ロッカールーム・デモクラシー万歳

著者: 澤藤統一郎 さわふじとういちろう : 弁護士
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ドナルド・トランプだ。共和党の大統領候補だ。
オレこそ、アメリカ大統領にふさわしい。
きっとオレが大統領になる。
なんてったって、デモクラシーのアメリカなんだから。

デモクラシーってなんだ?
民衆の望みを実行することだろう。
民衆がパンを望めばパンを。
民衆がサーカスを望めばサーカスを。
これが、デモクラシーの原点だ。

そのために、民衆と権力が一体となっていることだ。
民衆が民主的な指導者を選ぶってことだ。
民主的な指導者ってなんだ?
民衆のホンネを掬って実現することのできる人物だ。それがオレさ。

民衆はなかなかホンネをしゃべらない。
本当は誰もが、排外主義者じゃないか。
ホンネのところは移民を受け入れたくはない。
そうして、仕事と安寧を守りたいのだ。

それだけじゃない。
女が対等に振る舞うことは煙たいのだ。
異なる人種や民族や宗教には違和感があるのだ。
でも、みんな表面を取り繕って、人権尊重だの差別はいけない、なんて言う。

ロッカールームこそ、ホンネを語る場所。
ロッカールームでの発言こそが民衆の願望だ。
これに耳を傾けるのが、最も民主的な政治指導者というもんじゃないか。
オレはロッカールームの会話が大好きだ。
ホンネを語ろう。ホンネに耳を傾けよう。

デモクラシーとは、民衆がそのレベルにふさわしい権力を作ることだ。
ロッカールームで語るホンネにふさわしい指導者を選ぶことだ。
その意味でオレこそが、最も合衆国国民のホンネのレベルにぴったりの大統領なのだ。
合衆国の民衆は、オレ以上のレベルの大統領ももつことはできない。だから、この選挙に勝ってアメリカ合衆国の大統領になるのはオレなのだ。

オレに権力を与えるデモクラシー万歳。
オレを大統領に押し上げるロッカールームデモクラシー万歳。
(2016年10月18日)

初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2016.10.18より許可を得て転載

http://article9.jp/wordpress/?p=7582

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/

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