜呑みにして受け入れ、明らかないんちき「反テロ戦争」の只中で戦う ことになるだろう。
6, 合衆国国家の有罪宣告
シリアのアル=カーイダ反乱軍に対するオバマ大統領の「公然たる」支援は、「厄介な問題のふたを開ける」ことになる。
同時にアル=カーイダを支援する一方で、アル=カーイダとの戦いを約束すると語るアメリカの大統領をわれわれはどう分類すればよいのか?
国家安全保障ドクトリンのすべてが組み立てトランプのように崩れ落ちる。
米国政府は、自らのテロ対策立法に対する露骨な違反行為の只中にあるのだ。
(以上、翻訳終わり)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
〔eye2762:140911〕