ユニクロ中国撤退のニュース

著者: 藤澤豊 : (ふじさわゆたか):ビジネス傭兵
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ユニクロが中国から撤退して、東南アジアに生産基地を移すというYouTubeのニュースをみて驚いた。こんなことが起きているとは知らなかった。新聞はとってないし、テレビもめったに見ない。人と会うことも少なくなって世事に疎くなってしまった。これほどのことを平然とやってのける柳井さん率いるユニクロとはどんな会社なのか?畏敬の念まで生れてきた。なんせ相手はなんでもありの中国共産党、アップルの要請を受けた富士康(アップルの生産委託先)が生産施設をインドに移設しようとしたら、すべての生産設備を接収した前歴がある。富士康は台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)のブランド名であるフォックスコン(Foxconn)の中国語名。FoxconnはアップルのiPhoneの生産を一手に引き受けてきた巨大な受託生産会社。

ユニクロは中国にある269工場を閉鎖し、従業員245万人を解雇した。Googleによれば、「ユニクロの中国での売上高は、2024会計年度の前3四半期で約240億元人民元(5224.69億円)でした。これは総売上高の22.1%を占めています」ZaraやH&Mがファーストファッションの同業としてしばしば引き合いに出されるが、製造をすべて外注にまかせている両社とは本質のところで大きく違う。ユニクロは下請けは使ってはいても、製品は自社工場で製造している。さらに素材の独自開発も進め、ファーストファションとは一線を画す政策を推し進めている。

269もの工場とそれを稼働する従業員7万人、それを支える下請けや外注先を置き換える体制をどうやって一月やそこらで構築できるのか?緻密なだけでなく現場で柔軟に対応し得るしっかりした計画があっても、プロジェクトを遂行していけば思わぬ障害に遭遇する。それを短期間でやり遂げて、中国工場を切り捨てる、そんな芸当をやってのけたうえに、中国政府や市場からの反発や懐柔策を受け流す体制とどんなものなのか気になってしょうがない。創始者があまりに突出していると後継者が育たない。柳井さんを引き継ぐ人材が心配にさえなってくる。杞憂であってほしい。

YouTubeを見終わって、マスコミのニュース記事を漁っていってまた驚いた。どれも上っ面の書きものの域をでない。YouTubeがあれほど詳細に伝えているのに、マスコミが伝えてくるものはなぜそこまで底が浅いのか?YouTube以上のことを知ってはいても、業界のお行儀もあって書くに書けないということでもあるまい。報道はバラエティ番組とは違う。政治生命を賭けてはじめて使命を果たせるものじゃないかと、どこにももっていきようのない期待を抱きつづけている。このあって当たり前、なければなんの報道かと言われかねないものに応えるニュースがなければ、これからもマスコミが伝えてくるものに注視することはないだろう。新聞も購読しなければ、テレビもろくに見ない生活だが、気になるYouTubeは見るようにしている。
YouTubeに匹敵する内容のニュースをご存知の方がいらしたら、教えて頂けるようお願いします。
2025/1/20 初稿
2025/2/25 改版
Private homepage “My commonsense” (http://mycommonsense.ninja-web.net/)にアップした拙稿に加筆、編集

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座https://chikyuza.net/
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